025 プレゼントを探せ!
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○橘信蔵・華蔵家執事。
────その時は来た!!
混乱を避けるために、3階へと探しに行く女性達が先にスタートをする。
ルール上は"走らないように"とは呼びかけられているが、誰も守るものはいない。
振袖、草履の聖は早速後方になっていた──無理もない。
風晴と秀一、桂木や神宮寺は草履から外靴に履き替えていた。着物は走りづらいがだいぶ楽になる。
男性陣のスタートへの掛け声は執事の橘だ。橘は大広間の端に立ち、コホンと一つ咳払いしてから
「スタート!」
と宣言した。
ぉお!!という異様な声と共に男達は駆け出す。
「他の方を押してはいけませんよ!!プレゼントは1人1つ! 必ず全員に行き渡ります!!」
橘は大声で忠告したが、どこふく風だ。風晴達は聖のプレゼントという目的があるし、他の男性達も気になる女性のプレゼントの箱を盗み見たりしているのかもしれない。
とにかくなんでか、本能的に男共は競って走っていた。
雄牛の群れの如く去っていく一団を見ながら、正火斗は椅子から立ち上がった。一言漏らす。
「やっぱりこうなるか……」
1階はプレゼントを隠せない大広間と調理室、大型手洗い場を除けば玄関ホール、広間、音楽サロンルーム、応接室、食堂の作りになっている。
ミステリー同好会メンバーと風晴は、当然正火斗を通じて聖のプレゼントの隠し場所を聞いていた。
他の男性達が次々と広間や音楽サロンルームへと去っていくのを見つつ走り続ける。──が、1人やたら足の速い若い男性が前を行く。彼がそのままトップを行くので、玄関ホールにさしかかった時に桂木が
「あ!! アレ透子様のプレゼントっぽくないか?」
と横を見て叫んだ。それを聞いて、前の男性も後ろにいた数人の男性も玄関ホールへと向かう。
「頭脳プレーです!」
と神宮寺が言い
「オレも鳳翔院学園の生徒っスから」
と桂木は返す。
「定期テストでも活かそうよ」
と秀一は苦笑してる。
そして4人は目当ての応接室に なだれこんだ。
しかし──後からもまだ男性はついて来ていた。そしてなんと、応接室に入るなりその中年男性は叫んだ!
「ちょっとちょっとちょっと!! 君達、東京の高校の子達だよね!?」
桂木、秀一、神宮寺は驚いて振り返る。──風晴も一拍遅れて振り返った。
そうだ、今はオレもだった!
「君達はさ、どうせお金もあってこれからいい大学に行っていい会社にも入るんでしょ? そんな必死にこのゲームやる必要ないじゃん!!」
男性は黒のトレーナーにベージュのチノパンのスタイルで、髪の毛も……頭頂部は薄く、太り気味で背は低い。ここまで走ってきて息が切れていて、脂汗もかいている。
「……君達は分かっていない! 僕やこの田舎で暮らす男達にとって、このゲームがどれだけ重要か!!
ここで可愛い女の子と話すか話さないかで、僕らの1年の張り合いは全く違うんだ! これを逃したらリアル女子と2人で話す機会なんて僕の人生にはもう無い!!!!!!
僕の邪魔をするなぁあああ!!」
結婚見込みの無いモテない田舎男性の絶望と憤怒をぶつけられ、キラキラ高校生は怯んだ。
秀一に至っては、水樹のような超絶美人彼女をゲットしてすみませんと心の中で謝った──多分、口に出したら殺される。
桂木が指を差される!
「ピアスなんかして髪も染めちゃって! オシャレな感じで頭もいいなんてムカつくんだよ!!
君、誰とでもすぐ話せるだろ!? 僕なんかお母さん以外とは民生委員の人と年4回話すくらいなのに!!」
風晴も指を差される!
「爽やか純粋系で天然だろ! なんだかんだで友達に囲まれて幸運に恵まれるんだ!!
ちくしょう!! プレゼントも3個も隠しやがって! これ以上 何を僕から奪う気なんだよ!?」
神宮寺も指を差される!
「背が高いだけで天から愛されてるって知らないだろう!? そうやって大人になるにつれて愛され度合いは社会的に不平等になっていくんだ!!
僕なんか……僕なんか……今はもうお母さんにも"家から少しは出て働け"って言われてるのに……」
だが 神宮寺は 言った。
「あの……お母さんはあなたを想って言ってくれてるんじゃ……」
応接室に沈黙が広がり────やがてヒック……ヒックとしゃくりを上げる音がする。
次の瞬間──
「ば、馬鹿野郎──────────!!!」
と田舎のモテない引きこもりの男性は走って行ってしまった。
「…………グッジョブ」
桂木が呟く。
「多分本人のためになったよ」
秀一は後輩──神宮寺の肩に手を置いた。
そして風晴は全てのために明言した。
「田舎で独身で家にいるからって、絶対──全員が全員 あんなんじゃない」
開け放たれた応接室の扉には──都会の高級マンションで暮らす会社社長のサラサラ髪 エリート学生。しかも美人の彼女持ち が現れた。
「みんな、ご苦労さん。助かるよ」
正火斗だった。(わざわざ書かなくていいかも)
か、格差社会の極み…………ʕ-ᴥ-ʔ




