024 プレゼントを隠せ!
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○橘信蔵・華蔵家執事。
2025年12月24日19:45
"プレゼント探しゲーム"開始──まずは隠さなければ。
それぞれが持って来ていたクリスマスプレゼントを持ち、1階と3階に分かれていく。
橘のアドバイスで既に1階にプレゼントを持ってきていた風晴達も、それを持って3階に行く。
一応気をつけて見ていたけれど、聖もパタパタと水樹達に連れられてプレゼントを隠しにちゃんと行っていた。
あとは人のことを気にしている場合では無かった。
紅白饅頭の包装紙を丁寧に一部分だけ めくりカタカナで素早く名前を書いた。3階まで息を切らして階段を駆け上り、あちこちを見回す。
3階は宿泊室を抜かせば図書室、休憩ホール、絵画室、書斎、そして完全な和室様式の茶室があった。
ハッキリ言って慎重に隠してる時間など無い。
風晴はとにかく3個のプレゼントをバラバラに置こうとだけは思った。
実際、書斎のテーブルの上にただ置かれている金のリボンの紅い包装紙のプレゼントを見かけた。
"見つけてほしい"という男性方も多いようだ。
浅倉奏衣は持って来たプレゼントを隠すのを ためらっていた。
──ゲームに参加したくなかったのだ。
今になって、女性の人数が多かったのだから"やめます"と言って良かったのだと気付く。
正火斗のために持ってきて、正火斗にあげる予定だったプレゼントだ。
他の男性に渡るのは…………嫌だ
水樹からは元々クリスマスパーティーでプレゼント交換くらいはやるだろうから、一つは持ってきてと言われていた。
本当はプレゼントをもう一つ用意するつもりが、正火斗へのプレゼントに直前まで取り掛かってしまいスッカリ忘れてしまっていたのだ。
友達のような人達とだけのクリスマス会だと思っていたので、なんとかなるとここに来て……あとは次から次へと思いがけない話が出てきて今になってしまった──
どうしてこんなクリスマス・イヴになっちゃったんだろう。恋人ができて初めてのクリスマスだったのに……
正火斗は配慮はしてくれている。彼はいつも優しい。
持って来たプレゼントは浅倉に渡せなくなってしまったから"後でもっと高価なものを用意する"と言ってもらっている。"自分は今年はいらない"──と。
浅倉にしてみると、それも複雑だった。
彼が忙しい人だとは分かっている。それでも、そこは我慢しようと思って2度目の交際をトライをしたのだから。
彼の方がT大に行ったらますます会えなくもなるのだろう。……だからこそ、本当は高級品なんかではなくて……1日デートとかで自分は嬉しかったんだ。
未練を残さないためにした玉砕覚悟の告白は、思いがけず受け入れられた。
学校やスマートフォンで話すようになり、やっと……やっと距離が縮まってきたように感じていたのに。
────何故だろう? ……ここに来てから、正火斗をひどく遠くに感じる。
あれこれ考えていると、踏み台に上がって懸命に棚の奥の方にプレゼントを押入れようとしている──真淵聖が目に入った。
「手伝うよ」
中等部ではバレーボール部でアタッカーだった浅倉は背が高い。
彼女は易々と、聖が届かない奥にまでプレゼントを押し込──もうとしたが、引っかかってうまくいかない。
よく見ると、すでに一つ細長い箱のプレゼントが入っていたのだ。これでは奥に入れれるわけがない。
聖に浅倉は確認した。
「正火斗とはここにプレゼントを入れるって打ち合わせてあるのよね?」
彼はコクコクとうなずく。
そこで、浅倉はすでに入っていたプレゼントを脇に寄せて聖のプレゼントを入れた。
彼女はプレゼントが2つ並んでいるのをしばらく眺めていたが、やがて先に奥にあったプレゼントは取り出してテーブルの上に置いた。
それから……願いを込めて聖のプレゼントの横に、自分のプレゼントを入れてしまった。
どうしても、こうしたいと思ってしまったのだ。
彼女は心の中で祈った。
どうか うまくいきますように




