023 暗雲の幸運
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○斉藤豊子・華蔵家女中頭。
残っている人間は100人弱くらいだろう。
華蔵家大広間巨大クリスマスツリーの前で、マイクを持った豊子の"プレゼント探しゲーム"の説明が始まる。
巨大クリスマスツリーの傍にはラブッキーくんもちゃんといた。
「今年もやって参りました。大人気白吹村名物聖夜のゲームを始めますよ。
"プレゼント探しゲーム"は女性は1階 厨房以外、男性は3階 宿泊部屋以外にプレゼントを隠せます。(どちらもトイレに隠すことは禁止)
皆様、包装紙の内側に名前を書いてきてもらっているかと思いますが、忘れてきてしまった方にはペンをお渡ししますから、外からは見えないところに小さくても必ず記名して下さい。
獲得したものは、本日のクリスマスプレゼントとして大切にお持ち帰り下さい。
プレゼント探しのあとは、ネームシールを着衣に貼って頂きます。プレゼントを獲得した相手を互いに確認したり、名前を呼んで探しても良いです」
みんな静かに豊子の話を聞いている。
「夜9時から10時までのいずれかで10分間、会いたい場所と時刻を指定して包装紙に書いたものを、プレゼントの相手にのみ返却ができます。
自分が包装紙を出した相手への指定時間と,受け取った相手への指定時間については、様々な場合が考えられますが、どうするかは自分の判断になります。
尚 話している相手に断って、途中から他の相手に会いに行くことはルール上は問題無いとご理解下さい」
そして、豊子は言った。
「今夜は10年ぶりに、新当主になられて白吹村に戻って来られた華蔵理人様と妹の透子様も参加なさいます。
又、透子様の後輩である鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーの皆様もゲームを楽しまれる予定です」
おぉ────!
キャアァァァァ!
その歓声には異様な熱気と期待がこもっていた。
"理人"や"透子"については"白吹の呪い"を地元民は知ってはいるはずだ。だが、おそらくはアイドルとの握手のようなもので、聖夜に10分間だけでも2人で話せたら人生の思い出になるのだろう。
鳳翔院学園メンバーについては──以前風晴の地元でも起こったように──田舎で東京のエリート高校生達が着物など着て煌びやかにしていては、いやがおうにも注目を集めていたようだ。
ここで参加者が確認される。事前に参加希望は取られているそうだが、プレゼントを用意して包装紙内側に名前を記入するなら当日申し込みもできるらしい。
男47人女48人が今年はエントリーした。
男性側の数が足りない。そのために男性は"スペシャルサンタ"として──プレゼントを複数隠せる幸運な人物をくじ引きする。
「今年は直前に男性1名のキャンセルがありました。最終参加人数は男性46名となります。用意していない2つ分のプレゼントはこちらを使って頂きます」
と、豊子は残っていた"紅白饅頭"を指差した。
「な、なるほど……」
風晴達も納得の采配だ。
スペシャルサンタはプレゼントを3個隠せるということだ。こうして、沢山の女子と話ができる機会が多くなる幸運の男のくじを────
桜田風晴が引いた。
「え?」
赤いラインの割り箸を引いた時、女子の声も上がったが 風晴は素直に喜べなかった。
自分は今"エリート進学校鳳翔院学園の生徒"として見られているのだ。
正火斗は やはりこのクリスマスパーティーは限りなく混迷していくようだ──と気が滅入った。




