表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第2章 再会の行方

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/41

014 腹が減っては

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


 



 正火斗の部屋に入った風晴はまず彼に言った。


「腹 ()ってないかと思って──コレいらない?」


 そう言ってカップラーメンを渡す。定番のコンソメ味のヤツだ。

 受け取りはしたが 正火斗は困惑(こんわく)しているようだ。風晴は言葉を加えた。


「夕食──食えてないみたいだったから。下げてもらってただろ?」


 確かに食欲は失っていてほとんど残していた。それでも驚いた──風晴とは席は近くなかった。


「民宿に外人さんが来ることもあったんだ。だから母さんに教わってた。

 コース料理はフォークとナイフを4時の方向にそろえたら"下げて"という合図(あいず)だから、それっぽいのを見かけたら"下げていいですか?"って聞けって」


 風晴は続けた。


「お前の手元がなんとなく……そういう所作(しょさ)っぽいのが続いてたから気になってた。それで、こういうのの方が入るかもなって」


 そして風晴がカップラーメンを指差した時 正火斗の腹は鳴った─── グ〜〜〜〜と。情けなく。

 バツが悪いこと このうえ無い。


 風晴は笑いを噛み殺して言った。


「食えよ」









 保温ポットにお湯はあり、備えつけのボードの引き出しにはグラスや小皿、カトラリーが一通りあった。

 風晴と聖の部屋の冷蔵庫と同じように、ペットボトルのミネラルウォーターやスポーツドリンク、オレンジジュースとコーラ、ビール缶が入ってる。


「何 飲む?」


 風晴が聞くと、カップラーメンにお湯を注いでいた正火斗からは


「何でも。風晴の飲みたいものでいい」


 という答えが帰ってきたのでコーラにしてみた。

 桃のムースだけでは糖分(とうぶん)が足りてない気がした──その目まぐるしく動いているだろう彼の頭脳には。


 サイドボードの上に2つ出したグラスにペットボトルのキャップを開けてコーラを注ぐ。ふと見上げると 大きな窓からは月が見えた。


「風、おさまったんだな。吹雪(ふぶき)になるかと思ってた」


 外は一面が白い雪で、木々の枝も雪をまとっている。その白さは月光を反射して明るい程だ。


 正火斗はただうなずいただけだった。


 それを見て…………なんとなく黒竜池で会ったばかりの頃の聖を風晴は思い出した。(おび)えているような、警戒(けいかい)されているような────まさか! 大道正火斗がそうなるわけがない。


 よぎったくだらない想像を消す。風晴はコーラのグラスを2つ持つとカップラーメンのあるテーブルの方に向かった。1つを正火斗に渡す。


 受け取った正火斗は椅子に座り、持っているコーラに口をつけた。

 風呂上がりの身体に甘い…炭酸の(はじ)ける液体が()み渡る。

 うまい──と感じた。喉が(かわ)いていることにも……気づけていなかった。


 向かいで風晴もコーラを飲んでいた。が──正火斗のグラスが空に近くなったのを見て、彼は自分のグラスを置いた。

 (だま)って立ち上がってサイドボードの上に置いたままだったコーラのペットボトルを取りに行く。

 持って来たコーラの残りを、風晴が全部 正火斗のグラスに注ぎ入れたので、正火斗は


「ありがとう」


 と言った。風晴は


「お前の部屋のだから」


 と こともなげに返した。

 カップラーメンのいい匂いがしてきて、正火斗は(ふた)を開けた。

 冬の部屋に湯気(ゆげ)が立ち上がり、嗅覚(きゅうかく)視覚(しかく)刺激(しげき)されてか驚くほど空腹を感じる。

 正火斗は(はし)代わりのフォークをカップラーメンに入れて少し底から かき混ぜてから、(から)んでいる麺を口に入れてすすった。



 ────なんでだ?



 誰にでもなく頭の中で問いかけるほどに




 それは メチャクチャうまかった──








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ