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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第2章 再会の行方

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013 開けられる扉・閉じられる扉

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。


 



 風晴と聖は自分達の部屋へ戻った。

 風呂から上がると、グッタリとしている自分がいた。

 なんだかんだと……メチャクチャ疲れた……

 スマートフォンがあまりアテにならないので、とりあえずテレビをつけてみる。だが、内容は頭に入って来ない。


 てっきり今夜は、クリスマス準備でもしながらパジャマパーティーの時のような感じになるかと思っていた。だが水樹は髪を染めているし、正火斗を始めみんな疲れている感じがした。

 このペンションには1週間程はいれる予定で来ている。急がなくともみんなと話せる時間はまだまだ沢山(たくさん)あるはずだ。



 それにしても今日の正火斗は気にはなった。


 キレていたし、落ち込んでいたし、(あせ)っていた。口調や所作が乱暴になる彼を初めてみた。感情的で余裕のない感じだ。何より食事が…………


 テレビの前であれこれ考えていると


 カチリ


 という音が寝室の方から────した。

 寝室の扉は開けっぱなしにしていたので、風晴はただ姿勢を変えて暗い寝室の方を向く。

 聖はお風呂で、誰もいないはずの寝室から


 ガチャガチャ


 と音がする。


 ()()()()()()()()だ。


 風晴は立ち上がって寝室の入り口まで行って立ち止まる。

 ──やはりあの"開かずの扉"のドアノブがガタガタと音がしているのだ。

 音だけでなく、それは動いて──回った。


(誰か入ってくる…………!!!!)


 ザワッと恐怖が全身を襲う。一瞬 聖に知らせなくてはと思ったが声が出ない。その間にも扉は動き開かれ、反対側からドアノブに手をかけて押す右手さえも もう見えた。


「……こんばんは」


 混乱の中でも、風晴はなんとかその声に聞き覚えがあることに気付いた。すると声は出て、名前を呼ぶことが出来た。風晴は叫んだ──


「理人さん!!」


 開かずの扉からは、華蔵理人の姿が現れた。










 何もかもがメチャクチャだった。


 自分の中の感情が入り乱れて判別も出来ない────いや判別したくない


 自室の降り注ぐシャワーの下で正火斗は固く眼を閉じた。


 桜田風晴と自分には()()がある──()()とは決して呼びたくない。

 自分達の父親には罪があり、僕はそれを隠した。

 彼は何も知らない。これから先も知ることは無い。


 同時に 僕はあの夏 自分の中の彼の存在が よく分からないものになった。

 怖くなって逃げ出したほどだ。

 万が一にも……父と同じ道を進みたくなかった。




 ────落ち付け




 自分自身に言い聞かせる




 何も始まっていなかったはずで

 今も始まっていない




 浅倉奏衣に問題は全く無い。不満も無い。自分を長く想ってくれて性格が良くて可愛い──これ以上望むものもない。


 一緒にいたらきっと……好きになれる

 いつかは愛せる……はずだ




 だから何も恐れる必要も無い




 瞳を閉じたまま うつむく。両手でシャワーのお湯を顔から(ぬぐ)う。ただそれは次から次へと流れ落ち、意味は なさない。

 正火斗はボディソープを手に取って泡立て身体を洗いだした。


 何かに せき立てられるかのように

 何かに 追われるかのように








 脱衣所で着替えて出てくると、誰かがノックする音がした。

 浮かんだのは、今日の自分を心配した水樹や秀一 ──それに浅倉奏衣だった。スマートフォンでやり取りが出来ない状態だし、来たのかもしれない。


 ちゃんと向き合わなくては


 正火斗は扉を開けた。


「ごめん。休んでいるところに」


 そこにいたのは風晴だった。


 思いもかけない相手で──しかも彼は何故かカップラーメンを一つ持っている。さらには、予想もしなかった言葉を口にした。


「入れてくれないか? ──理人さんの真意(しんい)は別にあったんだ、正火斗」



 いよいよ自分が何に混乱(こんらん)しているのかも分からなくなってきた。

 明日はこれ以上混迷(こんめい)(きわ)めるのだから、もう頭がおかしくなるかもしれない。



 正火斗は扉を開け放して風晴を通した。


 そうするしか──ない




 そして 扉は閉められた。







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