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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第2章 再会の行方

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011 告白ゲームの残酷な罠

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。


橘信蔵たちばなしんぞう・華蔵家執事。

斉藤豊子さいとうとよこ・華蔵家女中頭。


 



 桃のムースを食べ終わっていた透子は、両手を(ひざ)の上に(かさ)ねて話し出した。


「私は現在も女学院に在籍中ですが、白吹の者に学校名を明かしたことはありません。

 ──ここは一つ"華蔵透子"が鳳翔院(おうしょういん)学園女子寮に在籍中ということにしてはどうでしょうか。そして、ミステリー同好会にいた3年生で、あなた方後輩を招いたということにしては?

  水樹様があなた方と親しくしていても不思議はなくなりますし、学校の話については水樹様は自身がご存知の鳳翔院学園のことを話せば良くなります」


「なるほど」


 と秀一だ。


「私達も嘘ついたりしないで、同好会や学校生活は話せるってことだものね」


 浅倉も肯定的だ。だが正火斗は不具合(ふぐあい)に気づいた──


「待った。それでいくと風晴と聖も鳳翔院学園の生徒ってことになるんじゃないか?」


「あのう、そこは……」


 透子が風晴と聖の方を向いておずおずと言った。


「風晴様 聖様、鳳翔院学園の生徒の()()をお願いできませんか?」


 透子は片目を(つむ)って、両手を合わせて(おが)むようにまでしてくれた。

 美人の女の子に()()()されてこんなポーズまでされたら、断れる男子高校生なんかいないんじゃないだろうか……


「いいですよ。全然頭は良く無いんですけど。

 注目される正火斗よりは気楽だし、2日間なら何とかします」


 風晴がそう返事をすると透子は丁寧にお辞儀して


「ありがとうございます」


 と言ってくれた。

 聖も透子に返事をした


「……大丈夫。……知らない人と話さない……」


 と。

 風晴は"もうコイツ、カッコイイんじゃないか"という気さえしてきた。








 食後の紅茶が出され──正火斗と理人はコーヒーを頼んでいた。

 話は豊子の明日の日程説明の続きへと戻っていた。



「クリスマス・イヴの午後からは屋敷が本格的に開放されまして、村の者達が訪れます。

 村の聖歌隊(せいかたい)の歌を聞いたり、母の会主催の紙芝居(かみしばい)を手伝って、あとは子供達にプレゼントの紅白饅頭(こうはくまんじゅう)を配ったり致します」


「……こ、紅白饅頭(まんじゅう)!」


 水樹が言葉しか聞いたことの無いものを()(かえ)した。


「クリスマスに饅頭(まんじゅう)なんですね」

絶妙(ぜつみょう)和洋折衷(わようせっちゅう)……」


 椎名と秀一も戸惑(とまど)っている。


「夜はツリーを点灯(てんとう)して、立食で軽食を出しますよ。それから"プレゼント探しと告白ゲーム"になります」


 豊子はニコニコしながら続けた。


「前に理人さんが言ってた時も気になっていたんだけれど、その"告白ゲーム"って言うのは一体なぁに?」


 浅倉が聞く。


「昔から時折この館で行われた独身の男性と女性が参加できるゲームです。高校生から参加できますが、必ずクリスマスプレゼントを一つ持参しなくてはなりません。持ってきたプレゼントの包装紙には自分の名前を書くルールです。 1階は女性がプレゼントを隠し、3階の宿泊室以外には男性達がプレゼントを隠します。

 男女が入れ替わってプレゼントを探します。見つけたプレゼントは──」


 そこで豊子は一拍置いた。


「まず、見つけた人は中身をもらうことができます。

 それから包装紙の名前で持ってきた人物を確認し、気に入れば自分の名前と指定時刻と場所を書き込んで、包装紙のみ返せます。

 指定できる時間は夜の9時から10時までの間の10分間です」


「10分!」

「短いですね」

「ええと、自分が持って来たプレゼントを見つけた相手からの申し込みもあるわけだから……」


 高校生達の困惑の言葉をうけて、それまで部屋の(はし)で立っていた橘も言葉を()えた。


「かぶっていた場合、誰を優先するかは本人次第です。ただし、相手もかぶっていて ()()()()()()()()()こともある。時間をどう指定するかは頭脳(ずのう)プレーになります」


 面白そうに橘はアドバイスをした。彼はもう何年もこのゲームを見て楽しんでいるのだろう。


「正火斗くん、"華蔵理人"の名前があればすっぽかされることはないから、そこに頭を使う必要はないよ」


 配膳されたコーヒーを飲みながら理人は言ったが、正火斗の反応は冷たかった。ノーリアクションだ。


「本当だ。自惚(うぬぼれ)れではなくて──ここはそう言う村だから。

交際はともかく、話したりちやほやするのは喜ばれるはずさ」


 理人はそうして味わったコーヒーのカップをソーサーに戻した。


「何にせよ10分間のトークタイムのあと、参加した独身男性は告白する権利をもらえる。どの女性にしてもいいんだ。ツリーの前で告白して女性にOKをもらえば、村公認のカップル成立になる」


 理人の言葉は、いつの間にか力強く……高圧と威厳のこもった()()ものになっていた。そして、それは正火斗に向けたものではなく──


「正火斗くんにはこの告白まで参加してほしい。つまり、彼に誰か()()()()()()()()()()()()()んだ。そうしなければ"華蔵の当主"が好意を示したことに皆が気付かないかもしれないからね。

 誰しもが知る状態にしてこそ、僕の潰したい連中も動くだろうよ。

 ──すまないね。あなたの彼氏にあなたの眼前でそれを()いて」


 それは浅倉奏衣に向けられていた。

 浅倉は動けずに理人をただ見つめ、青ざめた。






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