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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第2章 再会の行方

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010 お互いへの報告を

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。


斉藤豊子さいとうとよこ・華蔵家女中頭。


 



 食堂に行って まず話題になったのは、令和の高校生にとっては緊急事態(きんきゅうじたい)的なことだった。


「ここスマホの電波が壊滅的(かいめつてき)に悪いんだけど!?」


 浅倉は、実際にスマートフォンの電波表示を確認しながら言った。


「僕も気づいてた。……でも繋がる時はあるよ。全く駄目(だめ)じゃないみたいだ」


 秀一が冷静に応じる。

 水樹は横にいた兄に声をかけた。


「兄さん大丈夫? 会社の方って……」


「もう(しら)せた。何かあれば館の固定電話に連絡するようにと。……黒電話って初めてかけたな」


 正火斗が水樹に答えたが、その声はなんだか力無い。


「ジーコロロジーコロロってヤツですね。オレはかけてみたいかも」


 桂木は前向きだ。椎名も


「私もちょっとやってみたいです。ある意味 貴重(きちょう)な機会ですよね」


 と興味津々(きょうみしんしん)で言った。

 話の流れから──風晴は祖父の家に黒電話があって、(いま)だに現役(げんえき)であることは(ひか)えた。水を差すようで嫌だった。


「すまないね。宿泊施設として設備は整えたんだが、吹雪が起こるとどうしても通信状況が悪くなるようでね。──固定電話は問題無く繋がるはずだ」


 理人は謝罪してから、ニンジンのラペの前菜(ぜんさい)を口にした。

 風晴は橘の言葉を思い出して"いただきますだ"と思った。橘は他のメンバーにも当然伝えてあるのだろう。みんなが、理人が食べてから食べ出した。

 夕食は──ある意味予測はついていたが、バッチリコース料理だった。

 風晴も最低限のルールやフォークとナイフの使い方は知っているが、身については(まった)くいない。

 すると隣りで聖が料理を運んできた豊子(とよこ)


(はし)はありますか……?」


 と聞いていたので、勇者だと思った。

 言われて、豊子は箸の沢山入ったケースを聖の前に置いてくれた。


「ご自由にお取り下さいませ」


 とまで言ってくれたので──聖、風晴、桂木、椎名は()(がた)く箸を手に取らせてもらった。

 彼らの中で聖は伝説の勇者に格上(かくあ)げとなり、豊子は慈悲深(じひぶか)菩薩(ぼさつ)となった。



 その後、風晴と聖に浅倉奏衣(あさくらかなえ)が紹介された。

 そして簡単にだが、浅倉の方にも夏休みのA県黒竜池(こくりゅういけ)の事件についても説明がされた。

 正火斗はもうミステリー同好会を完全に引退していて、部長として安西秀一が取り仕切った。


 浅倉奏衣が今は副部長で、T大に合格した正火斗に告白して今は彼女だとも 風晴と聖は知った。

 はつらつとしているポニーテールの浅倉は間違いなく美人の部類で正火斗とはお似合いだ。

 水樹が秀一と付き合っていることより、よっぽど受け入れ易かった。──あの2人は本当に()めたから。

 ここでミステリー同好会には、まだもう1人部員がい()こと初めて聖は知った。風晴は夏休みになんとなく聞いていた覚えがあった。いわゆる"幽霊部員"らしい。



 そうして食事の時間は進んでいった。

 デザートの桃のムースが配られると、理人が豊子(とよこ)目配(めくば)せをしている。

 豊子は一礼してから、話し出した。


「皆様、食事中に失礼致します。お時間が限られておりますから、どうぞムースを食べながらお聞き下さい。明日の日程について説明をさせて下さい」


 みんなが一斉に豊子を見つめた。


「明日と申し上げましたが……この後、大道水樹様のお(ぐし)は染めさせて下さい。一度洗い流すことを考えますと、どうしても今夜行わなければ間に合いません」


 豊子の言葉に水樹はうなずいた。水樹の髪は腰まであるし、本人もその通りだと思ったのだろう。


「明日の午前中は正火斗様、水樹様を始めご希望の方を着付け致します」


 わぁ……!と主に女子達から歓声があがる。


「私達までいいんですか?」


 浅倉の問いかけに豊子は


「構いませんよ。明日はもっと沢山の使用人も参ります。今日が必要最小限なのですよ」


 と笑顔言った。


「着物……和装でクリスマスかぁ」

「正月が一足早く来た感じかな?」

「印象深いクリスマスにはなりそうだ」

「……シュール……」


 神宮寺、秀一、桂木──最後が聖の言葉だった。

 ここで風晴はあることに気づいた。

 豊子ではなく座っている理人に向かって聞く。


「理人さん、オレ達って一体どういう"役"なんですか?」


 正火斗と水樹以外の、ミステリー同好会メンバーが"そういえば"という顔をした。

 理人はポカンとして


「あ……」


 と言った後、続かない。

 正火斗が


「何も考えていなかったんですね?」


 と厳しく指摘した。彼は今日はずっと機嫌が悪いようだ。

 ──無理もないが。


「正火斗様、皆様、それについては私から提案がございます」


 華蔵透子の声だった。彼女はニッコリと微笑んで話し出した。






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