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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第2章 再会の行方

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009 まばゆい部屋ともう一つの扉

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。


◾️これまでのあらすじ

夏休みに共に過ごした鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会することになった風晴と聖。

しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、現当主の理人と透子兄妹から、正火斗と水樹はクリスマスパーティーでの身代わりをお願いされてしまう。

 



 広間では、その後 理人(りひと)が立っている使用人達の紹介をしてくれた。


 燕尾服(えんびふく)の老紳士はやはり執事で、橘信蔵(たちばなしんぞう)

 高齢だがシャンとしている白髪のメイドは女中頭(じょちゅうがしら)斉藤豊子(さいとうとよこ)

 コックの姿をしている太った男性は料理長の山原海(やまはらかい)

 そして背が高い理人の同級生である冴木拓眞(さえきたくま)は運転手で、この時期は雪寄せ等もやっている。



 紹介が終わると夕食の時間が近いと言うことで、一度お開きとなった。

 そこでやっと、風晴と聖は自分達の部屋に通されることになった。大きな荷物はすでに運び込まれているらしくて 橘についていくだけで良かった。

 途中で


「他のご友人達は2階の客室です。扉にネームプレートが下げられておりますから、会いたい方はそれを見てお探し下さい」


 と説明を受ける。

 みんなと離れて3階なんだと気づいて少し残念だと思ってしまった。でも名前付きなら、確かに探しやすそうだ。

 幅の広ーい階段を3人は上がった。小学校の階段を風晴は思いだしたが、それよりも幅があるかもしれない。(のぼ)りながら手摺(てすり)には獅子が()られているのが目に入る。高級感は小学校の階段には無いものだ。

 (あが)りきると、3階はさらに装飾が(ほどこ)されていて圧倒(あっとう)された。


「うわぁ……」


 ただの廊下なのに窓や天井が(すご)い。ステンドグラスも使われていて花や図形の(がら)と あい合わさり、異国を思わせるデザインになっていた。

 外国人女性の顔の石膏(せっこう)の彫刻が飾られていたし、馬の銅像もあった。絶対高そうだと、風晴は慎重(しんちょう)に通り過ぎた。

 かなりの大きさの山の風景画もあった。

 やがてようやく"桜田風晴様・真淵聖様"とプレートのついた扉を見つけた。


「どうぞ」


 と橘に(うなが)されて扉を開けると、中はまた素晴らしい部屋だった。何よりも、2人部屋とはいえ広かった。バストイレと洗面以外にテーブルとソファ、黒い小型冷蔵庫にテレビやデスクのある部屋が一つで、それ以外にまた広い寝室がある作りになっている。


「お部屋の鍵はベッドわきの化粧台の引き出しにあります。普段(ふだん)貴重品(きちょうひん)を身につけられていれば、鍵は不要です。しかし24日・25日は外部から人が入りますから、必ず鍵を閉めるようにして下さい」


 と橘は説明してくれた。

 聖は部屋を見回して


「……女の子……喜びそう……」


 という感想を言った。風晴も同意だった。女子がキャーキャー騒ぎそうな部屋だ。

 天井はやはりシャンデリアが()るされているし、ベッドも格調(かくちょう)高い感じでシーツはピンク系だ。化粧台は絶対アンティークな代物(しろもの)だと直感する。


「どっかのスイートルームでこんなのありそうだな」


 想像しか出来ないが、風晴はそう言った。

 それから、もう一つ片開(かたびら)きの扉があったのでノブに手をかけた。


「ん?」


 まだ部屋があるのかと開けようとしたのだが、ドアノブはガチャガチャと言うだけで開かない。

 ドアノブの音に気づいて聖まで近くに来ていた。


「そちらの扉は今は使われておりません」


 寝室の入り口に立って橘が告げた。


「……そうなんですね。……すみません」


 風晴は慌ててドアノブから手を離す。


「いいえ。説明を忘れておりました。鍵が今は無くなってしまったと聞いております」


 風晴と聖は、橘の話に機械的にうなずいた。

 そして改めて──目の前の茶色の木造りの一枚の扉を(なが)める。


「"開かずの扉"か……」


 風晴は(つぶや)いた。


「30分後には夕食の時間です。当館では、一つだけ食事においてルールがございまして」


 橘の話に風晴と聖は振り返った。


「テーブルに御当主の──理人様がいらっしゃる時には、理人様が食事に口をつけてからが、"いただきます"となります」


 風晴は分かり易く聞きたかった。


「当主よりも早く食べるなと言うことですね?」


 橘は微笑(ほほえ)みを(くず)さない。


「さようでございます。そのことだけはお守り下さい」


 そうして、彼は一礼をして去って行った。


 

 静かになった部屋で、聖は風晴に言った。


「なんだか……大変なクリスマスに……なりそう……」


 聖は不安そうな顔をしたが、風晴は返す言葉が見つからない。──否定できない気がしているからだ。


 窓を通して風の音だけが、大きく耳に届いている気がした。

 それは 吹雪を予感させる音だ────







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