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【現代推理完結済】炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第15章 その出口を探して 

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120 当主の決意

ー登場人物紹介ー

※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子(かぐらとうこ)・理人の妹

 



 華蔵理人は今朝から3階の当主部屋へと戻っていた。大道正火斗は来た時に割り当てられた2階の客室へと戻った。


 彼と透子は、そこで正火斗の部下の音谷伸吾(おとやしんご)から一連の流れを説明されていた。

 メディア前とメディア無しの場での()()いの仕方(しかた)もだった。それからプレゼンテーション後の夜について。


 それが終わると音谷は部屋を出て行った。透子も行こうとすると 理人は呼び止めた。


「透子」


「はい?」


 いつものように妹は兄に振り返る。


「危険な橋は渡るが僕に命の心配はないから。────それでも(たく)しておきたい。これを」


 理人は首から下げていたチェーンを(はす)すと、手にして透子に歩み寄った。

 透子がチェーンの下部に視線を走らせると、そこには2つの(かぎ)がついていた。


「一つは銀行の鍵だ。不動産関連の書類は皆そちらに(そろ)っている。もう一つは……()()()()()鍵だ。お前に(あず)かっていてほしい」


 透子は鍵を(にぎ)りしめて兄を見つめた。


「兄様……」


 その瞳があまり心配そうだったので 彼はむしろ笑った。


「大丈夫だよ。前にも言ったが……僕より危ないのは正火斗くんだ。だが彼を巻き込んだ責任は僕にある。何かあれば彼を見捨てたりは…………してはいけないと思うんだ。

 だけど僕は薄情(はくじょう)だからね。"妹が心配だ"とか"妹は僕がいないと"なんてやっていたら、本当にあの小憎(こにく)らしい男前を見殺しにしてしまいそうだ。

 だから透子、お前がそれを持っていてくれたら僕は安心なんだ」


 彼は続けた。


「別家達が(さわ)いだりお前に結婚を()いて来ても決して(くっ)してはいけないよ。

 "白吹(しらぶき)の呪い"は僕と彼で終わらせる。お前は自由に生きていいんだ」


 兄に"そんなことはやめて戻って来て"と言いたい自分もいた。だが、華蔵理人が人間(ひと)として当主としてそうしようとしている気持ちも──痛い(ほど)分かった。

 確かに 自分達は彼らを()き込んでしまったのだ。

 そして 自分や兄自身のためにも"白吹の呪い"は終わらせるべきだ。


「────お2人共……ご無事で戻って来て下さい」


 そう()げると透子は静かな礼をし、部屋を出て行った。

 理人はその(すべ)てを 優しい眼差(まなざ)しで見送った。








 その後彼は窓辺(まどべ)に立ち──大型トラックから洋館へと運び込まれていく機材(きざい)を見ていた。まるで誰かを待つかのように。

 すると扉を叩くノックの音がした。


「どうぞ」


 理人が言うと扉は開き ()()()は素早く入って来た。


「来てくれると思っていた。連絡した通り──"最後の仕事"をお願いするよ」


 たたずむ訪問者(ほうもんしゃ)に理人は微笑(ほほえ)み 、最後に付け(くわ)えた。


「大道正火斗には気をつけろ。彼はどこまで()ぎつけているか分からない」








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