115 Bチーム対Cチーム……の陰で
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹
桜田風晴は真相に近づいていた。
椎名からLINEをもらっていたのだ。夕方に来たそれには 椎名の気持ちと現状が書かれていた。
なんと正火斗と浅倉は昨夜別れてる。
その浅倉は今日、白吹村の高校3年生に告白された。
桂木は中等部からずっと浅倉を好きだったようで、椎名は────椎名は、桂木への片想いをスッパリ諦めて それを応援したいと書いてあった。
なんとも うまくいかない
しかも ややこしい
椎名は桂木をあんなに……苦しくてどうにもならないくらいに好きになっていた。心がけたからってそれをすぐに消したり変えたりなんて……できてるわけない。
浅倉だって──きっとそうだ。好きな人と付き合えて喜んでいたはずなのに、別れたからとすぐ次の人には……やはりいけないんだろう。
風晴の恋愛経験値がいかに低くても、浅倉の目が正火斗を追っているのは分かった。
浅倉が 椎名と正火斗を見つめていたのにも気づいた。
桂木は正火斗とギクシャクしている。
どうにもならないのかもしれない。誰にも──誰かの気持ちを一瞬で変えることはできなくて。
それでも…………
Bチーム対Cチームは作戦タイムに入った。
その間、風晴はヒットカウントチェックのボードを持った浅倉に声をかける。
「浅倉、オレ次はキーパーを理人さんに任せて攻撃に回りたい。Cチームの要は正火斗だと思う。一緒に倒しにいかないか?」
少し驚いたような顔を浅倉はしたものの、すぐに食いついて来た。
「やる! やりたい! 一泡吹かせてやりたい!! でも人数はあちらが上だし、彼は適材適所に配置してくるでしょうね。──どうする?」
「いい作戦がある。浅倉は桂木に向かって行ったら良いと思う。で、雪玉で狙うのは正火斗」
「慎に? でも彼も運転やスポーツも得意だから、すぐ私 当てられるかも……」
浅倉は不安そうだ。風晴はわざと自信満々に言った。
「オレもなるべく早く援護するつもりだけど……桂木は浅倉に本気では当てないと思う。あいつ優しいから──浅倉には特に」
言われて浅倉は目を見開いている。──やはり思ってもみなかった言葉なのだろう。
風晴はもう ややこしさは充分だと思ってた。誤解で傷つく必要はない。少しは解きほぐれるべきだ。
だが浅倉は笑い出した。
「慎が私に!? ううん、彼は女子にはみんな優しいから。特に私がってことは無いと思う」
Bチーム対Cチームの雪合戦が始まっていた。自分達も観戦もしなくてはいけない。風晴は口早く、しかしハッキリと言った。
「頭脳戦だと正火斗に敵うわけない。オレは直感型だから、Cチームを揺るがせるのはそういう作戦かなって。──試してみたら?」
言って風晴は立ち去った。自分のことを"直感型"なんても思ってもみてないが──とにかく何か……浅倉達が"真実"を見つけるきっかけになったらいいと思った。
もし心が見えるなら────見られるのは嫌だけれど、でもどんなに世界は楽だったろう。
だけど実際は見えないし聞こえて来たりはしないから、自ら言葉で伝えたり感じ取ったりしなくちゃいけない。
Bチーム対Cチームは4人対4人なこともあって、競り合ったが、勝敗は思わぬところで決した。
Bチームのキーパーが聖、Cチームのキーパーが椎名だった。双方のキーパー達まで行かず、中央ライン付近での投げ合いになったのだ。
それはそれで見所はあった。走り合いや避け合い、ぶつけ合い。防御壁の雪山の利用も各々あった。
奇跡的に退場者がまだ1人もいなかったが──
投げ合っていた雪玉の一つが遠くに飛んだ。
それはたまたま────背の低い椎名の頭の上を越えた。
「あ!」
椎名が声を上げて反応したが 遅かった。
コン!と音が確かにして、キャンドルは倒れ──火が消えた。
「勝者Bチーム!」
水樹や透子、秀一や聖が喜んでいた。
Cチームは椎名をフォローして正火斗が
「たまたまだから仕方ない。それに僕の配置が悪かったんだ。次は僕がキーパーをやるよ」
と言っている。その声は風晴の耳にも届いた。
「桜田くん」
呼ばれて振り返るとすぐ後ろに浅倉が来ていた。
「とにかく勝機があるなら何でも やってみたい。私、正火斗を崩したい」
風晴は うなずいた。
「理人さんに言いに行こう。多分次は……スピーディに決まることになると思う」




