113 Aチーム対Bチーム2
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹
○橘信蔵・華蔵家執事。
○赤沢幸太郎・新しい華蔵家運転手。
〜雪合戦チーム分け〜
Aチーム 浅倉奏衣・華蔵理人・桜田風晴
Bチーム 大道水樹・華蔵透子・安西秀一・真淵聖
Cチーム 椎名美鈴・大道正火斗・桂木慎・神宮寺清雅
「雪合戦スタート!!!!」
橘の声でAチームBチーム共にキーパー以外の攻撃者は敵の陣地に向かう。
Bチームの水樹だけは試合開始前作った雪山の陰に入った。とても低くしゃがんでも顔は出てしまうが、顔は狙われないことになっているので気にしない。
第一試合で──お互いに勝手が分かっていない感じだ。
キーパーである聖や風晴も自衛のために しゃがんで雪玉を作りだす。
キーパーは動いても良いことにはなっているが、後ろに消されたら負けの赤キャンドルがあるのだ。基本は立ち塞がるしかない。
雪国育ちの理人は素早く雪玉を握り、相手キーパーの聖に早速一つ当てた。
「イチ!」
と当てられた数のカウントが赤沢さんから入る。
その間にも水樹が自分達の陣地の雪山の陰から理人に向けて、1投、2投、3投と雪玉を投げた。1個当たった!
「うわっ!」「イチ!」
理人の声と赤沢のカウントが重なる。
理人は
「やったな!」
と言うと、雪をかき集めて水樹に向けて連投を始めた。
「キャ…………!」
小さく叫んだ水樹が身を縮める。だが雪山が障壁になって 理人の雪玉は1つも当たらない。
「理人さん! 理人さん! それよりキーパーキーパー!」
浅倉が必死に声をかける。そこに
「そうですよ! 兄様!!」
と声がして、秀一とAチーム陣地に向かう途中の透子から雪玉が飛んできた。
「わっ!!」
「ニ! 華蔵理人様──退場!」
キーパー以外は2回当てられると退場だ。理人は呆然としている。
「大人気無い……」
「あんな退場嫌だな……」
「ムキにならないことですね……」
「役割をちゃんと決めましょう」
Cチーム正火斗、桂木、神宮寺、椎名から意見が出る。
──雪合戦の戦局はAチーム2名 VS Bチーム4名となり、一気にBチームに有利になりだした。
理人は陣の外に出た。
浅倉が聖に雪玉を当てたが、その最中に水樹が雪山の陰から出て来て2つ当てた!
「ニ! 真淵聖」「ニ! 浅倉奏衣、退場!」
聖はキーパーだから、3個当たるまで退場ではない。
────誰もがBチームの勝利が決まったと思った。
風晴も思った。
だがキャンドルの炎の明るさや、理人や浅倉が当てたことで聖の体勢が崩れた時に見えて──赤キャンドルの位置はとらえていた。
透子と秀一に雪玉を当てられた。
風晴は握っていた最後の一つを振りかぶって投げた。
指先から雪玉は放れ、少し弧を描いたがスピードに乗って夜空を飛んだ。
直後──3つ目の雪玉を当てられる。
「スリー、桜田風晴、退場!」
風晴は避けるしかなく、投げた体勢が崩れて そのまましゃがんだ。
風晴の目の前で透子の投げる雪玉が通り過ぎAチームのキャンドルに当たり火が消え────その時、Bチームのキャンドルがコン!と音がして消えた。
「当たった…………?」
投げた風晴自身が1番驚いていた。
刹那の静寂のあと──
ワァッ……!!
と歓声が上がる。だがどちらが先に消えたかは難しいジャッジだ。
橘と赤沢が中央で話し合っている。そして、うなずき合って離れた。
橘が宣言する。
「Bチームのキャンドルが先に消えています。よって勝者はAチーム!!」
そして彼は付け加えた。
「お見事な遠投でしたよ」
浅倉や理人が風晴に駆け寄る。
「やったぁ!! 絶対もう駄目だと思ってたのに!!」
「よく頑張ってくれた! エライ!!」
理人は風晴の頭をクシャクシャにした。
透子や秀一も
「凄かったです」
「諦めないところが風晴だね」
と拍手してくれた。
風晴は照れ臭くなって……笑うしかなかった。
昔、少年野球をやっていたことはあった。でも、もう投げることもずっとやっていなかったのに……
「紙一重 紙一重!」
「ナイスピッチング!!」
Cチームからも声がかかる。
正火斗も手を叩いていた。
────この瞬間を 忘れぬように




