109 知らない話ばかり
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○山原海・華蔵家料理人。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
○林有里子・白吹村役場職員。
◾️これまでのあらすじ
鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館で再会した風晴と聖。洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、24日クリスマスパーティーの後、風晴、聖、冴木の3人が洋館から姿を消す。運ばれた洞窟から風晴と聖は救助されるが 冴木拓眞は殺害されていた。パーティーの調査を進める中、正火斗達は犯行の中心人物と思われる林夫妻を訪ねる。そこでは夫妻共に刺殺されていた…………!
その日の夕食には久方ぶりに華蔵透子の姿があり、みんなが喜んだ。
夕食のメニューは青椒肉絲や小籠包、鶏白湯スープだった。
理人が食べ出し みんなが食べ始める。これも すっかり見慣れた光景だった。
桂木が
「中華か。じゃあ、山原さんはやっぱり林有里子さんのところかな」
と言った。正火斗が
「あの家には今夜は……戻らないんじゃないか。山原さんのところに林さんが行ってるんだろうな」
と訂正する。風晴が締めくくりに
「良かったよな、付き合っている人が今いて」
とまとめた。
林有里子に話を聞きに行ったこの3人以外は知らない話だったので
「「「「「ええ─────────!?」」」」」
とテーブルには声が上がる。
水樹は
「山原さん彼女できたんだ」
と驚愕している。なんだか山原サン、スミマセン。
「でも本当に……今は居てくれたら助かることですよね」
と椎名だ。
「大変な中でだと存在が際立つでしょうね」
これは浅倉。
「羨ましいです。……彼女」
と神宮寺だ。秀一は特にコメント無しだった。聖もだ。
理人は正火斗に
「明日は山原も来る確認はしてあるよ──全て予定通りに」
と言っている。正火斗はうなずいている。
それから彼は
「透子さんも明日はよろしくお願いします」
と小さくだが 頭も下げた。
透子もうなずいている。
風晴は小籠包を口に入れながら その様子を見ていた。
ついに明日────
正火斗は一体何をする気だろう。
夕食後──正火斗は広間に場所を移した。
それにはいつものミステリー同好会メンバーと風晴と聖以外に、理人と透子も加わった。
洋館に来た初日のように みんながソファについている。正火斗は話し始めた。
「理人さんと数日前から話し合っていたんだ。うちのライカム社の天気予報サイトで"巫占い天気予報"として、コーナー受け持ってみないかと」
「え"!?」「うわっ」「マジのヤツ!?」
あちこちから声が上がる。
「了承してもらったから、それを明日昼過ぎにこの洋館で発表することにしてあるんだ。プレスリリースは大袈裟にはやらないが、ローカル局と地方新聞社は呼んである。それから役場職員には手伝いをお願いしてあった。林さんは来られないだろうが、とにかく白吹村内にはかなりのニュースになると思う」
「でもそれって……」
秀一の顔は深刻だ。
「理人さんを──華蔵家当主の天気予報能力を、自分達のものだけにしようとしていた人達には完全な──反逆になるんじゃ……。
正火斗も理人さんも……大丈夫なの?」
ミステリー同好会メンバーの一同の顔が曇る。理人が
「僕は多分 命までは狙われないと思うよ。生きてこそ価値があるからね、多分。正火斗くんの方がヤバいと思う。彼、完全にあおる気だから」
理人は正火斗を指差した。正火斗は否定どころか うなずいた。
「透子さんと婚約話が持ち上がっていることにしてもらうし、彼女に好意を示してもらう段取りだ」
理人、透子、正火斗以外は目を丸くした。
正火斗は構わず進める。
「演技で、出来るところまででいいんです、透子さん。
ただ、冴木さんを殺した犯人には効果は必ずあります。協力をお願いします」
彼は改めて頭を下げた。透子は
「大丈夫です。皆様にも元気を頂きました。私もお役に立ちたいです。
正火斗様、こちらこそ宜しくお願いします」
と言い 彼女もまた礼をした。
神宮寺は
「うわぁ、来た初日は最高に仲悪かったのに。いつの間にか強力タッグを」
と言った。
みんなも同じ気持ちだった。




