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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第13章 迷路の奥へ

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108 後悔のない言葉

ー登場人物紹介ー


大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

 



 風晴は自分の部屋に戻って行った。

 その背中を見送り、正火斗は先刻(せんこく) 自分が発した言葉を思い返した。



 "僕が行くことはもうないだろうから。──風晴のところに"



 それはこの年末の後は、もう会わないという意味の言葉だ。彼にも……伝わっただろう。





 ────言えた

 言っていい言葉だ

 言うべき言葉──


 後悔はない

 痛みを感じる── 必要 も ない



 風晴は何も知らない



 僕と彼の父親達の 秘密と罪を








 彼らは



 愛し合っていた



 男同士で



 それぞれに結婚していたにも(かか)わらず



 そして 2人で 死を選んだ








 僕は(すべ)てを知っていて


 全てを彼から(かく)した


 彼の母親も知っていて────

 墓まで持っていくと言っている秘密






 風晴は両親の愛情を信じている

 そうして育った


 それは嘘ではなくて


 桜田家にちゃんと(はぐく)まれていた愛情を


 僕の父が──神城総司(かみしろそうじ)(こわ)したのだ

 執拗(しつよう)に激しく 嵐のような執着(しゅうちゃく)


 僕はそのメールでの恋文を読んで 吐き気がした




 今も理解はできない



 何故(なぜ) 風晴の父親である桜田晴臣(さくらだはるおみ)(こた)えてしまったのか




 だが永遠に理解できなくていい

 したくもない




 何もかもが 終わったこと────






 桜田晴臣も……死ぬことで守った妻子の幸せだった

 彼らも僕も

 今 風晴と母親の風子が幸せにしているのなら

 何もいらない






 秘密を知っているだけでも

 その息子同士と言うだけでも

 (そば)にいるだけで(あや)うい自分達だ




 しかも 僕は──

 (まった)く愛されては育っていないせいなのか

 愛というものの おぞましさばかり見てきたからか

 愛情がよく…分からない



 これまでの恋人達も

 浅倉奏衣も

 結局 愛せなかった



 だが男なら愛せるのかと言われれば


 それは違うと明確に否定できる



 同性愛者ならば とっくに着物姿の可愛いらしい聖に

 反応していただろう




 桜田風晴だけが 自分の調子(ちょうし)を狂わせる


 心を許して(あば)かれてしまう


 あの夏の日の縁側(えんがわ)のように


 また誰にも話したこともない話を……


 彼には気づけば打ち明けてしまっていた





 因縁(いんねん)の──まさしく(のろ)いのような相手


 近づきたくない


 (そば)にいたくもない


 隣に居続(いつづ)けてしまえば


 何か恐ろしいことが起こる気がする







 自分は神城総司に生写(いきうつ)しで

 彼の血が流れている


 あの自分の欲望にだけ忠実(ちゅうじつ)

 母親の血も




 近くにいても

 桜田風晴の人生の害になることしか想像ができない



 彼を傷つけて

 彼が大切している人も傷つけて

 彼らが積み重ねてきたものを(くず)しかねない

 それどころか きっと 残酷なまでに(つぶ)してしまう







 だから僕達は この先 会わないことが 互いへの幸せだ


 



 それでいい

 それが安全で

 それこそが正しいはず

 





 (すべ)ての罪を僕が背負(せお)うから──








 運命よ




 彼に 手を出すな











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― 新着の感想 ―
正火斗……君さぁ……。 伝え方が悪すぎるって……。
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