104 すれ違い交錯する
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○山原海・華蔵家料理人。
○赤沢幸太郎・新しい華蔵家運転手。
○林有里子・白吹村役場職員。
○葉崎達哉・25年前からの行方不明者。
○金森香世・葉崎達哉の実姉
赤沢幸太郎と正火斗、風晴、桂木は洋館に戻って良いことになった。
警察達はそれどころでは無くなったのだろ。きっと金森家の捜索と金森香世への事情聴取が始まる────
赤沢の車に行くと 既に後部座席にいた風晴が
「正火斗、金森さんが……」
と言った。
あの若い警官は大声だったし やり取りは車のドアが開けっぱなしだった。彼の耳にも届いたのだとは察しがつく。
風晴の顔は蒼白だった。
無理もない。
金森香世は風晴と聖には恩人だった。彼女が風晴にくれたホッカイロで 聖は洞窟で眠っていても助かった。
聖が無事でいなければ、風晴は立ち直れないほど打ちのめされただろう。
「大丈夫 ──ひっくり返す」
自分の言葉で 彼の瞳には確かに光が灯った。
ただ信じてうなずく その姿に
温かいものと冷たいものが同時に巻き起こるようで、判別もならない。
信頼も 絆も 欲しくない
彼から向けられる感情も
彼に起こされる感情も
何も無くていい
危うい友情の上を綱渡りしているような感覚に陥る
ただその上を行け
決して堕ちるな
堕ちる先を考えるな
帰りの車中では、車のデジタル時計はすでに午後2時近くを表示していた。
赤沢を含めた4人は昼食をどうするか話し合った。
林有里子は両親が殺されてしまい、恋人の山原海を呼び出しているかもしれない。
つまり洋館に戻っても専属料理人がいない可能性が高い。勿論 臨時の誰かがいるだろうし、風晴は作ろうかとも申し出た。
だが腹の空き具合もそれぞれではないかとなり───結局、コンビニエンスストアに寄ることになった。
風晴が車を降りて
「大道正火斗がコンビニって……なんだか似合わないな」
と ふと呟いた。
「確かに。イメージじゃないかも」
と桂木も少し笑みを浮かべた。正火斗自身はそこで
「行くけど。……都内じゃあまり入らないな」
と言ったので、風晴は"お付きの人"が行くんだろうと気が付いた。秘書や……ボディガードなのかもしれない。
雲の上の人の生活をしているなぁ
と風晴は思った。
桂木にはLINEが届いていた。
椎名からで──今日2回目だった。
1回目は午前中に
"それぞれ頑張りましょう!
桂木先輩達も気をつけて
行って来て下さい!"
と言うもので
応援スタンプ付きだった。
2回目はついさっきで
"ニュースを見ました
大丈夫ですか?"
と文字だけだった。
"大丈夫"
と返信しようとして
"オレも桜田も大丈夫
もうすぐ帰れそう"
と慌てて文章を変えた。
椎名は本当に良い子だ
心配して連絡をくれた
でも本当に知りたいのは桜田のことだろう
好きなんだから
桜田のことを知らせてあげられて良かった
桂木はそう思った。




