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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第13章 迷路の奥へ

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101 家族の写真たち

ー登場人物紹介ー

※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。


赤沢幸太郎(あかざわこうたろう)・新しい華蔵家運転手。

林有里子はやしゆりこ・白吹村役場職員。

金森香世かなもりかよ・葉崎達哉の実姉



◾️これまでのあらすじ

鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会した風晴と聖。

しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、24日クリスマスパーティーの後、風晴、聖、冴木の3人が洋館から姿を消す。連れて行かれた洞窟から風晴と聖は救助されるが、冴木拓眞は殺されていた。クリスマスパーティーの日の調査を進める中、最も犯行の中心ではないかと思われる林家に正火斗達は向かうが…………

 




 助手席に林有里子(はやしゆりこ)を乗せて 赤沢幸太郎(あかざわこうたろう)は車を走らせた。


「林さんのお宅ですね」


 と言ったあと、赤沢が道筋(みちすじ)を確かめる様子(ようす)は無い。

 正火斗は


「赤沢さんは林さんのお宅をご存知(ぞんじ)なんですね」


 と聞いた。小さな村落(そんらく)だから不思議(ふしぎ)でもないが……


「家が近いですし、私は建設会社に(つと)めてましたから。林さんのお宅を建てる時に(たずさ)わったんです」


「へー、赤沢さん大工さんだったんですね!」


 桂木が言った。


「"左官(さかん)職人"ってヤツです。床や壁にコンクリートの下地塗(したじぬ)りをするのが本職でしたね」


「じゃあ、林さんの家の壁も赤沢さんが塗ったんですね」


 風晴も笑顔で言った。


「立派な家を建てて頂いてありがとうございます。……うちの前の家はオンボロでしたから」


 助手席で有里子は(ほお)を押さえているようだ。


「いやぁ、みんな家を建て替える時はそんなものですよ。今 快適(かいてき)に暮らされているなら何よりです」


 話しているうちに車は林家に着いた。









 到着した時に正火斗は言った。


「風晴、車に残っていていいんだ」


「大丈夫」


 彼がそう返すのは分かっていた。

 だが言わざるを()なかった。

 何となくだが……嫌な予感がしている。


 助手席の有里子が車から出るのを見てから──正火斗は赤沢に小声で言った。


「赤沢さん、20分して戻らなければ警察に連絡して下さい」


 赤沢が目を見張った。正火斗は(かま)わず車を降りた。








 車を降りると冷たい風が顔に吹きつけた。今日は陽射(ひざ)しがほとんど無くて 日中も気温が上がらないようだ。

 トートバックから鍵を出し有里子は玄関を開けてくれた。

 1人ブーツを脱ぎ


「お父さん? お母さん?」


 と中に上がって、奥に行く廊下を進んで行った。

 金森香世(かなもりかよ)の家のように玄関に家族写真が何枚か飾られている。

 白吹村(しらぶきむら)では玄関で写真を飾るのが流行(はや)りなのかもなぁと風晴は思った。


 新築(しんちく)の家の前で家族3人で撮っている写真がある。

 動画ではあまり見えなかった──白黒が混じった短髪のがっしりした男性と、後ろに髪を一つにまとめた中年の女性が笑顔でいた。


 ()()

 洞窟に自分達を置いていったのは


 そう思うとなんとも言えない胸の苦しさがあった。


 もっと古い写真もある。黒髪が日本人形のように長い小学生くらいの有里子が写っている。この頃に理人(りひと)に“その髪型 可愛いよね”と声をかけられたのだろう。

 車の中で話していた通りに 昔の家はとても小さくて 屋根も壁も()がれていた。


 有里子は奥の部屋に入って、また


「お父さん? お母さん?」


 と呼びかけている。やがて


「やだ、何この(にお)い……」


 と声がしてガタガタと音がした。


(匂い……!?)


「入りますよ、林さん!!」


 正火斗は返事を待たずに靴を脱いで廊下を駆け出した。

 続こうとした風晴と桂木には


「そこにいろ!!!」


 と怒鳴(どな)った。2人がビクリとした(ほど)の声だった。

 有里子の入ったドアを開ける前に


「きゃああああああ!」


 と悲鳴が上がった。


「林さん!?」


 正火斗がドアを開ける。


 瞬間、開けたドアから冷たい風と共に 鼻につく灯油の匂いがした。

 部屋の中では 窓が開けられていて有里子がガタガタと震えていた。

 彼女が寒さに震えているわけではないことは正火斗はすぐに分かった。

 驚愕(きょうがく)している有里子の視線の先には 倒れている2人の人間がいた。誰なのか問うまでもなく、有里子はそれを叫ぶ。



「……お父さん……お母さん……!」



 林有里子の父親と母親は血に(まみ)れて────殺されていた。







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