098 明かされる聖夜2
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
○ 秋月未来・白吹村役場職員。
○林有里子・白吹村役場職員。
2025年12月28日10時20分頃
安西秀一と神宮寺清雅は 白吹村を出た先の枯里市にある大型ショッピングモールで、秋月未来から話を聞いていた。
秋月は今日はここで買い物があった。
2日続けてで申し訳無いものの こちらも時間も無いので、秋月の買い物を手伝いながら 途中の休憩時間で話をしてもらうということになっていた。
ショッピングモールの中をコートを着て女性の買い物に付き合い荷物持ちをしていたら……男子高校生はヘトヘトだった。
秋月が休憩にアイスショップを候補に挙げても異議は無かった。冬でも大歓迎だ。
3人はカップにレギュラーサイズのアイスを選んで席に着いていた。
約束通り秋月は話をしてくれた。
「それじゃあ秋月さんは 林有里子さんに頼まれて、クリスマスパーティーのトークタイムで冴木さんと話をしていたんですね?」
秋月に好意を寄せている神宮寺は 安堵したように確認した。
「そう。有里子先輩と冴木さんは元々同級生だから たまに2人で話してた。
私は冴木さんとは顔見知り程度だったけれど……実は……」
「実は、なんですか?」
秀一は真剣な面持ちで聞いた。神宮寺も神妙な顔つきで続きを待つ。
「冴木さん、ちょっといいなって思っていたの!
神宮寺くんとは始めの10分で終わるし、私のプレゼントを受け取った酒屋の息子さんよりも冴木さんと話したいなぁって思っちゃって! それで有里子先輩の話を引き受けたのよ」
「そ、そうなんですか……」
確かに冴木拓眞は外見が良かった。
秀一は何かが空しかった。神宮寺は"もうこの世にはいない方だ"と心を広く持った。
「だけど冴木さんの話……酷かったのよ」
秋月が額を抑える。神宮寺は心配になった。
一体何が……
「冴木さんね、想っていた人とうまくいって今夜 洋館から夜逃げしたいから、車を出してほしいって 私に頼んだのよ!! ────ね? 最っ悪でしょう!!!?」
秋月の勢いは強い。秀一と神宮寺は首を縦に動かすことしかできない。
「イヴに"カッコいいな……"ってちょっっっと思ってた人にそんなこと頼まれたのよ。想っていた人とうまくいって…….なんて知りたくなかったわよ、もう!!」
秀一はとにかく秋月をなだめた。そういうスキルは上がっていた。
「秋月さんの気持ちは尤もですよね。たまったもんじゃないです。──じゃあ、冴木さんには車は出してあげなかったんですか?」
秋月は首を振る。
「有里子先輩に冴木さんの話の内容を伝えたら、ご両親と一緒だから有里子先輩自身は車が出せないって分かったんです。
それで面白くはなかったけど、可哀想だからクリスマスパーティーが終わっても私が待っていることにしました」
安西は一つ疑問を口にした。
「冴木さん自身の車は無いんですか? 洋館には彼は徒歩で通勤していた? 職業は華蔵家の運転手でしたよね……」
秋月は答えをくれた。
「クリスマスパーティーの日は洋館に様々な車も入るので、従業員の中で徒歩で来れる者は徒歩にするようにと理人様からの呼びかけがあったようなんです。
それでいつもは車通勤ですが、あの日の朝は徒歩にしていたそうです」
冴木拓眞は行方不明になって殺害されている──それでも聞きたかった──
「冴木さんは来ましたか?」
「いいえ。私は結局 待たなくて良かったんです」
秋月の返事は予想外のものだった。
「林主任が来て"冴木さんは夜逃げをやめたから待っていなくていいと言っていた"と教えてくれたんです」
「林主任って言うのは……?」
安西の質問に、秋月ではなく神宮寺が答えた。
「林有里子さんのお父さんですよ。有里子さんや秋月さんが勤めている役場では 主任だそうです」




