#43 夢
「お兄ちゃん! 久しぶりだね♪」
そうどこか懐かしい声が聞こえてくる。
懐かしい。 けれど、誰かは覚えてはいない・・・・・・
顔を見るが、顔には薄暗い靄がかかっていて良く見えない。
「お前は・・・・・・?」
俺はそのように問う。
そして、その少女は悪戯っぽく笑みを浮かべながら『私の事もしかして忘れちゃった???』
そう言いながら近づいて来る。
一歩・・・また一歩と距離を詰めてくる。
少女が歩くたびに、俺のは頭痛に襲われる。
「うぅ・・・あぁ・・・・・・・・・・・!!」
あまりの痛さに声が出てしまう。
その痛そうな声を聞いた少女は『大丈夫? お兄ちゃん?』と聞いてくる。
懐かしいと思う声を何度も頭の中で再生する。
でも、思い出す寸前に酷い頭痛に襲われて、中々思い出せない。
思い出そうとすると、頭痛に襲われて浮かんでいたことが吹っ飛んでしまう。
それがループする。
少女はその光景を見ると『やっぱり思い出せないんだね・・・・・・』 そう誰ともなく
呟いて、笑顔で
「まだ、思い出せないようだけど一応言っておくね・・・・・・」
そういい、少女は少しだけ長い話を始めた。
少女曰く、今、俺の持っている悪魔の力は一定以上使ってしまうと暴走すると言う。
一日最大で使えて1時間。 それ以上は体も精神も持たなくなる。
暴走してしまうと、もうだれにも止めようがないらしく、人を殺しまくって自分も
力尽きて無くなる。
それを略してはいるが、そんな事を言われた。
そのことに俺は
「どうして・・・・・・どうして俺の力を知っている・・・・・・?」
少し少女を睨めつけながら問う。
けれども、その質問に返事をしてくれはしなかった。
否。 返事はしてくれたが、『そのうち判るよ・・・・・・』 と流された。
でも、なぜか怒りの感情は沸いてこない。
そして、俺はその確証を得るべく
「お前は誰だ・・・・・・?」
そう聞く。
聞かれた少女は悲しそうに『今は教えられない・・・・・・お兄ちゃん自身が自分で思い出すまで
は、私からは正体を明かせないんだ・・・・・・』
と言う。
(俺が思い出すまでは・・・・・・?)
俺は心で思う。 けれど、何があっても思い出すことはできない。
思い出そうとするたびに酷い頭痛に襲われて意識が飛びそうになる。
そして、俺にはもう一つの疑問が生まれる。
「ここはどこなんだ・・・・・・・?」
そう誰ともなく呟く。 少女には聞こえないはずの音量で・・・・・・
だけど、少女は
「ここは、厳密に言えばお兄ちゃんの夢の中・・・・・・」
「俺の夢の中・・・・・・・?」
「うん。 それに私の意識だけが入り込むことが出来たから・・・・こうやって
話してるだけ・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
「でも、もうちょっとでお話が出来なくなっちゃう・・・・・・」
「・・・・・・」
「じゃあ、またね・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・」
そういって消えようとする少女。
俺は咄嗟に
「また会えるか・・・・・・?」
そう少女に聞いている。
少女は笑いながら
「そう遠くないうちにきっと・・・・・・」
そう言い『気を付けて・・・・・』
と言う言葉と同時に消えてしまった・・・・・・
その言葉の意味は今の俺には理解できなかった。
俺はそれと同時に目覚めていた・・・・・・
奏多は目を開けると
「おはようございます。 主」
と言う声が目の前から聞こえた・・・・・・




