過去 蓮子編(花蓮との出会い)Ⅰ
聖夜と桐生を見ていると、とてもさっきまで戦っていたとは
思えないほど、微笑ましい光景だ。
そして、桐生は一言。
「私に勝ったからには絶対に優勝してね」
聖夜は『もちろん』 と言いたい所だが、このまま勝ち進んで行けば必ず
奏多と当たる。
(アハハ・・・・・・ 奏多と当たったら負ける気しかしないなぁ~)
心の中は弱音を吐きまくっている。 けど、勝者としてあるまじき事なので
聖夜は、
「頑張ります!」
そう大声で一言。 桐生はどこか安心したように微笑み、リングを後にしようと歩き出した。
聖夜もそれと同時にリングの外へと歩き出す。
聖夜はリングの外に出て、観戦者から見えないところに行くと、その場に倒れ
「あぁぁぁぁぁ! ! 疲れたぁ~!」
「流石は"蛆虫"。 この程度で疲れるとは。」
「あれ・・・? なんかさっきより物凄い罵られているような・・・」
「気のせいですよ"蛆虫"。」
「あっれれ~? 気の所為だったら僕の耳が可笑しくなっちゃったのかな・・・?」
「頭も言動も耳もすべて元から可笑しいですよ。 今頃何言ってんですか・・・」
「・・・・・・」
聖夜はもう言葉は出ない。 内心はもうズタボロだ。
そんな罵られている中、聖夜に手を差し伸べたのは・・・・・・
花蓮だった。
「大丈夫ですか? 」
花蓮は心配そうに聖夜を見つめており、聖夜は
「うん、大丈夫だけど奏多たちは??」
「主 はこっちにいますよ」
と花蓮が言うと同時に奏多たちが聖夜の元に着いた。
「お疲れ~聖夜。 とてもいい試合だったぜ!」
「ありがとう、奏多」
「おう。 それで、蓮子は何してんだ?」
そう奏多が聞き、全員が蓮子の方向を見る。
すると・・・・・・
「いえ、お姉さま・・・ 別に自分の主 を決して侮辱していたわけではなく・・・
ただ・・・・・・そう! 主従関係の中を深めると言いますか・・・なんといいますか・・・
ですが! 決して主 を侮辱していたつもりなんて微塵もありません・・・」ブツブツ
蓮子は何を言いたいのかがよくわからない。
一人でぶつぶつと言っていて何を喋っているかさえ良く判らない。
だけれど、花蓮は・・・・・・
「私はお前のお姉さまではない。 しかも、主 を罵るとは・・・・・・」
「い、いえ、私は・・・・・・・・・・」
「反論は認めない・・・」
「・・・・・・」
蓮子はさらに落ち込んでしまった。 聖夜には冷たい目を向け、
『てめぇ、何故助けない?』 とでも言いたそうな目だった。
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蓮子の記憶の時は1000年ほど前まで遡る・・・・・・
蓮子はその時はまだ、精霊になって間もないころ。
ある男と契約をした。
それが、今の蓮子になるとは露知らず・・・・・・
その男はとてもやさしかった。
(初めての主 が優しい人で良かった・・・・・・)
そんな風に安堵することも何度もある。
けれども、ある日を境に男は姿を晦ませてしまった。
蓮子は当然、魔法での意思疎通を行った・・・・・・
その結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・反応は無い。
精霊は契約している間は主 がどんなところに居ても、魔力は貰えるし
契約者の居場所ならすぐに判る。
だけど、蓮子はそれを使うが、魔法により妨害されてどこにいるか判らない。
(もういなくなってから何日が立ったのかよく判らない・・・・・・
早く主 帰ってきてよ・・・・・・)
そう毎日思うだけの日々が過ぎていく。
別に精霊は食事は必要とはしない。 魔力さえあれば生きていけるのだから。
(もう、居場所を何回調べただろうか・・・・・・ 多分優に500回は超えている気がするな・・・)
そんな事を考えて、最後にしようと居場所を調べた・・・・・・
すると・・・・・・
(主 ! 今行きます!)
そう心で言い、探知に引っかかった主 の元へ猛ダッシュで向かって行った。
着くと、蓮子は身動きが取れなくなっていた。
魔方陣だ。 これは上位の精霊でも破ることは困難。 ましてや、精霊になりたての
蓮子には到底不可能だった。
そして、意識も薄れていく・・・・・・
そんな中、
「よくやった。 これはいい女・・・精霊じゃねぇか。 こんなことお前にしか出来ない
からな! 今後も期待してるぞ・・・」
「あぁ、判ってるって。 こんなことくらい朝飯前さ。」
「お前ら、そこの精霊を連れていけ!」
「「「「「「了解です!」」」」」」
蓮子は意識が薄れていく中、主 とほかの人が会話するのを聞いていた。
だけど、最後まで聞くことは叶わず意識が完全に飛んでしまった・・・・・・




