#34 非公式マッチⅡと聖夜の過去
奏多は理事長に向かい一刀、二刀と刀を振り下ろしていた。
だが、理事長は余裕な笑みを浮かべながら"素手"で受け流し切っている。
これを見た二人は
((化け物だ・・・))
と思っていた。 何刀振っても皮膚の皮一枚も裂くことが出来なかった。
その化け物地味た強さに尊敬を通り越して飽きれてもいた。 どうしたら
ここまで女の人が強くなれるのだろうか? どんだけの苦労を積めば奏多にも
なれるのか? その前に、理事長に勝てなくてお姉ちゃんに勝つことが出来るのか?
など、様々な思いが入り混じっていた。
奏多の考えている姿を見た理事長は
「そんな考えながらで私を一歩でも動かせると思ってます?」
と、嫌味交じりで奏多に言い放った。
それに僅か乍ら反応し、表情を少し歪めていた。 それをみた理事長はほくそ笑んでいる。
そんな挑発に乗ってしまった奏多は(しまった・・・・・・)と思って、さらに攻撃の手数を
増やした。
だが、理事長はそれすべてに素手で受け流した。 流石化け物と言ったところだろう。
どんな攻撃も全く刃が通らず、まるで鋼の様だった。
それには奏多でさえも苦笑いをして
「理事長・・・・・・化け物ですね・・・」
「ははは、よく言われるよ」
「そうですよね」
「だがな、如月の目標としている騎士は私以上に強いぞ?」
「・・・・・・」
「私に勝てないと、君は唯死にに行くようなものだ。」
そう理事長にはっきりと言われた。 それを聞いている聖夜は全く意味が判らない様子で
頭に『?』 を沢山浮かべて居た。 そして、奏多はと言うと・・・
「理事長はあの人と戦ったことがあるような口ぶりですね・・・・・・」
「あぁ、勿論だとも。 あいつは確かに強かった・・・ 私も危うく殺されかけたしな。」
「理事長にそこまで言わせますか・・・・・・ 流石は《最強で最悪の騎士》・・・・・・」
奏多が《最強で最悪の騎士》 と言う言葉を発すると、今までの会話についていけなかった
聖夜でもすぐに判り、顔色を変えていた。
「《最強で最悪の騎士》・・・・・・ って西山 茜 ですよね・・・・・・?」
そう言ったのは、どこか殺気に満ちている聖夜だった。
そんな聖夜をみた奏多は「ど、どうしたんだ? 急に?」 と声を掛けた。
少し悩んだ挙句、聖夜は「聞いてくれ・・・」 と言わんばかりに目線を送っていた。
理事長は「やれやれ・・・・・・」 そんな表情をしていたが何故か目は笑っているように見えた。
そこで戦闘には終止符を打たれ、結局の所は奏多の"惨敗"だった。
奏多は聖夜の話を聞こうと駆け寄っていた。
そうして聖夜から聞かされた話は衝撃的だった・・・・・・
「実は・・・《最強で最悪の剣士》西山 茜に両親を殺された・・・・・・
僕といろはの目の前で・・・それも残酷に。
今でも思い出したくはない話だけど、奏多にはいつか話そうと思っていたんだ・・・・・・」
「そう・・・・・・か・・・・・・」
聖夜は、淡々と話していた。 それを直訳するとこうだ
それは十年前の秋。 聖夜といろは5才の頃だ。
二人は仲良く手を繋いで家に帰るとそこには西山が両親の手足を縛って
天井から吊るしている姿があった。
聖夜たちが帰ってきた直後、西山は不適に笑みを浮かべ・・・
両親の両目を素手で抜き取り、その悲鳴を聞くと笑みをこぼしていたらしい。
そんな光景を見ている聖夜たちは恐怖で腰が抜けており、ただただその光景を見ている
事しかできなかった。
そして、西山は次に舌、耳、鼻・・・・・・と剥ぎ取っていき、両親はとても人間とは
思えないほど悲惨になっていた。 そこで聖夜が出した言葉は・・・「やめて」
だが、西山は「どぉして? 君たちが"弱いから"いけないんだよぉ~。誰かを
守りたかったら強くならなくちゃ♪』 と笑いながらその光景を楽しんでいて
幼いころの聖夜たちにしてみるとまるで"悪魔"の様だった。
それから何故か自分たちは殺され無かった。
今でもその意味は判らないらしいが、よかった。と思う反面復讐心が心の奥底から湧いて
来た。 そうしてたどり着いたのがこの学園らしい。
(編入当時聖夜が思ったのは同じ復讐を心に誓ったもの同士・・・・・・
それには何となく気が付いてたんだな・・・・・・)
そんなことを思ってはいるが、心の奥底ではもやもやと黒い霧が発生していた。
その気持ちの意味は今の奏多には判ってはいないらしく、唯の"復讐心"として
捉える程度だった・・・・・・
(聖夜にはなんか悪いことをしてしまったな・・・・・・)
奏多は悪くないのだが、元身内が今となっては親友の聖夜の両親を凄惨な殺し方を
して、心に深く傷をつけてしまったことをただただ心の中で謝ることしかできなかった。




