#21 トーナメント戦前日
あの後は理事長から第零位階精霊に関する情報を色々と聞いた。
そして、謎の襲撃から早くも1週間ほどが過ぎ、トーナメント戦は明日へと
迫ってきていた。
だが、奏多たち4人+精霊5人は先週に襲撃があったとは思えないほどに
のんきに教室へと向かっていた。
教室へ着くとドアには
『本日、明日がトーナメント戦の為休校。』
その文字は皺くちゃになった紙に書いて、その紙はセロハンテープでしっかりと
留められていた。
(セロハンテープでここまでしっかりと張ってあるんだから紙も綺麗なのを使えよ)
俺たちはUターンして、寮の部屋へと歩きながら帰っていた。
「そういえば、奏多。 この後時間ある?」
「あー。 今日は授業が無いから特訓しようかと考えていたところだ。
だらか、時間はあるぜ。 それがどうかしたのか?]
「あ、うん。 明日奏多が戦う相手の試合でも見ていこうかなと思って、誘ってみた
だけだけど、大丈夫?」
「あぁ、そういうことなら俺も生徒会長の戦いを見ておきたいと思っていたし
いいぞ!」
「じゃあ、この後すぐに集合だからね? また遅れないようにして」
『あのー、私たちも着いて行っていいですか・・・・・・?』
意外にもいろはとこよみが声をそろえて聞いて来た。
奏多たちは首を縦に振り全員で生徒会長の戦いを見に行くこととなった。
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荷物を置きすぐに私服もとい運動がしやすい服に着替えて
※勿論花蓮と愛梨が邪魔をして来たが、
こよみと精霊たちとすぐに部屋から出た。
外に出ると聖夜といろは、そして精霊2人が待っており
「奏多遅い!」
「悪かった。 こいつらが(精霊) 着替えの邪魔をして・・・・・・」
「邪魔なんてしてません! ただ私は主 の着替えを・・・」
「それが邪魔だって言ってんだよ!」
奏多が強く言い過ぎたせいか、花蓮は拗ねてしまった。
これもこれでいつものことなので誰も構わなくなっていて、更に花蓮が拗ねて
姿を隠してしまった。
「ま、まぁ、行こうぜ!」
「そ、そうだね」
花蓮のことを奏多は完全に無視し、第二講堂へと向かっていった。
(まぁ、いつもの事だしいつか直るだろう・・・)
第二講堂に着くと、すでにリングには生徒会長と対戦相手が剣を構えているだけで
幸い模擬戦はまだ始まって無いみたいだった。
「よかった。 まだ模擬戦は始まってないみたいだね」
「あぁ」
「それにしてもすごい数の一年生だね。 二年生や三年生の姿はないけど
なんでだろうね??」
「そうだな。 いても数人ぐらいだな・・・・・・まぁ、そんなこと考えても
仕方がないからさっさと空いている席で観戦しようぜ」
「そうだね。」
生徒会長の戦闘を見るためだけに、一番見やすい席へと向かった。
奏多の横にはこよみと愛梨が座っており、未だに花蓮は姿を現していなかった。
(参ったな・・・いつもならすぐに機嫌を直して俺にちょっかいを掛けてくる
癖に・・・)
「花蓮、すまんかった。 なんでもするから、いや、出来る事なら何でもするから
さっきのことは許してくれ」
(いやいや、なんで俺が誤ってんだよ!)
誤ると花蓮はすぐ目の前に姿を現して、奏多の膝ひょこんと座った。
「何してんだよ!」
「だって今、主 が出来る事なら何でもするって言いましたので」
(まぁ、それくらいなら・・・ まだ変な要望じゃなくてよかった・・・・・・)
そう思った。 いや、そう思っていた。
だが、膝の上に座っている花蓮は妙に体を近づけ、顔に髪の毛が近づけば近づくほど
花蓮の髪の毛からは甘い香りがしてきて、奏多の鼻孔をくすぐって来た。
(いや、こんな状況で試合観戦なんて出来ない! いや、出来る訳がない!
いくら花蓮が人間でなくとも容姿は美しく胸は微かに膨らんでいて
とても・・・・・・って! 何考えてんだよ?! 俺は)
そんな妄想・・・もとい、変な想像を掻き消しながら試合を見るのに集中しようと
していた。
それを見ていた聖夜は
(あれじゃあ、奏多も生殺しだね)
そう思い、苦笑いしながら試合を見ていた。
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『それでは、これより学園一位、神無月 桜 VS(対) 学園五位、嘉崎 直人 の模擬戦を
始める。 二人は所定位置について』
そう審判が言うと、両者が所定位置の方向へと歩きながら精霊を剣へと変えた。
「始まったね。」
「始まったな。」
奏多たちは口を揃えて言った。
両者が所定位置に着いたことを審判が確認すると、開始のベルが鳴った。
開始のベルが鳴って、初めに攻撃を仕掛けたのは学年五位の嘉崎 直人だった。
嘉崎は近接勝負を選ばず、遠隔攻撃を選びファイヤーボールを作り
神無月のほうへと向けて放っていた。
ファイヤーボールは目の前で炸裂した。
周りの大気が吹っ飛びその中心の場所からは大きな煙が立ち昇り
それを見ていた観戦をしていた誰もがこの一撃で終わったと思っただろう。
だが、実際は違った。 煙が立ち昇っていた場所からは一瞬にして煙が消え
その真ん中には無傷の神無月が立っていた。
誰もが決まったと確信していた一撃を無傷で防ぎ、俺は新たに思い知らされた
『学園一位の座は伊達ではないと・・・・・・』
その攻撃を防いだ直後神無月はお返しと言わんばかりに全く同じ攻撃を
した。
嘉崎の目の前で同じく炸裂し・・・・・・先ほどの比ではないほどの
爆発を起こした。
すると、爆発と同時に嘉崎の体がリングの壁へと吹っ飛ばされ、壁に
大きなクレーターが出来ていて、体中から血が垂れてきていた。
だが、その攻撃は惜しくも致命傷には至らずすぐに立ち上がり
剣を左手で構えていた。
その構えを見た神無月は
「なんの真似ですか? あなたは右利きだったはずでは?」
「俺だって右をつかいてーよ! だがな、さっきのお前さんの攻撃でな右腕の
骨を砕いちまってとても動かせる状況じゃねーんだよ!」
「あら、それは失礼。 私も随分手加減はしたはずなんですけどね」
「はっ! これで手加減かよ!」
「ですが、まだその減らず口を叩けるようでしたら余裕なんですわね?」
「まぁな!」
「それと、何度私と戦って負ければ気が済むのです? これで48勝0敗なんですが・・・」
「そんなの知るかよ! 俺が勝てるまでやる!」
嘉崎は近接勝負へと変え、神無月に横腹を狙い突き出していた。
それは無謀な賭けだった。 利き手の骨を粉砕され、左手しか使えない状態で
真っ向勝負するなど負け戦だ。
それを神無月は堂々と言い、その突き出している剣先を人差し指で止めた。
そして、勝敗が付いた。
神無月は人差し指で剣先を軽く払いのけ、攻撃を防いでいたのとは反対の
手で、鳩尾を殴った。
嘉崎はその場で倒れ、動けなくなっていた。
『勝者 神無月 桜!』
審判がそう言うと、リングの外からは救護隊であろう人たちが出てきて、嘉崎
をリング外へと運んで行っていた。
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その試合はあまりにも一方的だった。
学園一位と学園五位の間にこんなにも実力の差があるとは思いもしなかったからだ。
(は、は、こんな化け物に最初から勝てるつもりだったのかよ俺は・・・・・・
だが、姉ちゃんはこれ以上に強い。 これくらいの相手に勝てなければ姉ちゃんの
足元にも及ばない・・・・・・ どうしたものか・・・)
奏多が考えていることを少し読み取った花蓮が
「大丈夫ですか? 主 」
「あ、あぁ。」
「大丈夫です! 主 は必ず勝てます!」
「そうだな・・・ありがとな花蓮」
そういうと観戦席から花蓮と愛梨を連れて部屋に戻っていった。
聖夜といろはとこよみは観戦席で残りいろんな人たちの模擬戦を見ていた。
部屋に着くと自分のベットで寝ころび、時計を確認するとまだ昼間の2:30分
だった。
(一瞬に思えたけどかなり時間がたってたんだな・・・・・・)
ベットからはすぐさま起き上がり、魔法の勉強と明日の為の戦略を立てていた。
あれこれ明日の為にしていると時間が過ぎていき、こよみといのりが帰ってきて
ご飯を作っていたが、それに奏多は気づかずに集中してやっていた。
帰ってきたことはこよみが部屋のノックをしたころに気づいた。
「お兄ちゃん。 ご飯できてるけど食べない?」
「ん? どうした?」
「だーかーらー! もう9:00過ぎてるからご飯食べない?」
「あ、もうそんな時間か・・・・・・ わかった今から行く。」
気づかぬうちにもう7時間くらい勉強していた。 花蓮と愛梨はすでに寝ており、
相変わらず可愛い寝息を立てていた。
それにつられてか、奏多はリビングに向かう途中に急に眠気に襲われその場で眠ってし
まった。




