サイラスの場合 2 別視点
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閣下と部屋で別れた後、私は例の娘の部屋へと向かった
「あの・・・一人で大丈夫とはいいませんが、道案内の人だけでいいんですが」
女はそういって我々の同行を断ろうとしている
私とて、こんなばかげた旅などお断りだ
だが、こんな旅でも敬愛するリエル宰相閣下に任せれた任務には違いない
「このもの達ではご不満でしょうか?」
「いえ、不満とかもちろんそんなことはないんですけど、そこまでしていただく理由もありません。この世界での常識を教えていただいただけで感謝感激雨嵐です!なので、これ以上はお迷惑をおかけしたくないんです」
閣下の言葉にすぐさま反応を返す異世界の女
少しだけ、興味が沸いて女を観察してみた
黒い髪に、黒い目
確かに噂に聞いた通りだ、だが、オロオロとした態度とは裏腹にその意志の強い人瞳にはひき付けられるものがあった
顔立ちも悪くは無いのだろう
「しかし、アスカ様
この世界は危険に満ちているのです。魔獣や悪霊、同じ人間でさえ争っている世界なのです」
どんなに国が疲弊しようとも、この国が戦争をやめようとはしない
おかげで国は荒れていく一方だ
国が荒れたせいで、魔獣や悪霊といった人に害をなすものたちがはびこっている
我ら国の中枢にいるものは、日々政務に追われている
それでも、国のトップや重鎮は戦争をやめようとはしないのだ
もちろん、私の敬愛するリエル宰相閣下は戦争には反対の立場をとられているが、
未だ王は閣下の言葉に耳を傾けては下さっていない
「ですから、案内役としても、護衛の面でも役に立つこのものたちをお連れ下さい。ほら、お前達、ご挨拶しなさい」
促されて、一番に口を開いたのはシヴァ・カートンなかなか優秀な男ではあるが癖のある人物として知られている
そして、根っからの女好きだと噂だ
おそらく、こちらに取り込むための布石といったところだろう
「はじめまして、レディ。このたび護衛の任を仰せつかりました、シヴァ・カートンと申します。お見知りおきを」
女の手をとって、甲に口を落とした
女は顔を赤くしながらうつむいてしまった
「ははは、レディはお可愛らしいのですね。アスカとお呼びしても?」
「は、はい」
挨拶程度のことで顔を赤くするとは、なんとも初心な女だ
初心な女ほどシヴァに熱を上げ易いだろう
閣下のご命令とはいえそれを未然に防ぐことが果たして可能なのだろうか・・・
「俺はカーティス・モーガンこの国の赤騎士団に所属している。今回護衛の任を賜った。お見知りおきを」
続いて自己紹介したのはカーティスだ
堅物として有名なこの男、この任務に当たるのを散々渋っていたのだが、どんな手を使ったのかこの場にいる
この男にも命令が下っているのだろうか、不機嫌を隠そうともせずに女を見据えている
最後は私の番だったが、特に何の感慨もなく挨拶を済ませた




