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異世界にきちゃったみたい?  作者: 耶汰姫
リュヒトリア公国
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カーティスの場合 別視点3

お気に入り登録ありがとうございます

カーティス視点最後になります

いつもよりは少し長い話です

「はじめ!」


俺の構えを前に、彼女は先ほどとらなかった構えを見せ、感情の読めない目をこちらに向けている

これは、少しは実力を評価しているということなのだろう

ただの小娘であるはずなのに、不思議とイラついた感情は持たなかった


実際にここに上がって、彼女の本気を見せられると

ジョゼには荷が重いだろうということがはっきりとわかった

彼女は強い


だが、弱点もまたあるのだ

彼女には腕力が無いようだ、だから速さで勝負する


じりじりと間合いを詰め、間合いに入ったと同時に仕留めに行く

長期戦に持ち込み、翻弄されるのは本意ではないからな


俺の間合いに入る前に

彼女が動いた

普通に考えて、長身である俺の方が間合いは広い

だが、彼女は動いてきた

先ほどの戦いぶりを見て、何も考えていない、などと楽観的な考えはもてない


身をかがめたのか、俺の視界から消えた

一瞬の隙をついて、顎に一撃

正確に顎を捉える拳


やられる。とおもったが、体がなんとか反応してくれたおかげでなんとか避けることができた

なんて速さだ


その後も、連打がつづく


思っていたよりも拳が重い

少しよろけたのを見て、彼女はすぐに反応した

足払いがくる

くそっ

速い


あまりの猛攻に俺はつい視線をはずしてしまった

しまった!!!

思ったときにはもう遅い


ほんの一瞬の隙を見逃さず、連打の次に足払い、なんとか避けるも

後ろに回りこまれていた

膝の後ろに一撃


ごすっ


「・・!!!」


べちゃっ


両膝を後ろから蹴られたようで、俺はそのまま前に倒れた

鼻を打っていたい・・・

などと暢気なことを考えているうちに


彼女は脱兎のごとく、鍛練所を後にしていた


油断していたとはいえ、なんて強さだ

そして、面白い女性だ


キーキーうるさい女を俺はいつだって冷静に見ていた

口を開けば、宝石や煌びやかなドレスの話、口さがない他人の噂に明け暮れ、民をただの家畜のように思っている醜い肥えた豚ども

なまじ顔と出生がいいせいで、女どもは臭い香水を振りまき俺にしなだれかかる

何度切り殺してやろうと思ったことか


俺はここまで心に留めたことのある女性に初めて出会った


一介の騎士として、勝負を挑んでみたい

俺は剣、彼女は・・・獲物は何を使うのだろう

そういえば、彼女は魔力が見えるのだ

もしかしたら、精霊と契約し魔法を使うことになるかもしれない

そのとき俺は勝てるのだろうか


いや、勝ち負けではない

だた、戦いたいのだ

あの目をもう一度みてみたい

あの目に映るのは俺でありたい

不思議な感覚だが、俺は気分が高揚していた



「完敗だったな」


頭上から声がしたので、ごろりと仰向けになると

赤の騎士団団長がそこにいた


「ええ。相手の力量を見誤っていた俺の負けです。ですが、機会があればリベンジしたいですね。次は勝ちます」

「ふはははは。いい顔をするようになった。あの娘は強い、だが、高い山ほど超える価値がある」


いい顔?今の俺はどんな顔をしているんだろう、いや、どんな顔だろうと気分が晴れやかだ構うものか


「だが・・・あの娘の構え、あの方に似ていたな・・・」

「あの構えの流派をご存知なのですか?」


これでも騎士団の一員だ、大陸にあるほとんどの流派を目にしてきたはずだったが、俺はついぞ見た事がなかった

団長は異世界の流派までご存知なのだろうか


「あ・・・。いや、若い頃に師事していたお方の構えと似ていてな。あの方は果てしなく強かったんだが、今の俺達でも勝てる見込みが無いくらいだった。今はどうしているのやら・・・」


赤、青、白、黒この国にある四つの騎士団の幹部のほとんどが同じ方に師事を仰いだとは聞いていたが、実際にお会いしたことは無い

その中でも赤の騎士団は実力はぞろいで有名なのだが、その団長の口から勝てる見込みが無いとは

一体どういった方だったのか・・・


「行方はご存知ではないのですか?」

「放浪するのがお好きな方でな。引きとめようとすれば、止めたものを全員伸していくんで、誰も行方を知らんのだ」

「伸して・・・って、騎士団全員ですか!?」


まさか幹部全員で引き止めるなんてことは無いだろうが、団長の話し方からそれなりの人数で引きとめがあったと思われるのだが


「あー、これは他には漏らすなよ?・・・騎士団ほとんどの幹部でかかったんだが、俺は10秒ほどで仕留められた。他のやつらもそんなもんだろうな」


この国には化け物がいるようだ

俺は今まで、この赤の騎士団団長こそが化け物じみていると思っていたんだが、上には上がいる

一度も勝ったことのない団長が10秒なら俺は瞬殺だろう

そんなお方と構えの似ている彼女

ますます興味が沸いてきた


「だが、止めたかったというより、相手をしてほしくて飛び掛っていく奴らが多かったな。昔からふらりと現れては稽古をつけて、またふらりと去っていく。次はまたいつここにいらしてもらえるのか、その質問はいつもはぐらかされてばかりで、みんな首を長くして待っていたんだ。それほどにあの方はお強くて・・・」


団長の話が長くなってきたので、俺は医務室へ行くためにそっとその場を後にした




本編のストックが尽きたのでちょっと間が空くかもしれません

みなさま夏ばてにはご注意ください

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