月ー精霊王の娘ー古の事実
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※グロテスクな表現を含みます、ご注意ください
ワシの名はオーフェン・メルディア今年60になったばかりのピチピチじゃ
ワシは普段街の隅に居を構え、魔法の研究に没頭しておる学者じゃったが、あるとき城から緊急の使いがきて急ぎ城に上がった
もともと宮廷魔導師なんぞやっとるもんじゃから、城からの使いといってもたいしたこととは考えとらんかった
はじめてアスカを見たときは驚いたもんじゃ
城の人間が言うように、化け物ということではない
古い古い文献に記されていた、もう誰も読んだことがないじゃろう文献
それにはある一人の悲しい運命を辿った女精霊のことが記されていた
彼女はすべての精霊を束ねる王『精霊王』の娘であった
彼女は人を愛し、慈しみ、人々に慈悲を注いでいた
誰とも契約せず、ただ、乞われるままに魔法を授けどんな低い魔力のものでも分け隔てなく
ときには魔力を持たぬものにさえ心を砕いて、人間を見守り続けていた
だが愚かな人間は彼女の力を自分だけのものにしようと画策する
彼女の力を自在に扱うことが出来れば、世界はおもうがままだ
彼女は争いに準じる力だけはけっして貸そうとしなかった
それをよく思わない、愚かな人間は彼女を殺してしまった
骨を絶ち肉を切断し臓物を煮、自分の血肉にしたのだ
そうすることで力を得られると言い伝えがあったが、事実は違う
人間を愛していた彼女は甘んじて強靭をその身に受けた
娘を心から愛していた『精霊王』は嘆き悲しんだ
そして・・・人間を恨み、壊れてしまった
要約すればそんなもんじゃろう
なんせ、古すぎて読めない部分が多くてな
『精霊王の娘』の容姿は黒髪に黒い瞳
陶器のような白い肌、月を思わせるような美しい娘だったそうじゃ
アスかを見た瞬間、ワシは確信した
彼女は『精霊王の娘』の生まれ変わりなのだと
16年前に予言されたのは、世界の運命を握る異世界人とは、この娘なのだと
精霊に見捨てられた世界
今、その歴史が変わろうとしている
これはこの世界にとって重要なこと
世界にとっての重要なことと、この国にとっての重要なことが必ずしも一致すするとは限らん
この国がその事実を知れば、間違いなく彼女を取り込もうとするだろう
知られざる歴史を繰り返そうとするやからまででてくるやもしれぬ
ワシは、この世界のために事実に口をつぐむと決めた
もう二度と、悲しい歴史を繰り返さぬように
彼女は賢い
ただ流されているだけのように見えて、生きるために必要な情報を集めようとしている
誰にでも愛想のよい御しやすさを醸し出していながら、注意深く、目が決して笑っていない
この国の誰が彼女の本質を見抜くことが出来るのか、早く気が付かねば、恐らく彼女は・・・
いや、ワシにできることは知識を授けること
それ以上を彼女が望まぬのであれば、口を出すまいて
後はこの世界の行く末をただ静かに見守るとしよう
例え、この世界が消滅しようとも、それが運命なのだと




