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わたしの小さなステージ
わたしは小さな自分の部屋をひとつ与えられた。
けれど、出したものを元に戻すということがどうしても苦手で、気がつけば足の踏み場もないほど散らかしてしまっていた。
片付けは今でも得意ではない。
「次にやりたいこと」が頭に浮かぶと、そちらへ気持ちがふっと流れていき、
「後でやろう」が積み重なって山のようになってしまう。
親に「片付けなさい」と叱られても、いざ片付けようとすると、
何をどこから片付けたらいいのか分からなくなり、頭の中がぐるぐるしてパニックになってしまった。
一度きれいにしても、気がつくとまた同じ状態に戻っている。そんな繰り返しだった。
それでも、散らかった部屋の中で、わたしには密かな楽しみがあった。
歌番組で覚えたい歌が流れると、「今、静かにして」と家族に合図し、
テレビにテープレコーダーをそっと近づけて録音する。
そして何度も巻き戻しては聞き、覚え、ひとりで歌っていた。
その時間だけは、片付いていない部屋さえ、わたしの小さなステージのようだった。




