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小さな家の2人の夜
両親が帰ってくるまでの時間、冬はいつも兄とこたつに潜り込み、歌番組を見たり、ノートと鉛筆を使ったちょっとした遊びをして過ごした。
当時はただ楽しくて笑っていたけれど、今思えば、兄はわたしを寂しくさせまいと、必死に明るい空気を作ってくれていたのだと思う。
そんなある夜、兄がふと真剣な顔つきで聞いてきた。
「学校で、お前に意地悪するやつはいないか?」
わたしが「いるよ」と答えると、兄はクラス写真を持ってこさせ、
「どいつだ?」と指差させた。
写真を見つめた兄は少し黙り込んだあと、決意したように言った。
「明日、お兄ちゃんのクラスに呼びに来い。お前のクラスまで行ってやる。」
その言葉に、子どものわたしは胸がぎゅっとなりながらも、どこか救われた気がした。
そして次の日、わたしは兄を呼びに行き、兄は本当に来てくれた。
名前を呼ばれた相手は、ぽかんと目を丸くしていた。
その驚いた顔はいまでもはっきり覚えている。




