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王女殿下の幸せを守る会と彼女にだけ甘い氷帝陛下  作者: 凛桜


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3/13

氷の皇帝が笑った?

アリアを女王から王女に設定変更したことにより、大幅に内容変更いたしました。

 アリアが帝国を訪れて三日。婚姻協議は順調に進んでいた。

 だが、帝国宮廷では、別の問題が発生していた。


「……陛下」


 朝の執務室。

 宰相が恐る恐る口を開く。


「本日のご予定ですが――」


「午後の会議は一時間短くしろ」


「……はい?」


「王女殿下が城下へ行きたいと言っていた」


「…………」


 宰相は黙った。

 最近、皇帝の予定変更の理由が、ほとんど王女殿下になっている。


「しかし、婚姻協議もございます」


「分かっている」


「でしたら――」


「だから一時間短くする」


 宰相は心の中でため息をついた。


 ――それを過保護と呼ぶのですよ、陛下。



「今日は城下町へ行ってもいいんですか?」


 アリアは目を輝かせた。


「はい」


「嬉しいです!」


 その笑顔に、侍女たちも笑う。


「皇帝陛下が許可してくださいました」


「では、お礼を言わないと!」


 アリアはすぐにレオンハルトの執務室へ向かった。



「失礼します!」


 扉が開く。

 レオンハルトが顔を上げた。


「……アリア?」


「はい!」


「どうした」


「今日は城下町へ行ってもいいんですよね?」


「ああ」


「ありがとうございます!」


「礼を言う必要はない」


「でも、皇帝陛下が許可してくださったんですよね?」


「そうだが」


「では、ありがとうございます!」


 レオンハルトは黙った。


「……好きにするといい」


「はい!」


 アリアは嬉しそうに笑って出ていった。

 扉が閉まり、静かになった執務室。


「……」


 レオンハルトは、しばらく扉を見つめていた。



 その後。

 城下から戻ったアリアが庭園を歩いていると、レオンハルトと出会った。


「皇帝陛下!」


「ああ」


「今日は楽しかったです!」


「そうか」


「帝国の方々、とても優しかったです!」


 アリアは今日あったことを楽しそうに話す。

 レオンハルトは黙って聞いていた。


「――それでですね!」


 最後に、アリアが笑った。


「帝国のこと、もっと好きになりました!」


「……」


 レオンハルトの口元がほんの少しだけ緩んだ。


「…………」


 少し離れた場所にいた側近が固まった。


「……今」


 侍従が震える。


「はい」


「陛下……」


「はい」


「笑いましたよね?」


「……間違いなく」


 二人は顔を見合わせた。


 ――あの皇帝が。


 笑った。

 しかも王女殿下にだけ。



 その夜、皇帝の私室。


「陛下」


「何だ」


「一つ、よろしいでしょうか」


「言え」


「もし……王女殿下を本当に皇后に迎えられるおつもりでしたら――」


 レオンハルトの手が止まる。


「……」


「……」


「それでも構わない」


 侍従が息を呑む。


「まだ何も決まってはいない」


「はい」


「だが――」


 窓の外を見る。


「……あの者が、この国にいることは悪くない」


 侍従は何も言えなかった。

 けれど、その言葉が、単なる政略結婚への評価ではないことだけは分かった。

 婚姻協議が終わればアリアはルヴェリアへ戻る。そう考えた瞬間、レオンハルトの胸にほんの少しだけ寂しさが生まれた。

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