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失格貴族の王国再建記  作者: 風水
第一幕: 失格貴族の魔導技術

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第五話:失格貴族と婚約者の姫

第五話:失格貴族と婚約者の姫


王城からの馬車に揺られ、僕はリエット姉さんと共に登城した。


案内されたのは、高くて豪華な天井が広がる、きらびやかな謁見の間だ。


部屋の奥、一段高い玉座には女王陛下が座り、その隣には第三王女の姿があった。


あるいは床には、僕の父親であるガンドルフと、見知らぬ貴族の親子がすでにひざまずいている。


周囲の壁際では、大勢の貴族たちが冷たい視線で僕たちを囲んでいた。


僕とリエット姉さんも、その場に並んでひざまずく。


「お呼びでしょうか、女王陛下」


僕が静かに頭を下げると、玉座に座る女王陛下アイリーンが口を開いた。


「エクス、お前は第三王女クリスタの婚約者だ。だが、エクスの父ゼフォードの連絡により、お前が貴族階級をはく奪されたことを聞いた。魔法が使えないというのは、誠なのか?」


女王アイリーンは、姿勢を正して堂々と王としてふるまっている。


けれど、その奥には、一人の娘の母親として僕を心配するような、優しい瞳が少しだけ見え隠れしていた。


その問いかけに、周囲の貴族たちがざわざわと冷たい声を上げ始める。


「魔法が使えない貴族の子息なんてありえないわ……」


「無能だな……一族の恥だろうに……」


あちこちから、僕に対する嫌悪の混じった視線とつぶやきが飛んでくる。


女王アイリーンは悲しそうな目を一瞬だけ浮かべると、隣で顔を曇らせている第三王女クリスタをちらりと見た。


「ならばクリスタとの婚約は破棄、クリスタの婚約はデバット卿の息子、バイツにしようという意見が出ている」


その言葉が出た瞬間、隣でひざまずいていた貴族の男と、その息子が、いかにも嬉そうにニヤリと下品な笑みを浮かべた。


「母上! エクスは優しくて、とても私を大切に接してくれました。立派な王や、その臣下にふさわしい相手だわ。デバット卿は第二級貴族です、納得できませんわ!」


第三王女クリスタが、必死になって僕をかばうように声を上げる。


しかし、女王アイリーンは申し訳なさそうに、静かに首を振った。


「貴族でないものを、王女の婚約者にはできません。わかっておくれ、クリスタ」


女王の言葉に、周囲の貴族たちも一斉に同意した。


「そうだそうだ」


「魔法が使えない平民下がりなど、王女様にはふさわしくない」


「でも……っ」


クリスタは悔しそうに拳を握りしめ、唇を噛む。


そんな彼女の様子を見て、デバット卿の息子であるバイツが、これみよがしに立ち上がって提案した。


「王女様も、形だけで引き下がっては納得がいかないのでしょう。どうでしょう女王陛下。現実を見せるために、僕とエクス君が決闘して正々堂々、どちらがふさわしいかお見せするというのは?」


バイツは、僕がまともに魔法を使えないことを知っている。


みんなの前で僕を見せしめにして、ついでに王女を手に入れようという魂胆なのだろう。


確信に満ちた、にやけた笑顔をこちらに向けている。


女王アイリーンは、そんなことをすれば僕がどうなるか、悲惨な結末を予想して顔をしかめた。


「それはそうだが、しかし……」


女王が言いよどんだ、そのときだった。


僕はすっと顔を上げて、まっすぐに玉座を見つめた。


その口元には、余裕の笑みが浮かんでいる。


「僕はそれで構いませんよ」


ふふっ、と僕が楽しそうに微笑むと、横でひざまずいていたリエット姉さんが、ハッと息をのんだ。


「エクス君、まさか……っ!」


リエット姉さんは顔を真っ青にして僕を見る。


彼女の頭には、今朝の演習場で見た、あの恐ろしい大爆発の光景がよぎっていた。


けれど、何も知らないバイツは、僕がヤケクソになったとでも思ったのか、さらに深くニヤニヤと笑った。

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