私の本棚・2
本なら怒られないと思った。
欲しいものは何と聞かれて、たとえそれが誕生日でもおもちゃやゲームや綺麗なお洋服を欲しいとは言えなかった。
「またそんな無駄なもの」
「すぐ飽きるくせに」
「そんなチャラチャラした服」
でも字ばかりの本は読めない。たとえ『少年探偵団』でも『グリム童話』でも、挿絵が少ない本はなかなか最後まで読めなかった。
かといって漫画は「バカになるから」と絶対買ってもらえない。
そんななか、辛うじて買ってもらえたのがなんとか入門シリーズだった。
『うらない入門』とか『お料理入門』とか『編み物入門』とか。当時は男児向けとして『野球入門』とか『将棋入門』とかあったような気がする。
読みやすいようイラスト多めで、しかも漫画に近い華やかなキャラクターたちが解説してくれる。親もこれならばとしぶしぶ買ってくれた。
この感覚は不思議と主婦になった今でも残っている。
子供がまだ小さかった頃は自分の好きな本、しかもBLを買うなんてといらぬ躊躇をしてしまい、それでも本を買ってストレスを発散したい欲は果たしたく、結局妥協して料理のレシピ本をひたすら買っていた。
誰も責める人はいないのに。
親のくせに漫画、それもBLとか!なんて夫も言わないのに。
無駄に自分で躊躇して忖度して、嫌いじゃないけどそんなに無理して買わなくていいレシピ本を。
子供たちが大きくなるごとに何故か自分も正直になってきて、あまり使っていないレシピ本は古本屋に行くことになった。買ったときには読むつもりだった、字がいっぱいの新書や上製本と一緒に。
そして売ったお金でBL本を買った。
最初からBL本を買っておけば何冊も買えたのにと思ったが、あの時はあの時で本気であの本たちを読もうと思って買ったのだ。やむを得ないことは多々あるものだ。
売った本の中には間違って同じものを二冊買ってしまったものもあった。
二階の子供部屋に本棚はある。子供部屋なので、母親としてはそうそう簡単には入りづらい。入ったところで散らかり具合に、怒髪天を衝いて読書どころではなくなる。そうなると子供部屋に行くのが億劫になり、せっかく買った本もなかなか読まなくなる。
なので一度買った本も一度しか読んでないと買ったことも忘れて、また買ってくるという悲劇が起きる。
「お母さん、その本二階にもあるよ」などと子供が持って下りて来るので、新しく買ってきた本はビニールを開けられることも無く古本屋へと持ち込まれるのだ。
しかしビニールがかかったままの本は万引きと判定され受け取ってもらえない。
つくづく重複買いは不幸しか生み出さないので、リビングに私の本棚を置くことにした。
部屋が狭くなるのは見苦しいので、タイヤの付いた移動式の押し入れ用本棚を購入した。
タイヤが付いているとはいえ、あまり重いと移動させるのは大変になる。ぎっしりではなく八分目ぐらいに本は収めようと決心したのもつかの間。
すぐに押し入れ用本棚から溢れた本たちは、押し入れの前にもカウンターの上にも積みあがった。
本棚を購入したという安心感が私を開放してしまった。




