↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親の本棚。  作者: 萬田ぷぷっぴどぅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/13

家の本棚。


 電子書籍は便利だ。どれだけいやらしいBL本を買っても、夫にも子供にも見つかることはない。


 しかも場所も取らないのでいくらでも本を購入できる。気がつけば百冊のBL本。もし紙で買っていたらと思うと背筋が震えた。


 だが、どうしてもやっぱり紙で揃えたい本はある。絵が綺麗。見開きに見ごたえがある。デジタルはいつサービスが終了するかわからないので、特別大好きな先生の本だけは紙でも揃えておきたい。紙の時代に出版された本は電子化されても見栄えが違う。昔の本ほど古本屋を使ってでも紙で集めたりした。


 雑学や評論などそもそも電子化されていない本もある。なんだかんだで結局紙の積読は増える一方だった。




 いつの間にかあの男の影は父の身辺から消えていた。


 母が亡くなってすぐに家を出た私には何があったのかわからない。たまに父の様子を見に行っていた姉はときどきあの男を見かけると言っていた。


 母があの電話のことを姉にも相談したのかは知らない。日記にもそんなことは書かれてなかった。だが、あの男が気にならないのかと聞いたとき、姉は言った。


「もうジイさんも先は短いんだから、好きにさせてやりなさい」


 短いと姉が言った父の先は、母が亡くなってから三十年以上もあった。



 てっきりあの男に騙されて退職金を貢がされてるのかとか、連帯保証人にされてるのだろうと思っていた。


 父はかなりの吝嗇家で、娘たちの結婚祝いにも一円も出さないし、甥姪の結婚祝いも三万円で済ます人だった。その吝嗇家ぶりは家計簿代わりにメモしていた預金通帳に事細かく記入されていた。


 その中にあの男の娘の結婚祝いが書いてあった。五万円。新築祝い五万円。出産祝い五万円。大盤振る舞いである。


 家族から見れば大盤振る舞いであるが、果たしてあの男から見ればどうだったのであろうか。



 結局それ以上、父が誰かにお金を渡した形跡は無かった。


 月々の食費も、光熱費も、実に質素な出費だった。


 子供の頃、母方の祖母に「あんたのお父さんのお腹には家が三軒建っている」と言われたことが嘘のように、質素な生活ぶりだった。



 父が残してくれたお金で葬式も出せたし、実家の処分も出来た。


 公民館からもいらないと言われていた父自慢の立派な本たちは、本棚の前で捨てられることもなく縛られたまま放置されていた。そしてそのまま捨てられた。


 

 ほんの少し相続出来た遺産で、私はやっぱり本を買う。


 子供のとき読みたかった絵本も、児童書も、ちょっと変わった辞書も図鑑も。


 そしてやっぱりBL本も。



    おわり


 

本棚事情はそれぞれのご家庭でいろいろあると思います。

いろんな人の本棚事情が知りたいなと思いながら書きました。

お読みいただき、ありがとうございました。


次はOG続編か犬兄弟3。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。