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桜の発見と誰かの気配

桜は、とある異変に気がつく。


そして桜は稲荷神社で『ナニカ』の気配を感じ取る・・・

「ああもう!どうして伝わないんですか!」

「いやっそう言われても・・・」

私の切羽詰まった声にうるるさんは視点を右往左往する。

申し訳なさと、伝わらない気持ち悪さが胸を詰める。

「うるるさん!ウルフさんのこと本当に覚えていないんですか!?」

「いやっだから誰ってそれ!!」

うるるさんはさっき同じ反応を見せる。

初めて異変が起こっていると気づいた時は気づかなかったけど、モニターや机がなくなって、部屋は少し広くなっている。

あるのは大学の資料とライフルだけ。

・・・そう、ここからはウルフさんの存在も消えちゃってる。

「だ・か・ら!あたしは知らないって!」

「いやっだから本当に私はおかしくないんですって!信じてください!」

「信じたいのは山々なんだけどな・・・」

うるるさんはジトーっとこちらを見る。

うぅ、そんな目で見られても・・・。

あれから3日、何も手がかりは得られていないしいなくなった人は戻ってこない。

「じゃあ!あなたの手首についているそのブレスレットは誰が作ったんですか?」

私の質問にうるるさんはブレスレットに触れる。

「あたしだよ。」

その返答は予想していた通りだった。

・・・いや、こっちには勝算がある!

「じゃあ!そのブレスレットの作り方はどこで手に入れたんですか!」

人間に霊力を与える代物は・・・かなり重大なもの。

そんなもの、ウルフさんがいなかったら・・・・。

と思っていた。

うるるさんから返ってきた言葉は、私の予想の斜め上を行った。

「普通に調べたんだよ。」

「ですよね!・・・・って、え?」

腑抜けた声が出た。

驚きのあまり、言葉が続けられない。

「えっだって、それって・・・・」

「桜、本当に大丈夫か?ほら、これ見ろ。」

うるるさんは自身のスマホをいじる。

ウルフさんのマークがついているはずのスマホなのに・・・普通のスマホになってしまっている。

とことんと、存在が消されていることに異常を大きく知らされた。

そして、うるるさんに見せられた画面には、

『誰でも簡単⭐︎霊力アクセサリーの作り方!」

とデカデカと書かれていた。

そして、再生ボタンを押すと、軽快な音楽と一緒に材料紹介の画面になる。

「えっこんなの出して大丈夫なんですか?」

「法律でもOKだよ。幽霊警察にもお咎めなしだ。まあ、その蓮華とやらは知らないけど。」

混乱する私を置いていくかのように、画面の中でアクセサリー作りは続いていく。

「ほら、納得は行ったか?」

「行ってないですけど・・・まあ。」

今は無理だ。

記憶を呼び起こすなんて。

けど・・・絶対に戻してやる!

そう心から誓った。


そして、次の日も同じように尋ねた。

下手くそな似顔絵を見せて、劇まで広げた。

けど、うるるさんは首を傾げるばかり。

「ごめんけどな・・・本当に思い出せないんだ。」

「そんな・・・」

「あたしにできることは、多分ない。」

うるるさんはそう言った。

心が正直、折れそうだった。

けどうるるさんは続けた。

「できることはなくても、あたしは協力する。だけど・・・暑いから熱中症には気をつけろ。桜が倒れたら元も子もない。」

「・・・わかりました。気をつけます。」

その言葉で、折れそうだった心は強く補強された。

でも、うるるさんの言う通り外はとても暑い。

絶えることなく、蝉が大合唱をしている。

・・・蝉が、大合唱・・・?

ふと、思った言葉に違和感を感じる。

そういえば、今日って・・・

「うるるさん、ちょっとスマホ見せてください。」

「いいけど?」

そう言って、再び見せてくれる。

ホーム画面には、小さく9月の初めの方の日付が記されていた。

「・・・おかしい!」

「何か気づいたのか!?」

「ぜーーーーーーったいに、9月の中旬だったはず!おかしい!絶対!」

「は、はぁ・・・?」

うるるさんは『訳がわからない』と言う表情をする。

夏休みが終わってからそこそこ経ったはずなのに・・・これじゃ、夏休み終わってから9日ぐらいしか経ってない!

「まあ、気づけたならいいことだ。あたしはまだよくわからないけどさ、その『元の世界』?に戻れたらいいな。」

うるるさんは薄く微笑む。

その笑みに応えるように、私は大きく『はい!』と返答した。

___________________________________________________

「あ〜もう、何日経ったのかな・・・?」

この謎の世界に来てから、何日経ったのかを数える。

すると、ちょうど一週間ということが判明した。

「一週間!?もうそんなに・・・?」

私は首を傾げる。

誰もいない、あのいつもそばにいてくれた狐さえいない稲荷神社の縁側。

一週間、という日付に懐かしさと、恐ろしさが襲ってくる。

一番怖いのは、一部の人の記憶が消えた以外に何も怒らないこと。

味方を少なくして、私を襲ってくるわけでもない。

うるるさんに何かをしようとしているわけでもない。

ただただ、何も起こらない。

それが逆に怖かった。・・・いつか、大きな厄災が襲ってくるのかもって。

いなりくん、先輩、ウルフさん、アイリちゃん、スイリくん・・・今、どこで何をしているんだろう。

まさか、殺されていたり・・・しないよね?

否定できない考えに、鳥肌が立つ。


ひゅううううう


風がうなる。

その時だった。

「!?だれ!?」

慌てて縁側から立ち上がって飛び退く。

今、確かに隣に誰かが・・・あれ?

その異変に私は目を見開いた。

驚きのあまり、動けない。

確かに誰かの気配がしたのに・・・誰もいない。

さっきとなんら変わりのない神社だった。

「えぇ・・・?」

首を傾げる。

何度瞬きをしても当たり前に景色は変わらない。

「確かに、誰かいたのに!」

気のせいなんかじゃない。本当に気配がした。

けど・・・少しだけ安心感がした。

なんで、だろ・・・?



次話、『巻き戻される記憶』

今日の18時投稿です!

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