霊巫女の霊印
意識を失った桜を探す必死にいなり。
いなりの頭の中に語りかけてきたのは・・・?
そして、霊力の問題にぶつかるいなり。
方法が一つしかなく、しかもその方法とは・・・!?
そして、人魚との決着もついに。
命を救う決断をする。
⚠︎ケガの描写あります!
「桜っ・・・桜っ!!」
いなりは無我夢中で泳いでいく。
しかし、あの闇に飲まれたのを最後全く桜の姿が見えなくなってしまった。
「桜・・・!」
いなりは歯を食いしばると、すでに痺れた手と足を一生懸命に動かしていく。
すると。
キイイイイイン
頭に何かが響いてきた。
バイオリンのけたたましい音のような音だ。
そして、キリキリと穴を開けられているように痛い。
ワタシノデバン、カナ?
(・・・誰だお前。)
痛みがやんだかと思えば、頭の中に女の子の声が聞こえてくる。
ワタシハアナタヲスクウタメニイルモノ。
(・・・?今忙しい。)
いなりは再び前を向き、泳ごうとする。
が、再び頭がひどく痛む。
コウナル。ヘタナコトシナイホウガイイ。
(・・・で?なんだって?)
サクラハミギにズットイッタトコロにイルハズ。ハヤクイカナイト・・・イノチガアブナイ。
その言葉を聞いて、いなりの顔が青ざめる。
それじゃあね、日和。
「はああっ!?」
思わずいなりは叫んでしまう。
今までは、寂しそうな声だった。
が、最後に人間らしい、メリハリのある声になった。
そして何より・・・古い、自分の名前を知っていた。
「どういう、ことだ・・・?」
いなりは大きく目を見開く。
動揺のせいか、尻尾が左右にすごいスピードで動いている。
そして・・・いなりにはあの声に聞き覚えがあった。
「いや、それよりだ・・・!」
あの声の言うとおりにすると、桜は右に行ったところにいる・・・らしい。
「本当か?」
軽く首を傾げると、再び、全力で水をかいた。
すると、かすかに人影が見える。
「・・・桜っ!」
いなりは慌てて桜の体を抱き止めた。
「桜!桜!」
そう呼びかけるも、桜に反応はない。
完全に意識を失っている。
(どうしようっこのままじゃ、桜が・・・・!)
ここは、霊力で息のできる世界。
首の霊印を突かれ、霊力が一時的に減少したのだろうが・・・霊巫女なら、数十分経てば霊力の補充が完了、すぐに目を覚ますだろう。
しかし、それは“生きていたら“の話だ。
霊力をどうにかして、自分から桜へ移す方法・・・先ほどの謎の声を呼び起こそうと、頭に力を入れるが、全く気配がない。
「は・・・?どうしよ・・・」
その時だった。
時雨が昔言っていた。
「それをする・・・?いや、俺には到底・・・守れるかどうかもわからないし・・・どうする、時雨を呼ぶ・・・?」
時雨を呼んだところで、時雨の隠れ場所がないのでいなりは時雨を呼ぶことができない。
第一、こんなところに冥神が来てしまったら霊力が爆発してしまう。
そして方法は一つしかない。
そしてその方法は・・・するには少し勇気が必要だった。
「しょうがない・・・!桜、ごめん!」
いなりは桜にそっと謝る。
そして、桜の後頭部を支える。
いなりは桜の顔に、自分の顔を近づけると・・・静かに、口づけをした。
口から口へと、金色の霊力が流れていった。
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「あの2人はまだなのか!遅いな!スイリ!」
「あの2人が戻るまでここは絶対に逃せない・・・ここで僕らがやられたら、あの2人はどうにもできない!」
そう言いながらも、2人の体は傷だらけだった。
オウタのせいで不可解な軌道を描くビー玉と霊力の化身。
どうにかこうにか一体、霊力の化身を消し去ってもオウタのせいで、次々とクオリティの高い霊力の化身を出してくる。
「おうらっ!」
「ふふ、もう疲れて来たのね・・・?そんなに弱いのかしら、冥界を揺るがせる組織のリーダーさん?」
「疲れてはない!」
アイリはすぐさま返事をし、ヌンチャクを伸ばす。
やや人魚を掠めるが、傷ひとつついていない。
「くっそ!」
アイリは吐き捨てるように言う。
「ここまで来たら、捨て身で行くしか・・・!」
スイリはそう言って、一気に人魚へ突っ込む。
人魚は、数発ビー玉をスイリに向けて弾く。
スイリにあたり、ビー玉が弾けてスイリに針が刺さっていく。
しかし、スイリは物怖じせずに人魚へと向かっていく。
しかし、人魚は全く動じない。
「動じない・・・?スイリが行ってるのに」
アイリはそう、違和感を感じた。
そして、違和感を感じると同時に大きな不安を感じた。
「スイリ!下がれ!」
「がっ・・・」
アイリが言うと、ほぼ同時だった。
大量の血を吐き、スイリは目を閉じてしまう。
「・・・遅かったか。」
スイリは気絶したようだ。
しかし、手の先と足の先が震えている。
「何をした!あの球に!」
「球・・・ああ、あれは海の涙、『黒真珠』少し手を加えさせてもらったわよ。」
「海の恵みを・・・!」
見る限り、純度の高い黒真珠の光り方をしている。
黒真珠とは、世界で少ししか取ることのできないとても希少なものなのだ。
「さてはお前、毒を・・・!」
「ええ、針にたっぷりと塗らせてもらったわよ。どんなものでも、一瞬で気絶してしまうとても濃ゆい、ね。」
人魚は口角を上げると、沈んでいくスイリの首を握る。
「っ・・・!やめろ!スイリ!」
アイリが一気に近づこうとする。
しかし、人魚は空いているもう片方の手で霊力の化身、『盾』と『槍』を召喚する。
アイリは壊そうとするが、盾で防がれ、槍で責められてしまう。
「っ・・・スイリ、スイリ!」
首を、骨が折れるほど強く握りしめられているスイリの顔は、真っ青だった。
アイリの身体中が冷える。
「クソ野郎が・・・!」
「あら?勝手に私の領地へ近づいてきて、『捕まえてください』と言わんとばかりに泉を覗き込んでいたあなたが悪いじゃない。」
アイリは、喉が詰まるのを感じた。
たった1人、たった1人だけの大切な弟が、今目の前で命を絶たれようとしている。
「おい!やめろ!」
「やめろと言われてやめる馬鹿がどこにいるのよ?あ、あなたがそうなのですか?」
人魚は笑いを交え、手の力を強くしていく。
今すぐに弟の場所へ行きたいが・・・槍と盾の防御がどうにも崩すことができない。
毒、首絞め、骨折り、流星鎖の召喚・・・だいぶ霊力を削られているだろう。
「終わりね。」
「スイリっ、スイリ!!」
アイリは悲痛に叫ぶ。
その時だった。
「ねえ、君弱いね?」
黄金の光が走り、聞き覚えた声がする。
人魚の両腕が切断され、スイリの体が開放される。
そして、盾と槍が崩壊を始める。
「近づかせません!」
アイリのすぐ左隣からこれまた聞き覚えのある声。
「よいしょ。よし、桜!撃て!」
「OK、いなりくん!」
そう、現れたのは・・・いなりと桜だ。
桜の顔色は戻り、完全に復帰したようだ。
そして、桜は数発弾を放つ。
人魚は何かをしようとするが、両腕がないため何もすることができない。
銃弾は、尾鰭・体・頭に命中した。
人魚が混乱している間に、いなりはスイリを抱き抱えたまま、アイリの右隣へ来る。
「ビー玉にさえ気をつけて、両腕を切り落とせばこっちのもんだったみたいだね・・・ね、落ちぶれた落神さん?」
「・・・黙れ、黙れ。なぜ、お前が知っている?」
「ん?それぐらい知ってるよ。脳みそがないのかな?」
いなりは自分の頭を人差し指でツンツンと突く。
「で?どうして祀ってくれた人を殺した?」
「・・・子供を連れ去るのを見られた。もしもこれが公になれば・・・埋められてしまう!」
人魚はどうにかこうにか足掻いて、両腕を戻そうとするが、なかなか戻らない。
「ど、どうしてだ・・・?」
「あれ、わからないの?君が俺の煽りに乗っている間に・・・・すでにもう札を貼ったよ?」
いなりは向かいにいるアイリを見る。
アイリは数回頷いた。
そう、アイリはすぐに移動をしてオウタの中心・・・人魚の尾鰭に札を放ったのだ。
両腕の感覚を奪われたせいか、人魚はその時うんともすんとも言わなかったのだ。
「お、おのれ・・お前ら如きに、何を・・・!」
人魚は尾鰭をバタバタと動かした。
いなりは少し下がる。
そして、人魚は尾鰭でいなりを叩こうとする。
が、それより早くアイリが尾鰭にヌンチャクを巻きつけ、固定する。
スイリはアイリの腕の中でまだぐったりとしている。
「さあ、オウタを奪われた今・・・君にできることは、ほとんどないよ?さあ、いろいろ聞かせてもらおっか?」
いなりはそう言って、剣を人魚の喉元へ突き立てる。
オウタを失った今、人魚にできることはほとんどなかった。
「最初は・・・」
いなりがそこまで言ったところで大きくその場が揺れた。
「・・・まずい、通路ごと崩壊する。」
アイリがそうぽつりと言った。
「どうしてだ!?」
「霊巫女が覚醒したこと。それと、双子ちゃんが本領を発揮したから・・・じゃないの?ふふ、あなたの方が物知らず・・・」
人魚のその言葉は、人魚の最後の言葉となった。
「逃げるぞ!」
いなりの言葉に、一目散に逃げていく。
目指す場所は・・・最初に来た、あの廊下だ。
通路が崩壊したら・・・この通路もろとも、いなりたち4人の命はなくなる。
第37話、影は語らないをよければ読んでみてください!
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これからも面白い話を作ろうと頑張って行きます!




