誤解と裏切り
オウタの調査のため、森にいた三人。
すると、まさかの“あの人“が現れて・・・・!?
そして、桜が本殿の裏で見たものとは・・・?
風が変わる、第45話 開幕。
「こまるー!おかえり!どうだった?」
・・・はっ!
眠いあまりに、意識が遠ざかっていた。
けど、いなりくんの声で現実に引き戻される。
「ふん!」
こまるちゃんは首を縦に振る。
「何か、あったと言うことなのか・・・?」
先輩がそういうと、こまるちゃんは一層大きく首を縦に振った。
「やっぱり・・・オウタがある、と言うことで間違いないみたいだね。その異変って、オウタの曲が聞こえたんでしょ?」
そういなりくんが言う。
私もそう思ったけど、こまるちゃんは首を横に振る。
「え!?じゃあ、どんな違和感・・・って、話せないか。じゃあ・・・音が聞こえたの?」
そう言うと、こまるちゃんは首を縦に振る。
「じゃあ・・・それは、誰かの歌?」
その質問にも、小丸ちゃんは同じ反応を見せた。
「じゃあ・・・もうわかってるけど、一応聞くよ。」
いなりくんはそこまで言って、息を吸う。
「それは人間だった?」
その質問に、こまるちゃんは首を横に振った。
「・・・だろうな。」
先輩はそういった。
けど、納得が行っていないみたいだ。
「ならどうしてオウタではないんだ・・・?」
その時。
風がザワザワと吹き始めた。
不気味に木の葉が触れ合い、カサカサと音が鳴る。
「なんだ・・・?様子が、おかしい・・・。」
私たち三人の髪の毛が揺れる。
こんなに強い強風なんて・・・初めてだ!
月が雲に隠れ、視界が一瞬遮られる。
その時だった。
「・・・!?こまる!戻れ!」
いなりくんの叫びが聞こえてきた。
焦りと驚きの混じった声色だ。
淡い光が弾けて、一匹の気配が消える。
「ふうん、お前たちは吾輩たちを差し置いてそんなことをするんだな。」
「この声は・・・!」
ゆっくりと月光が見えてくる。
「姉さん、人間はだからこうなんだよ。」
「アイリちゃん!スイリくん!どうして・・・?」
私の焦った声を、さぞかし楽しそうにアイリちゃんが笑う。
「ふん、お前たちが出て行った時から吾輩は気配の動きを感知していた。」
「姉さんは寝ていただけでしょ・・・。」
スイリくんはいつも通りツッコんでいるが、いなりくんのことを見たことのないような眼差しで睨んでいる。
「なーんでここにいるのか?オウタの手助けでもしてたんじゃないか?」
「ちがっそんなわけじゃっ・・・!」
「黙れ。黙って人の秘密を暴こうとする奴の何を信じられる。」
その言葉に、胸が締め付けられたのを感じた。
ああ、痛い。
グッと喉に何かが突っかかったように声が出ない。
この子達は・・・私たちの近くにいたようで、遠くにいたんだな。
「そこまで言うとは・・・いくらなんでもひどいぞ。」
「幽霊警察の言葉に耳を貸す気はない。ああ、足止めをくらっちまった。」
「・・・で?どうしてこまるを狙った?」
狙った・・・?
と思って、こまるちゃんがいたあたりに目を向ける。
その地面はひび割れていた。
「いや・・・吾輩はあまり好きではないのでな。」
「吾輩たちの案件だ。首を突っ込まないでもらえるか?もう2度と会うことはなかろう。」
「姉さん、こんな奴らに油売ってないで早くいこ。僕たちの時間が食われていってしまう。」
「ちょ・・・」
ちょっと待って、と言おうとした。
けど、喉につっかえて続けることができなかった。
「裏切り者。」
アイリちゃんは一度だけ振り返って、そう言った。
そして、2人はだんだんと、森の奥の闇へ飲まれていった。
「なあ・・・。あの2人は、本当に姿を見せなくなってしまうのか?」
「・・・知らない。」
先輩の問いに、いなりくんはそっけなく対応した。
その姿を見て、さらに胸が締め付けられる。
そんな姿を見たくないから、俯く。
濁って、汚れたぬかるんだ地面は、私たちの心を映しているみたいだった。
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「っ・・・。」
沈んでいく。
世界の末端とは違う。
しっかりと沈んでいって、だんだんと肺の空気が奪われていく。
「ゴホッ・・。」
肺の空気が尽きて、咳をする。
鼻から水が入ってきて、つーんと脳がつっつかれるように痛い。
だんだん、意識も薄くなってくる・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜「わっ!!」
急に意識が戻ったと思ったら、そこはベッドの上だった。
「私の、部屋・・・?」
周りを見渡すと、そこは間違いなく私の家、私の部屋。
さっきのは、夢・・・?
バクバクと心臓が大きく動いているのを感じる。
ふと顔の表面が熱いのを感じて、触ると汗をかいていた。
「なんで・・・?」
運動も特にしていないのに、汗が滲んでいる。
背中までびっしょりと。
「嫌な、夢だな・・・。」
・・・そうだ。
ふと、夢よりも嫌なことを思い出してしまった。
アイリちゃんとスイリくん・・・夢だったり、しないかな?
ふと起きて、隣の部屋へ向かう。
開けると、そこは誰もいない部屋。
寂しげな空気が広がっている。
「・・・夢だったら、いいのに。」
特にやる気が起きない。
熱が出ている感じはしないのに、体が重くて仕方がない。
というか・・・どうやって、家に戻ったんだっけ。
何も思い出せない。
時計を見ると、まだ午前の4時。
「何時に戻った・・・?」
そんな記憶もないまま、再び眠りにつこうとするけど・・・。
さっっきの夢が頭をよぎる。
「・・・寝たくない。」
多分、まだお母さんもお父さんも起きていない。
・・・どうしよう。
とりあえず、着替えるだけ着替えようかな。
そうしたら・・・稲荷神社か、古民家か。
・・・神社だ、神社に行こう。
鍵だけを持って、部屋を抜け出す。
ドアを開けると、外はまだ日が登っていなく、薄暗かった。
けど・・・昨日の夜よりかは明るかった。
「行こう。」
アイリちゃんとスイリくんの誤解を解けないか。
あそこのオウタとは、いったいなんなのか。
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「・・・桜?」
稲荷神社に着くと、本殿の裏側から声。
「・・・そうだよ。それ以外、誰がいるの?」
そう答えるけど、いなりくんが出てくる気配はない。
足を踏み込む。
「・・・どうして、出てきてくれないの?」
「・・・別に。」
珍しく、キレのない返答。
「ねえ!」
もう!なら、自分で行ってやる!
やや強気に、本殿の裏に回り込む。
すると。
「近づくな!」
あの声で、止められる。
その剣幕に、足が動かせなかった。
心臓がさらに早く打ち始める。
けど・・・もうすでに、本殿の裏は見える。
あの小さな体が、うずくまっていた。
「・・・どうした、の?」
「・・・な、なんでも。」
やけに何かを隠していそうな声。
そして、強がっていそうな。
「・・・顔、見せて。」
「やだよ!」
一歩一歩、歩を進めていく。
「だから、近づくなっ・・・って。」
いなりくんが言い終わる時にはすでに、私はもう本殿の裏、いなりくんの場所まで辿り着いていた。
半無理矢理にいなりくんの頭を抑え、くるっと振り返らせる。
けど、いなりくんは嫌がり、頭を振る。
「やだ!」
「こっち、向いて・・・って。いなりくん・・・」
そこから先は、言えなかった。
いなりくんの目が、ほんのり赤く腫れていた。
まつげにやや水滴がついている。
「いなりくん・・・泣いて、いたの?」
「ち、ちがっ・・・!」
「違わない。正直にいって。」
いなりくんは振袖で軽く目を拭く。
「・・・。」
何も言わなかった。
けど、こくり、と頭を縦に振った。
「・・・ど、どうして。」
「嫌だった・・・から。」
いなりくんは掠れた声でそう言う。
すると。
唐突にいなりくんが飛びついてくる。
「わっ!」
すると、いなりくんは腕を私の背中に回してくる。
「・・・?」
じんわりと体温が伝わってくる。
けど・・・心臓の音は、ない。
「・・・。」
お互い、何も言えずにいる。
するとなんだか、腕が勝手に動く。
気づくと私の手は、いなりくんの背中に回っていた。
「・・・き、だよ。桜。」
「何か、言った?」
いなりくんの声が掠れすぎていて、何も聞き取れなかった。
「・・・いや。」
「それなら、いいけど・・・?」
すると、急にいなりくんの腕の力が強くなった。
けど、少しだけ震えている。
少しの沈黙の後、いなりくんは口を開いた。
「・・・桜。俺のこと、好き?」
「・・・好き、だよ。」
ふと口から漏れた言葉に、顔が熱くなる。
それは・・・どんな『好き』だったかは、自分でもわかんなかった。
こんにちは!みりぐらむです!
投稿頻度早めたくて、今日書いて投稿しました(╹◡╹)
今回、どうでしたか・・・?
まさかまさかの、アイリとスイリとの関係が悪くなってしまいます。
誤解って怖いですね・・・・。
題名の“裏切り者“とは、アイリ・スイリから見た三人か、三人から見たアイリ・スイリか・・・。
ご想像にお任せします!
いなりはなんて言ったんでしょね?
ブクマ・評価・感想・レビューできればお願いします!
いつも読んでくださって感謝です!
P Vが多い日もあってびっくり・・・。
次回もよければお読みください!




