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人間じゃないかもね?

アイリとスイリに“あの件“を尋ねようと思った桜。


2人を待っていると現れたのは、『あの人』で・・・・?


そして、“あの件“を包んでいたベールが少しずつ落ちだす。




第43話、開幕。

「よし!今日こそ!」

私は部屋の中で小さく意気込む。

今日こそ・・・・アイリちゃんとスイリくんに『あの件』はどういう件なのか聞くぞ〜〜!

夜8時、アイリちゃんとスイリくんはどこかに行く。

そして、夜9時に戻ってくる。

今は夜8時55分。

・・・もうすぐだぞ!

そして、ドアの近くで2人を待つ。

すると、


ドタバタドタドタ!


あの2人の元気な足音が響く。

階段を駆け上がっているんだと思う。

・・・来たぞ!

私は再び、1人で意気込む。

そして、ドアがバーンと開く。

それに合わせて問いかける。

「どこに行ってたの!」

「桜、桜!大スクープ!」

声が重なる。

次の声を発するには時間が空いた。

驚きすぎたのだ。

「・・・いなりくん!?」

そう、ドアを開けたのはいなりくんだったのだ。

「どうして!?」

目を丸くする私に、いなりくんはキョトン顔をする。

「どうしてって・・・・どういう意味?」

いなりくんは完全にわかっていないみたいだ。

「いや・・・アイリちゃんとスイリくんに聞きたいことがあって。」

「姉ちゃん、うっさい。」

そう言った途端に、一階からゲームをしている椿の苦情が来る。

「黙ってて!」

そう一階に向かって言う。

「で・・・・?聞きたいことって、『あの件』について?」

「うん・・・。」

元気のない返事が口から出た。

元気のない返事をしようと思ってしたんじゃない。

本当に、口から漏れたのだ。

「それ、いつの話?まだ聞いてないの?」

じとっといなりくんが睨んでくる。

尻尾を棚に軽く、叩きつけている。

「・・・うるさいな!そうだよ!聞けてないよ!」

2人がオウタカクシの創設者と知って、早3日。

私は怯えすぎて2人に何も聞けていなかった。

「ビビってたの〜?」

「ビビってないし!」

思っていることと真逆のことが口からでる。

これは『わざと』言った。

「で?そっちは?大スクープとか言ってたけど。」

「桜が知りたがっていること、だよ!」

「知りたがってるって・・・もしかして、“あの件“!?」

「うん!」

どうして、わかったんだろう・・・。

2人が出かけるのって、“あの件“と関係あるよね・・・?

「今日、ウルフのところへ行ったんだけど・・・。」

「ちょ、ちょっと待って。『いなりくんが見つけた』っていうよりは・・・『ウルフさん』が見つけたって・・・ことだよね?」

「あ・・・うん。」

自分の手柄にしようとしていたことがバレて、バツが悪いのか視線を横へずらすいなりくん。

「で?そのさきは?」

じれったく、いなりくんを急かす。

「それで・・・昔っから、ややオウタの気配がする泉があるんだよね。」

「それって・・・・何?」

「隣町にある、泉。名前はないんだけど・・・簡単に、歌泉うたいずみって名前をつけようか。」

「・・・その名前は?だれが考えた?」

すると再び、いなりくんは視線を横へずらした。

・・・・予想通り、ウルフさんがつけた名前みたいだ。

「そ、それで・・・・歌泉には、やや霊力があるんだ。そのせいか、薄い霊力のある人間から『神の泉だ!』と崇め称えられて・・・今は、祠が作ってあるの。」

「祠・・・?何が祀られているの?」

落神らくしん。落神って・・・確か、桜知らないよね。」

「うん・・・どういう意味なの?」

初めて聞いた言葉に、首を傾げる。

「落神っていうのは、いわば『忘れられた神様』状態、だね。」

「なり損ない・・・・?」

「神様ってのは、自然発生じゃなくって・・・人間、幽霊の祈りから発生するんだ。」

「それって、神話とかで信じる人が増えて・・・現に、核ができて守護霊が守っているっていうことになるの?」

「その通り!」

私がズバリ、言い当てたことに喜んだのか、いなりくんは尻尾を振っている。

「でも・・・途中で、信用する人が減ったり祈りの力や、神社の場合・・・お賽銭、参拝者が減って行くと・・・その神の霊力は朽ちていく。つまり、弱くなる。」

「へ〜〜。それで朽ちていってしまったのが・・・落神?」

「今日、桜なんだか感がいいね・・・。」

いなりくんは驚いたような表情を見せる。

褒められた嬉しさと、感がいいことを驚かれた悔しさが入り乱れる。

「落神ってことは・・・もしかして、もう知ってる人は少ないの?」

「少ないどころか・・・もう、いないと思うよ。」

いなりくんは核をしまっている、自分の胸の辺りを抑える。

「・・・そんなに、裏があったんだ・・・。」

もしも、稲荷神社がなくなってしまったら。

そんな嫌な考えが浮かんだ。

「でも、俺が守護霊をしている稲荷神社とかは全国にたっくさん神社があるから・・・ここにくる人が少なくなっても大丈夫!」

その言葉に安心した・・・のだけど、ふといなりくんの顔が寂しそうに見えた。

・・・何か意味があるのかな?

確信が持てないけど・・・私はいなりくんに問い詰めた。

「本当に・・・大丈夫、なの?」

「大丈夫だよ!決して、宵様が落神になることはないよ!」

「・・・いなりくんは?」

そう尋ねた途端、上がっていたいなりくんの尻尾がしゅん、と下がる。

「・・・それが問題、なんだよね。」

そのあとに、『今日は本当に、勘がいいね桜。』といなりくんは付け加えた。

「やれ全国の稲荷神社が一つや二つ潰れても神様の霊力には、何一つ問題はない。けど・・・もしもその神社の神様の核を守護している、俺とかは・・・・その守護する神社が潰れると、クビだ。あ、この場合本当に首と胴体が離れちゃうけどね。」

その気まずさに耐えられなかったのか、後半いなりくんはケラケラ面白おかしく話していた。

・・・けど、私の方は全然面白おかしくなれない。

「・・・大丈夫、だってば!」

「大丈夫じゃないでしょ?いなりくん、消えちゃうかもなんでしょ?」

すると、いなりくんはこういった。

「絶対に消えないって言えるわけじゃないんだけど・・・使いがいる守護霊が守護する神社は、その使いの分の霊力で・・・勝手に人が引き寄せられる。」

「ってことは・・・・私の存在、でいなりくんが消えないかも・・・しれないの?」

「まあ、ね。」

いなりくんは肩をすくめた。

「でも、大丈夫!ここの村の神社は・・・絶対に消えない仕組みになってるから。」

「仕組み・・・?」

「・・・また、今度話す!今日は、歌泉と落神の話をもうしよ!」

話を変えられただけなのに、質問をはぐらかされた気がする。

「・・・そして、その泉が・・・どうしたの?」

「その泉は、少し昔に新聞に載った時があったんだ。戦後すぐぐらい、かな?」

「どうして?」

オウタの気配がある泉と、新聞に載った事実。

・・・これは偶然、じゃないよね?

「神隠しの泉。」

「もしかして、人が消えちゃったの・・・!?」

「そう。あそこにいった人はみんな消えちゃったんだ。」

「もしかして、神隠しで近づかない人が増えて、だから崇める人が減って神様は落神に・・・・!」

うんうん、といなりくんは首を縦に振った。

「でも、問題はどうして神隠しが起きたのか、だよね。」

いなりくんはちょこん、と床へ座る。

「うん・・・。絶対、その『落神』が関係しているよね?」

「もちろん。神隠しは、現在発生しているオウタと・・・関係、あるのかな?」

いなりくんはカーペットの模様を指でなぞっている。

「まあ、なんにせよ・・・あの泉には近づかないようにして。」

「わかった。」

その後、いなりくんが私の机から地図帳を引っ張り出してきて、泉の位置を知らせてくれた。

絶対に近づかないような場所。

・・・でも、気をつけなきゃ。

人形屋敷の時みたいに、無意識にいたら・・・終わりだ。

あのときはいなりくんも先輩もいたから良かったけど、1人だったら・・・?

1人だったら今頃、純情に処刑されているだろう。

「・・・わかった。」


ドタドタドタ!


「あ!」

いなりくんが、『しまった!』というような表情をする。

この足音は紛れもない・・・あの2人だ!

「桜!それじゃバイバイっ!」

「えっちょ・・・どこから出るの!?」

ドアを開けると、近くに階段。

なぜかいなりくんはあの2人と会いたくないみたいだけど・・・どこから逃げるの?


ぶわっ


冷たい風が顔を吹いた。

「!?」

「じゃあねっ!」

その風の正体は、窓の外から吹く夜風だった。

「・・・えっちょっと!」

いなりくんはカーテンを避けると、そのまま二階から飛び降りた。

・・・大丈夫、かな?

けど・・・きっと、どうにかしている、と思う!

「桜!ただいま!」

元気よくドアが開いて、アイリちゃんが顔を出す。

「姉さん・・・いつかドア、壊しそう。」

今度はスイリくんが顔を出した。

「・・・どうした?窓が開いているぞ?」

「ちょっと空気を吸いたくなって・・・ね。」

明らかにおかしい言葉だな、と自分でも思える。

けど・・・それしか言えなかった。

___________________________________________________

「あーーーもう!」

私は休み時間、1人で机に突っ伏した。

いきなり大声を出したので、クラスメイトから凝視される。

それにいたたまれず、1人勝手に小さくなる。

・・・・何をして、いるんだ私・・・。

自分でやったことに、自分で突っ込んでいる。

「なんで、大声出したんだっけ・・・?」

今度は小さく、つぶやいた。

なんだかルーの溶けきってないカレーを食べているみたいな・・・ネタバレされた映画を見ているような・・・

そんな気分だ。

歌泉については何にも進展なし。

けど・・・歌泉のことを知ってから2日しか経っていないから、そりゃそうだ。

「ねえ、桜。」

「わああああっ!?」

いきなり耳元から声が聞こえ、急に立ち上がる。

その勢いで椅子がガタン、と倒れる。

椅子の音と私の叫び声で再度注目が集まり、椅子を立てながら再び小さくなる。

「ご、ごめんなさい・・・。」

小さく言ったから、多分誰も聞こえてない。

「・・・ねえ!前授業中に来るなって言ったけど・・・だから休み時間にくればいいってもんじゃないの!」

小さく、けどしっかりと伝わるように言う。

顔を見なくてもわかる。

気配もなく、近づいてくる・・・やつ!

「たっっはははは!面白い面白い!なーにやってんの!桜!」

当の本人は大層楽しそうだ。

・・・こちらは大層不愉快ですけどね!

きゃっきゃきゃっきゃと楽しそうな笑い声をあげ、地面を転がりまくる狐・・・いなりくん

「だって!びっくりすることないでしょ!」

「うるさい!今だって先輩が声をかけてきて驚くことだってあんのに!」

ギロっと床に寝そべる狐を睨む。

「で?なんのよう?さっさと・・・出ていってもらいたいんですけど!」

「まあまあ、そんな怖い顔しないで。」

花マークが浮かんでくるような笑みを浮かべるいなりくん。

その微笑みに怒りが更に掻き立てられる。

机の上に消しゴムがある。

・・・投げつけてやろうかな。

そう思った時、いなりくんが口を開いた。

「俺がきた理由はね〜、歌泉についてだよ!」

目のはじに映っている消しゴムが消えたように見えたのは、ヘラヘラしているのに怒りが頂点に達したのか。

一番気にしていた言葉をいなりくんが口にしたせいかはわからない。

「進展?」

「もちろん。じゃないと、わざわざ伝えに来ないよ〜。」

「・・・別に、後でも良かったんですけどね!」

しれっと嫌味を言ってやることができた。

しかし、いなりくんはものともせずに続けた。

「その落神を崇めたてた最初の人間。最近・・・亡くなったんだよね。」

「・・・それが?」

「なんと、その“泉“で浮いているのが見つかったんだ。死因は溺死。・・・引っかからない?」

「引っかかるどころか・・・絡まってるよ。」

偶然・・・では、ないはず。

「そして。死んだ日は・・・・これまたなんと、アイリとスイリが現れる一日前、だよ。」

「もしかして、その人は何かに気づいちゃって、確認しにいったらオウタの主?がその人を・・・!」

「・・・いや、まだ偶然の可能性も捨てきれないけど・・・そう考えて、正解だと思う。」

いなりくんはこくん、と一回首を縦に振った。

「アイリとスイリは追い出されたって言っていたけど・・・果たして、鏡花は本当に“追い出した“のかな?」

「じゃあ、今すぐあの2人に・・・」

そう言いかけた途端、いなりくんは『だめ。』と言った。

「あの2人は俺たちがこのことを知っていると知らない。もしかしたら、知られてはいけないのかもしれない。」

「そんな、もしかしたら敵かもしれないってこと・・・・?」

「・・・俺はまだあの2人のことを信用しきれていない。」

「良い子だと、思うけど・・・?」

「それで近づいたらダメな場合もある。最悪、殺される。」

いなりくんの目はどこまでも“真面目“を貫いていた。

否定したいけど・・・否定しきれない。

「・・・わかった。」

「第一印象で人を判断してはいけない。あ、もしかしたら桜のそばの人間も・・・」

そこでいなりくんは窓の近くに歩いていき、窓枠に手をかけた。

人間ヒトじゃない・・・かもね?」

そう言った途端に、窓枠にかけた手に力を込めて、窓の外へ飛び降りていった。

情報は手に入れたはずなのに・・・最後の一言で、溶けきっていないルーのカレーに溶けていないルーが追加された気がした。

その言葉は、何気ないはずなのに・・・不気味さを残していった。

「・・・ねえ、迷。」

その不安さを消すために、迷の席まで歩いていく。

「何?桜、珍しいね。」

休み時間は話すことが少ないから、迷は目を丸くした。

「迷って怖い話、好き?」

迷の思考が止まったのが肉眼でも確認できた。

「・・・苦手!無理無理無理!」

迷は顔を青ざめると、すごい勢いで首を左右に振り出す。

止まった頃には、髪の毛が髪の毛がすっかり乱れていた。

「じゃあ・・・自分の身近な人がバケモノだった、て言う話をしてあげよっか。」

「・・・ヤダヤダ!」

そうは言っているけど・・・テーマを言ったら好奇心が湧いたらしい。

迷の目が輝き出していた。

こんにちは!みりぐらむです。


また一週間に一回投稿になっちまいましたよ・・・。


今回、どうでしたか?

歌泉と落神。

オウタとの関係、見えてきそうですね・・・!


ちなみに。

この回を読んだ人!

第25話 『悪魔』を読むと、また面白いかもしれません・・・。

・・・レモンのネットスラングは、『不良品、欠陥品』らしいですよ。(小声)


ではでは!

ブクマ・評価・感想・レビューいくらでもお待ちしております!

次話も良ければ・・・お読みください!

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