表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/50

夜が明けたあとに(後編)

⚠︎骨の折れる描写あります。

そんなに強烈ではないと思います。

「犯人が、わかりました。」

「はい??」

まず、声を上げたのはBさんだった。

「どういう根拠よ。本当にわかったの?」

「黙ってもらえませんか?」

先輩の半ギレした声に、Bさんは引っ込む。

「まず、前提として。Fさんの部屋には、隠し通路がありました。」

「だよね、E!」

「う、うん・・・。」

Eさんは、私の方を向く。

マネキンのため、表情はわからない。

「ごっごめんなさい!」

「いいのいいの。蓮華くんなら大丈夫!」

Eさんの声は落ち着いていた。

「Eさんはそれを知っていた。」

「先に言ってくださいよ・・・。」

「だから黙っててもらえませんか?」

先輩が、笑顔でCさんに圧をかける。

すぐにCさんも引っ込んだ。

「そして、次です。Gさんは刺殺によって亡くなりました。これがどういう意味かというと・・・。」

「Gの部屋にも、隠し通路があったんだよね!」

いなりくんは先輩にそう言う。

「そうです。それは、今日朝早くに2人で確認しました。」

Bさんが何かを言おうとしたが、すぐにやめた。

あの怖い顔で睨まれたくないのだろう。

「そして、Gさんも気づいていたと思われます。そして、なぜ殺されたかを考えた結果・・・。」

先輩は、みんなの方を向き直す。

「隠し通路のことを、Gさんはなんと犯人に相談してしまった。確証はないですけどね。」

その言葉に、一気にマネキンたちが反応する。

「違うわよ!」

「違います。」

「聞いていないなあ・・・。」

「Fさん以外にも・・・!」

反応は人それぞれだったけど、全員相談されたことを否定した。

「そしてGさんは・・・殺された。」

うんうん、といなりくんが頷いた。

「次です。Aさんは、自室で倒れていました。あたりには本が散らばっており、抵抗したと『思われました』。」

「『思われた』って・・・どういうことですか?」

Cさんが控えめに声をかけた。

「最初は、俺も部屋で殺されたと思いました。しかし、気づいたんです。」

先輩は少し間をおいたあと、口を開いた。

「いくら風が強かったと言っても・・・・叫び声よりは小さいはずです。」

「ちょっと待て。風に声が流されたんじゃないですか?」

「違います。室内で叫んだとすると、風が吹いていないので聞こえるはずです。この屋敷、全体的には古いのにところどころ新しいですから、綻びもないはずです。」

「このゲームをするために、純情は屋敷を見回ったんですか・・・?」

「多分。俺たちが外へ出られないよう、結界を張られているんです。」

「結界・・・。」

「ここで仮説を立てます。」

先輩は人差し指を立てた。

「Aさんは、『室内』ではなく『外』で殺された、という仮定です。」

「でも・・・本が散らばっていて・・・。」

Eさんが声を出す。

「犯人のカモフラージュです。」

先輩は淡々と答えた。

だんだん、答えが見えてきた気がする・・・!

「そして、Aさんが殺された、本当の場所は・・・。」

そこまでいうと、先輩は、人差し指を立てた手を上へ突き上げた。

「2階・・・?でもそれって室内・・・・。」

Cさんがそう言った。

先輩は、『違います』と首を振る。

「屋上です。」

「屋上!?そんなの、あるの!?」

Bさんが驚愕の声を上げる。

「驚いたのも無理はないです。屋上への入り口は隠されていたので。」

「隠されていた・・・?」

Bさんが首を傾げる。

「トイレです。」

「トッ・・・トイレ!?」

Cさんがすっとんきょうな声を上げる。

あの冷静さは、今となっては消え去っていた。

「トイレの用具室。」

先輩はそう言った。

「いつも開けることがないから、探らなかったかも・・・。」

私はそう声を漏らした。

「細かいところに目を向けていなかった。大失態ですね。」

先輩は、少し苦笑をする。

「そこには・・・モップや、雑巾などの用具がありました。」

「あのー・・・そこなら見たんですけど?」

「用具をどけて見たんだよ!」

Cさんの声にかぶせるかのように、いなりくんがそう言った。

「下へ続く扉が・・・ありました。」

先輩が、いなりくんを横目に、そう言った。

続けて、『開けると・・・階段がありました。』と言った。

「そして、降りた先には梯子ハシゴがありました。上を向くと、新しいようなコンクリートの狭い、ハシゴの通路が続いていました。」

「あの、登ったんですか?」

Cさんが、静かな声で問いた。

そこで、先輩は首を縦に振った。

「誰も起きていないのを確認して、昨日登りました。やはり、屋上。」

だから、先輩がなかなか見つからなかったのか、昨日!

1人で勝手に納得する。

すると先輩は、一枚の紙を取り出した。

「それって・・・地図!?」

Eさんの言葉に、先輩はにっこりと笑う。

「見ての通り、この屋敷の地図です。」

そこで、私は確信した。

犯人はきっと・・・あの人だ!

「Aさんはなぜ屋上に気がついたのか。それは・・・ここです。」

先輩は、その地図の一部を指差した。そこには


用具兼、屋上への階段


と書かれていた。

「これに、Aさんは気がついたのです。そして向かうと・・・なんらかの秘密があったんでしょうね。」

先輩は、そこで言葉を切った。

ちらり、と横目でいなりくんをみると、今度はいなりくんが話し始めた。

「そして、Aさんは犯人に・・・。」

いなりくんはそこまで行って、背中を押すジェスチャーをした。

「風が強かった。そして、飛ばされてしまうと、藪の中に突っ込んでしまう。体の損傷具合で、いつぐらいに殺されたか、バレるのを犯人は怖がったんだよね。」

「怖がった・・・・。」

Bさんが呟く。

「そして、犯人は・・・仮に、Xとしよう。XはAさんを部屋へ戻して、わざと部屋を荒らした。そして、何度も頭を殴り、あたかも撲殺であるかのように見せかけた。」

いなりくんはそこまで行ったところで、にんまりと笑った。

「そして、次はFさん。」

そこで、いなりくんは先輩を横目でチラリ。

先輩は一度、息を吸って話し始めた。

「Fさんが見つかった場所。それは・・・廊下、でした。」

「廊下!?どうして、そんなところで・・・?」

「Fさんについては、俺もお手上げだ。どうして、廊下なのか。殺した理由は、なんなのか。」

「あとは・・・・Hさん!」

「Hさん。絞殺かと思われましたが・・・実際には、そうではありませんでした。」

「だったら・・・・なんなんでしょう。」

Cさんが腕を組む。

「それは、青酸カリによる毒殺です!」

「アニメとかで見たことあるかも・・・・そういえば、昨日の夜ご飯はアーモンドスープ・・・。」

Eさんはそう言って、俯く。

「Eさんの言う通りです。Dさんが転んだ時、床にこぼれていた液体はスープではなく、青酸カリ。」

・・・ということは。

もしも、私があれを口に入れていたら・・・。

体がブルっと震える。

「そして。Hさんを殺した理由は、地下室を探り出したからです。」

「地下室・・・知らないなあ。」

「それはそうです。屋上へ行く階段をさらに降りた場所に、地下室があったのですから。」

そして、先輩は再び一枚の紙を取り出す。

「地下室で拾いました。これは先ほどと同じ、この屋敷の地図です。」

そして、先輩はまたまたもう一枚、紙を取り出した。

「これは、Hさんが持っていた屋敷の地図です。」

そこには、正確な地図が記されていた。

そして、『地下室で見つけた』地図と並べてみる。

「・・・似てる!」

ついそんな声が漏れた。

「さて、そしてこれを裏返すと・・・?」

先輩は、Hさんが書いたという、地図を裏返す。

「・・・・!」

視線が1人に集められる。

「ここには、犯人の名前が書かれていますよね?Dさん!」

「・・・。」

Dさんは何も言わずに、俯く。

紙の裏には、『作成者 D』と書かれていた。

「この書き方、地下室と屋上にあったものと一致します。」

「ど、どういうことなの・・・!?」

やっと状況を理解したように、Bさんが言った。

「どうしてだ、D。」

焦りと不安が入り混じった声。Cさんだ。

Eさんは、あまりのショックに声が出せなくなってしまっている。

「・・・御名答。」

Dさんは、ぽつりと声を出した。

「ほとんど、合っているな。」

「詳しいことは後で。ほとんどとは、どういう意味ですか?」

「Gの部屋に・・・・俺の地図があった。『Dさんって、大工さんですよね?地図、書けるんじゃないですか?』と言われた。冗談まじりに言われたのだが・・・これでバレてしまったら。と不安で。」

Dさんの元気がない。

・・・この人は、本当に殺そうと思って殺したの?

少し前に抱いた違和感。

『悪い人』の雰囲気が、どの人にもないのだ。

純情のオルゴールからは、微かに感じられたけど。

Dさんは、犯人ということがバレても・・・・全然、あの雰囲気はしない。

・・・どういうこと、なのかな?

「だから、殺したんですね?」

こくり、とDさんは頷いた。

「そして・・・Aはどうして殺したの?蓮華ので合ってる?」

いなりくんが、Dさんの前に手をつく。

「ああ。最初は・・・本当に、職業について話していた。だが・・・。」

そこで、Dさんは声を止める。

「何?早くして?」

「うるさい。何度も言わせるな。」

Bさんが余計なことを言う。

だが、先輩のすごい剣幕に再び引っ込まされる。

「Aさんから、言われたんだ。『こんな地図があったの。屋上、見に行かない?』と。そして、殺す気はなく見に行った。その時、思い出したんだ。この屋上には・・・トラップがあるんだ。」

「トラップ・・・?」

私はふと疑問を口にした。

「ふむと、奈落の底へ落ちていく仕掛けだ。“昔は“侵入者防止のために使われていた。」

Dさんは、そう言って上を向いた。

よくよくみると、小さな扉のようなものがついている。

それはちょうど・・・人一人通るくらいの。

完璧に模様と一致していたから・・・全然、気が付かなかった。

「そして、それを俺は・・・うっかり、避けてしまった。」

「あの、屋上へのドアを開けてすぐにあるトラップか。」

「俺、蓮華がいなかったら踏むとこだった・・・。」

いなりくんはそう言って青ざめる。

さすが警察・・・。

「そして、Aさんが落ちかけてしまった・・・。なんの話だろうな、俺は助けちまった。」

Eさんはそう言って、自分の手のひらを見つめる。

・・・・助けるのは、間違っていないよ!

「そして・・・Aさんに、やはり問い詰められた。『なんで、今の避けられたの?もしかして・・・知っていた?』ってな。そして、揉み合いになって・・・突き落とした。そして、俺はAさんの遺体を早く部屋へ戻さないと、と地図を拾うこともなく慌てて庭へ。」

「・・・よく地図が飛んでいきませんでしたね。」

Cさんが、そう先輩に尋ねる。

「屋上の何かのパイプに引っかかっていた。」

先輩は、Cさんに目を向けずに答える。

「そして、Fについて。Fはあの、“隠し通路“を探り出したからだ。」

「隠し通路は、結局どこに繋がっているんだ、D。」

「・・・地下室だ。地下室には、まずいものがある。」

「まずいもの・・・俺は気づかなかったな。」

「霊の気配、だ。俺と純情・・・二つの霊の気配が合わさって、霊力のない人でも明らかに気付けるはずだ。」

「・・・霊力に慣れすぎていたのか、俺は。」

「多分、そうじゃない?蓮華。」

「そして・・・霊力のない人間の魂が立ち入った時。頭に、『犯人はD』と浮かぶようにされていた。」

「どうして、そんなことを・・・?」

「それは・・・わからない。とにかく、地下室に入らせたくなかったんじゃないか?純情が。」

私の方に一瞬顔をむけ、またすぐに俯くDさん。

「そして・・・Fが入ろうとしていたから、殺した。あの通路は、霊の気配が満ちているから、普通の人間の視界はほとんど奪われる。よく見えるのは、“死の間際“だけだろうな。あの中で死んだから、廊下に遺体が転送された。」

そして、と続けるDさん。

「Hについては、その通りだよ。Hは地下室を探り出しやがった。2度、入られた。Hの部屋には・・・鍵があってな。」

「それって、地下室の鍵?D。」

「そうだ。一度入って、『犯人はD』と浮かんだみたいだ。俺に毎日、ついてきた。しかし、証拠がないと見つけられない・・・Hには、そんな信念があったんだろうな。そして、2度目で地下室の地図を見つけやがった。俺のところにきたよ。『筆跡が同じ』と。君みたいに、な。」

Dさんは地図を握りしめている、先輩のことを指差す。

「そして・・・部屋にあった青酸カリ。あれを飲ませた。そして・・・俺の部屋の奥はアーモンド臭がすごい。探られたらダメだ・・・ということで、絞殺に見せかけようとしたが・・・大失敗、だったみたいだな。」

「あの首を絞めた跡はどうやってつけた?」

「絞殺に見せかけるために・・・縄を首に巻きつけて、何度も上から踏みつけた・・・。」

Dさんは、より顔の角度を上げて俯く。

その瞬間。淡い光が立ち上った。

「なんだ!?」

先輩が珍しく焦りの表情を見せる。

次々と、光をなしてマネキンたちの体が崩れていく。

「どうして・・・?」


ピロピロピロン♪


「この音・・・純情!?」

いなりくんが真っ先にオルゴールの元へ駆けつける。

音の正体は、やはりオルゴール。

「よく見抜いたわね♪マネキンたち、戻らせてあげるわ♪」

その瞬間、B、C、Eのマネキンが一気に割れた。

しかし、その淡い光はまだ形をなしている。

「・・・いい夢、ではないみたいだ。」

新たな論文が書ける、とCさん。

「全く!何時間寝たんだか!」

マネキンに目はないのに・・・目を釣り上げるBさん。

「ありがとう、桜ちゃん・・・ばいばい。」

急に声が聞こえてきて、一瞬びくっと体が震える。

「ばいばい、Eちゃん。」

ニコッと笑うけど・・・この感情が複雑すぎて、多分笑えていない。

そして、光は一層勢いを強めた。

そして、次の瞬間・・・一斉に消えた。

「そしてD・・・お仕置きの時間♪」


バキッゴリッ!!


「・・・!?純情、何を!」

一斉に、首と足、腕があらぬ方向に曲がり出した。

その音は、マネキンが崩れる音じゃない・・・本物の、骨が折れる音だ。

「やめてっ!」

耳を塞ぐ。あんな痛々しい、音を聞きたくない。

どんどんと、関節が変な方向へ曲がっていく。

光は強まることなく、弱まっていった。

そして・・消える。

気づいた時には、もうマネキンは人間の形を留めていなかった。

「・・・神経大丈夫?純情。」

不敵にいなりくんが言うけど・・・いなりくんの目は、『悔しさ』を物語っていた。

「まだ聞くことがあったんだがな。」

先輩は悔しそうに、その白い『残骸マネキン』を見つめた。

「いや、見せてあげるわ。Dという人間・・・いや、冥界の住人の一生を。」

すると、今度は私たちの体が光り始めた。

先輩、いなりくんも同様に。

そして急に、屋敷が・・・いや、景色が消えた。

「どうぞ♪」

すると、2人の人間が現れた。

いや・・・これは、記憶?

ふわふわとしていて、形が確証していない。

そっか、これはDさんの記憶?


「おとーさん!とーさん!」

「よしよし、いい子だぞ!」

1人は、はちまきを巻いた、逞しい体をしたごく普通の男性。

もう1人は・・・小さな女の子。

顔が整っており、特に目が綺麗だ。

「大工さんごっこしよ!」

「申し訳ないんだが・・・お父さんは、今から本当の大工さんをしなきゃいけないんだ。」

「どうして?どうしてよ!」

女の子はムッとほっぺを膨らませる。

顔色が少し赤くなる。

「ごめんな〜。あ、そうだ。お土産を買ってきてやる。」

その一言に、女の子の目の色は変わる。

「ほんと!?じゃあ、帰ってくるまで待つ!」

「眠たくなったら、寝ろよ〜?」

そんな、他愛もない会話をする2人。

そして、また景色がなくなる。

今度現れたのは、小学校高学年くらいまで成長した女の子。

「私の将来の夢は、アイドルです。顔に自信があるわけじゃないです。私の、お父さんは大工をしています。お父さんは作った家でたくさんのお客さんを笑顔にしてきました。それを見て、『私にもできること』を考えたら、アイドルでした。歌も、ダンスも自信がありません。けど、1人でも多くの人を笑顔にしたい。そう思いました。」

その辺りまでしか、声は聞こえなかった。

口だけがぱくぱくと動いていて、お父さんは涙している。

そして、今度映ったのはさらに成長した姿。

お父さんの姿は見当たらない。

その代わりに、メガネをかけた女性と、さらに成長して高校生ぐらいになった女の子。

「あなたの誇れる場所は?」

「諦めない力です!絶対にみんなを笑顔にさせたいです!」

にっこり笑顔で答える女の子。

『幸せになってほしい。』

そう、率直に感じた。

しかし、人生とはそんなにうまくいくものではない。

そのあと、何十回も景色が切り替わった。

その度に、この2人の親子は負の方向へ向かっていってしまっている。

オーディション不合格の紙を握りしめる女の子。

励まそうとして、振り払われてしまう父親。

就職ラッシュに乗り遅れ、なかなか就職できない女の子。

そんな娘に何も言えない父親。

そして・・・縄を自身の首へ掛け、台に乗る女の子。

そして、次に写ったのは純情に声をかけられる父親。

そして、一回だけ。

一言だけ声が聞こえてきた。

「あなたが、他の人を欺けたら・・・娘を、生き返らせてあげる。あなたが、この屋敷を作ったんでしょ?きっと、楽しいわよ♪」


そこで景色は終わり、人形屋敷が見えてきた。


「どういう、ことだ・・・?」

先輩は頭を抑える。

見えていたものが、信じられないみたいだ。

・・・やっぱり、Dさんは殺したくて殺した訳じゃ・・・なかった。

「見た通りの・・・


「「ままよ。」」

急に、声が重なった。

「「あら、戸惑っているようね?」」

先輩といなりくんが辺りを見回す。

私は・・・声に集中することにする。

「「ここよ。」」

わかった。

一つは、オルゴール。

もう一つは・・・上!

「桜、危ない!」

急にいなりくんが私を抱き抱え、スライディング。


ダン!


その部分に、怪しい魔法陣が現れる。

そこからは・・・アーモンドの匂いがした。

「あら、バレた?」

上を見ると、そこには純情。

オルゴールじゃない。本物・・・!

「純情!どういう訳だ!犯人は見抜いたはずだろう!」

「誰が敵を信じろって?ふふ、幽霊警察も落ちたものねえ。」

「・・・は??」

いなりくんが純情のことを睨む。

青いワンピースを揺らす純情。

「返す、訳ないわよ。」


ガチャン


「!?」

急いで門を振り返る。

「もしかして・・・鍵、閉まった?」

いなりくんの腕を抜け出して確認する。

・・・開かない!


トーオリャンセ、トオリャンセ


「・・・オウタ、だ!」

その時。


ブウウウン


羽音が聞こえる。

上を見ると・・・大きな虫の人形が飛んでいる。

・・・いや、体は虫。人間の、頭がついてる・・・!

すると、急に羽ばたくのをやめて地面へ落ちてくる。


ダン!


再び、怪しい魔法陣とアーモンドの匂い。

「・・・助けが来るまで、待つしかないですね。」

「いや・・・青酸カリは、胃酸と反応し合うことで有毒なガスを起こす。」

「それってつまり・・・青酸カリを吸ってしまった時点で、アウト!?」

液体ではなく・・・気体になった青酸カリ。

近づけさえしない・・・!

「狐!幽霊だが、いけないのか!?」

「・・・あいにく、俺は人間に一番近い種類の幽霊、『守護霊』なんでね。」

一瞬、冗談を言っているのかと思った。

しかし、その顔は本気だ。

「胃酸がある幽霊なんて聞いたことないよお!」

「なんとかなる・・・!」


ダン!ダン!


上を見ると、多くの数のあの虫人形が飛んでいた。

どんどんと、落ちていく数も増えていく。

「体力が削られて死ぬか、青酸カリで満ちるか・・・2択、だな。」

「怖いこと言わないでください!」

あっちこっちに逃げるうちに、体力が落ちていくのを感じる。

先輩のいうことも・・・冗談じゃ、済まされなさそうだ。

「あー面白い♪人形には『命』が必要だわ♪」

「お前は・・・作った人形に命を吹き込んでいるのか!?」

「もちろん♪自分が戦わなくていい。そこが面白いわねえ。」

にいっと、純情の口角が上がっていく。

「じゃあ、あの魚もお前か!?」

いなりくんはチャームを取り、刀を取り出しながら言う。

そしてその刀で、虫人形を真っ二つ。

しかし、そこにも魔法陣は展開。

さっさと避けるいなりくん。

「もちろん!というか、この体も・・・偽物よ♪本物は、ゆっくりティータイムよ。」

「・・・まずい状況、かもな。」

「『かも』じゃないんですよ!完全にまずい状況ですよ先輩!」



ブウウウウン・・・。


なんだか、やけに近いところから虫人形の羽音。

・・・嫌な予感。

上を見ると、その嫌な予感は大的中。

すぐ近くまで、虫人形が迫ってきている。

そして、私のすぐ近くで羽音が止まる。

「やっば、間に合わな・・・!」

「待てーーーーーい!」


ピタリ


覚悟して目を閉じていた。

しかし、ゆっくりと目を開けると、虫人形がすぐ近くで止まっていた。

「・・・どういうことだ、全てが止まっている。」

先輩は数回瞬き。

門を見ると、その門は開け放されていて、うっすらと人影が二つ見える。

よくよく見ると、壁にお札が貼られている。

・・・どういう、訳・・・!?

「ゲームも潮時かしら、ね。」

純情はそう言って、パチン、と手を鳴らした。

それと同時に人形屋敷が消えて、稲荷神社へ転送される。

「あれ、戻って来れた・・・?」

急に色々なことがありすぎて、助かったと言う実感が湧かない。

「まあ、何はともあれ・・・。」

いなりくんがそう言いかけた時。

「オウタカクシ・・・なぜ、ここに?」

「吾輩の出番だったと思ったんだ!感謝しろ!」

「姉さん、でしゃばらないでくれ・・・。」

慌てて目を向ける。

そこには、同じ顔が二つ並んでいた。

「君たちは?」

いなりくんがじっと睨む。

「吾輩はアイリだ!」

「僕はスイリです。」

2人とも、オレンジ色の髪の毛と緑色の目。

セミロングくらいの髪の子が、『アイリ』。

肩につくくらいの髪の子が『スイリ』。

私は、この子達のことを一切知らない。

でも・・・これだけは言える。

『また仲間が増えた。』

と。





もしかしたら、明日投稿できないかもです・・・・。

すみません・・・。


次回、新編スタートします。


ブクマ・感想・評価・レビューお待ちしています♪

ここまで読んでくれている人!ブクマしてくれた人!評価つけてくれた人!

感謝すぎます・・・!おかげで、ここまで続けることができました!


また、次回もよければ読んでください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ