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2日目・起床

いなりに着替えさせられた2人。


そして、下へ向かうとA、D、Eがいた。


その後、とあるマネキンの目覚めが知らされる・・・。

「着替えたよ〜。」

踊り場で座っているいなりくんに声をかける。

「いいじゃんいいじゃん似合ってる。」

すっごい棒読みで返事が来る。

「棒読みだと伝わんないんですけど〜?」

「はいはい似合ってます!」

さらに棒読みで返事をしてくるいなりくん。

部屋の鍵で軽くいなりくんの頭を小突く。

「先輩は?」

「まだ。」

ドアが開く音がした。

「これで、いいのか・・・?」

やけに照れている様子で先輩が出てくる。

「似合ってます!」

「ほんとほんと!」

「やかましい!」

やいのやいの言い合ういなりくんと先輩。

先輩、ベスト似合いすぎじゃないか・・・?

どこかのバーテンダーさんみたいな雰囲気がする!

「待って待って!喧嘩しない!」

「俺ほんとのこと言っただけだったのに・・・。」

「私は先輩側なんで!」

ウンウン、と頷く先輩。

「狐も着たらどうだ?気持ちがわかるんじゃないか?」

「・・・俺はいいよ。」

「いや風呂には入るくせに服は着替えないんかい!」

思わず突っ込んでしまう。

「一回一階行くか。」

先輩は、手すりにもたれかかって下を見る。

私も見てみると、すでに何人かが座っていた。

「みんな、朝早いね・・・。」

「彼らにとって、ここは夢だからね。実際はみんなお寝ぼけだと思うよ?」

「・・・遅く起きてどうもすみません!」

「・・・ごめんっ!」

「なんで〜?冗談だよ〜!」

笑いながらそう言うと、いなりくんも肩を下ろした。

「まぁ、紛らわしいことを言う狐の方が悪いって言うことで。」

「なんで!?」

「ほらほら、下行くよ?」

やいやいと言い合う2人を適当にいなし、下へ向かうとAさん、Dさん、Eさんがすでにいた。

「他の5人はまだきていないんですね・・・。」

「そうそう。」

椅子がガタン、となる音がする。

「あたしが一番最初に来たよ?」

それは、Aさんだった。

その言葉に、反射的に他の2人を見る。

Dさん、Eさんは果物を食べている。

あれ、あの2人は・・・?

「おい、やめろ!」

「いや〜〜苦手は意外と克服できるもんだからね〜。」

・・・喉に詰まるよ?

「Aさん。」

「何?」

「一番、最後に来たのは誰ですか?」

「D、だよね?」

「ああ、俺が一番最後だ。」

りんごの皮を剥く手を止めるDさん。

ナイフで切られた皮は、螺旋状に長く続いている。

確か、大工だったから・・・こう言う仕事、得意なんだろうな。

「じゃあ、二番目に来たのがEさん、と言うことですか?」

「そうそう!」

D三とは裏腹に、葡萄を食べる手を止めないEさん。

千切っては口に入れ、千切っては口に入れを繰り返している。

すると、Dさんがすっくと立ち上がった。

「2人ともやめろ。」

私の方を見ているから、私のことを注意しているのかと一瞬思った。

けど、すぐに後ろでみかん争いをしている2人のことだと気がついた。

一瞬、みかんをおしつけるいなりくんの手が止まる。

その隙を先輩は見逃さなかった。

すぐにみかんを奪い取ってテーブルの皿の上に置く。

そして、いなりくんの両手首を握る。

「あーもう!もうちょっとで成功できそうだったのに!」

「もうちょっとってなんだ!全く・・・。」

Dさんはいなりくんの手をおさえる。

「喉に詰まって死んでしまうぞ?」

「・・・大袈裟な。」

いなりくんはDさんの手を払いのける。

そして、おとなしく私の隣に座るとさっきのみかんを食べ始めるいなりくん。

「・・・美味しいの?それ。」

「美味しいよ。桜にもどーぞ!」

と、かごからみかんをとってくれるいなりくん。

それにしても、不思議だなぁ。

みかんが嫌いな理由がどうもわからない。

こんなに甘くて、美味しいのになあ。

一房、口に入れると柑橘のお香りが広がって、甘い味がする。

「・・・おいし。」

「でしょ!」

嬉しそうにいなりくんが言う。

「まあ、ね。」

「あら、みんな朝早いのね・・・。」

ノンビリとした声が二階から聞こえてきた。

「Fさん!おはようございます!」

「はい、おはよう。桜ちゃん、服変えたの?似合ってるわ〜。」

二階の手すりにもたれかかり、服を褒めてくれるFさん。

「ありがとうございます!」

そう言って、一礼。

うふふ、とFさんはわらう。

すると。


ガチャリ


今度は、一階からドアの開く音がした。

「睡眠が不足すると、健康に害が出ますよ。活動に支障が出ますよ?」

うっ・・・この声は!

「・・・Cさん。」

バタン、と激しくドアを閉めるCさん。

私は一日、マネキンたちと過ごしてわかったことがある。

BさんとCさんとは絶対に分かり合えない!

このCさん、ことあるごとにうんちくを話してくるんだよね。

トイレの菌がどうのこうの、お風呂のお湯の成分がどうのこうの、ハウスダストがどうのこうの・・・。

自慢げに話していたことだけは覚えてるけど、話していた内容は一切覚えていない。

夕食の時も、栄養成分についてずいぶん鼻高く話していた。

「あんたが寝坊しただけじゃ・・・。」

先輩は小さな声でそうつぶやいた。

しかし、その声は不運なことにCさんの耳に届いていた。

「こっちは事実に基づいて話しているんですよ?」

「だからなんだ?」

「あなたが言う、『Cが寝坊しただけ』と言う事実はどこからきているんですか?ええ?」

手を耳に添え、何度も聞き返すようなそぶりをするCさん。

その剣幕に、先輩は何も言い返せなくなってしまう。

「ほら、そうじゃないですか?」

「昨日、俺が言ったこと覚えてないのか?天下のCさま。」

皮肉のこもりまくった声が聞こえてくる。

安心が胸の中にどっと広がる。

「Hさん。」

先輩は珍しく、マネキンに『さん』をつけた。

同じ警察だから、と言うことだろう。

「事実や論文から見るのも大事だが、180°違う方向から見るのも大事なことだろ?」

その言葉に、今度はCさんが何も言い出せなくなる。

Cさんは不満げにどすん!と椅子に座る。

そしてその後すぐに、Bさんも席に着いた。

しかし、Gさんだけが待てど待てども来ない。

みんな、その遅さに気づき始める。

「Gは?」

「Gさんは?」

その声で、部屋がいっぱいに包まれる。

するお、急にHさんと先輩が同時に立ち上がった。

「・・・わかったかもしれない。」

「急ぎましょう、Hさん。」

二人がそう言って、顔を見合わせてGさんの部屋へ向かう。

私といなりくんもその背中を見て、着いていく。

しかし、Gさんの部屋は鍵がかかっていて開かない。

「くそっ・・・どうすりゃ・・・。」

「どいてください、Hさん。」

先輩は困りはてているHさんにどくように言う。

そして、Hさんは頷いて少し横へずる。

すると、先輩は右足でドアを蹴破った。

古いドアと言っても、かなり立派な頑丈なドアだ。

しかし、そのドアを最も簡単に先輩は蹴破った。

さすがだ・・・。

先輩は足を痛がる様子もない。

「はあー。大したもんだな。」

感心したように言うHさん。

先輩は、意外なところで幽霊警察らしき姿を見せる。

しかし、先輩は一向に中に入らない。

「・・・やっぱりですね、Hさん。」

先輩は少し避けて、Hさんに中の様子を見せる。

「んー?なんだ、見えない!」

Hさんは少し見た後、避けて私たちにも見せてくれた。

そこには、横たわるGさんがいた。

「Gさん!?」

「・・・目覚めの時が、来たんだね。」

いなりくんの目が、これから先の『不穏』を知らせるかのように光った・・・。




最近、投稿頻度が下がっています( ; ; )

でも、投稿をやめる気は0%なので安心してください・・・。


今回の回、どうでしたか?

今回の編は日常風景が多く描かれていますが、その分謎もありますよね・・・。

私のお気に入りのシーンは、先輩がドアを蹴破るところです!

先輩、かっこいいですよね・・・。


面白い、と思っていただけたらブクマ・感想・評価いくらでもください!

次話も読んでいただけたら本当に嬉しいです!

この回まで読んでくれている人!感謝すぎです!

読んでくれている人が、励みになっております!

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