美しくない、春夏秋冬。
アチカーニャとワタアメとの再戦。
うるるも、蓮華も力は届かずに手玉に乗せられる。
そんな中、唯一戦い方を学習されていない桜が動き出す・・・。
「やはり、亜冥獣だな。」
ウルフさんは座ったまま呟く。
「アチカーニャ、ウィンター。」
・・・冬!!
新しい攻撃だ、気をつけなきゃ!!
アチカーニャの体からポロリ、と人形が落ちる。
人形の耳から、たくさんのボールが出てくる。
そして、高く飛んでハラハラと落ちてくる。
そう、雪のように。
花吹雪のようにスピードは早くないから大丈夫!
かと思ったら、スピードを変えて飛んでくる。
方向もバラバラ。
・・・雪はもっと綺麗だよ!!
目の前にボールが飛んでくる、
・・・避けられない!!
でも、小さいし大丈夫・・・だよね?
「結界!」
目の前に魔法陣が浮いて、ボールから私を守ってくれる。
目の前で大爆発が起こる。
恐ろしくて、尻餅をついてしまった。
「佐倉さん!!」
魔法陣を浮かせたのは先輩だったみたいだ。
服装が幽霊警察の服装に変わっている。
「あ、ありがとうございます・・・・。」
「怪我はない?ぶつかったら大怪我だぞ、あれは。」
先輩は人形を睨む。
「・・・本当に、ありがとうございます。」
杖を握る先輩の姿を見ると、『ちゃんと幽霊警察してる』って言う気持ちになる。
「人形を片付ければ、どうにかなる、んだよな?」
前回と同じように、ライフルを連射するうるるさん。
いなりくんはというと・・・あれ、どこだ?
「じゃあ、あたしが狙うのは人形一択だな。」
うるるさんの目はしっかりと人形を見ている。
「俺は雪爆弾をどうにかする。・・・たくっウルフと時雨はうずくまったままかよ!」
「俺はうずくまったままじゃない!敵をしっかりと確認をして・・・。」
「言い訳やめろうざいな!」
先輩は結界を複数張りながら、うるるさんのサポートをする。
・・・今のうちに。
そそくさ、とその場を離れて時雨くんの方へ向かう。
「時雨くん!何やってんの?」
「いや・・・。怖いだけですよ?」
「神様、なのに?」
「・・・怖いんですよ。人間の時から。夜も、死ぬと言うことも。」
時雨くんは、一切怯まずに戦う先輩とうるるさんを見る。
「情けないんです。自分でも。神様になっても、戦えない。。所詮、僕なんてただの虫ケラ・・・。」
「そんなこと言わないで!」
気づいたら叫んでしまっていた。
悪いようにしか言わない、時雨くんに耐えきれなくなって。
感情を声に乗せて。
今、自分がどんな顔をしているのかすらわからない。
「情けなくなんて、ないよ。虫ケラじゃない!きっと、ダメな理由があるはずなんだよ!」
「・・・そうなんですか?」
「そうだよ!神様『だから』怖がってはいけないって言う法律なんてないよ?みんな、きっと怖いはずだよ!」
うるるさんはいつも死と隣り合わせ。
なのに、あんなに勇ましくいられる。
きっと、時雨くんにはないものがあるんだと思う。
時雨くんはなんとか自分のことを悪く言うのをやめた。
「ありがとう、ございます。」
「ううん、いいの。・・・でも。」
先輩とうるるさんで戦っているけど、だんだん吹雪がウルフさんを襲うようになってきた。
人形を切ろうとしても、ウルフさんを放っておくわけにはいかない。
人形へ距離が詰められていない。
人形に近づいたら近づいたら、きっと吹雪は方向を変える。
「お兄ちゃんは、どこにいるんでしょうか・・・。」
「わからない!いなりくんには、いなりくんの考えがあるはず!」
すると、いなりくんが現れた。
その目は黄金に光っている。
「狐!どこに行っていた!人形をどうにかしてくれ!」
先輩が霊力の弾を人形に向かって撃つけど、全て吹雪に防がれてしまう。
ワタアメとアチカーニャはすぐ近く、数メートルだけなのに!
その数メートルが届かない。
・・・悔しいな。
いまだに戦えていない自分が、悔しい。
時雨くんとおんなじ状況になってる。
そう感じる。
「蓮華は・・・ウルフを守って。」
「・・・わかった。」
本気の目をしたいなりくんの指示に従う先輩。
すると、
「アチカーニャ。スプリング・オータム。」
アチカーニャの体から2つ、人形が落ちる。
「・・・複数!?」
うるるさんは慌てて飛び退く。
花びらと吹雪がウルフさんに向かう。
「ウルフっどけ!」
先輩は結界を展開できなかった。
身を挺して守る。
ドカァァァァァァン
爆発音がなり、先輩の体がブロック塀に打ち付けられる。
「蓮華!!」
うるるさんは振り返る。
その隙に、ウルフさんに花びらが向かう。
うるるさんは人形を狙うのをやめて、花びらと吹雪を正確に打つ。
スピードの変わる雪と、威力の高い花びら。
・・・あれ、『秋』は?
「桜っ」
うるるさんの声に前を向くと目の前に火球。
「・・・・っ!」
慌てて避ける。
火球は地面に落ちると、少しだけ激しく燃えてすぐに消えた。
・・・あれに当たったら丸焦げだ!!
「秋に気をつけて!!」
うるるさんは全員に聞こえるように言う。
私は、先輩のそばに行く。
「先輩!」
「大丈夫だ。ちょっと・・・体が痛いだけだ。」
その体をゆっくりと持ち上げる先輩。
ブロック塀には血の跡がある。
「・・・先輩、無理しないでください。」
「これは幽霊警察の義務。無理だからと言ってやめることはできない。」
だめ、だよ。
そんな無理したら、消えちゃう。
人形さえ、消せればアチカーニャまで届く、はずなのにっ!
人形を狙ったらボールで防がれる。
・・・攻撃と守りを両立。
これが、亜冥獣の強み・・・。
「厳しいな・・・。弾が切れた。」
うるるさんがライフルを抱えて逃げる。
すると、火球がうるるさんに向かって猛スピードで飛んできた。
・・・戦えない人を狙っている。
なんとせこいやり方。
力が強い時雨くんを狙った攻撃は一つもない。
なのに、ウルフさんを狙ったり弾ぎれを起こしたうるるさんを狙ったり。
・・・悪!
というか・・・うるるさん、火球に気づいていない!!
なんで!?
そして、火球が向かっているのは頭でも心臓でもない、手首!!
そう、あのブレスレットを狙っている!
「うるる!」
いなりくんがすっ飛んできて、身を挺してうるるさんを守る。
尻尾の先が焼け、消える。
「狐・・・!?」
「うるる・・・。火球、きてたよ。」
苦しそうに顔を歪めるいなりくん。
・・・先輩も、いなりくんも無茶ばっかり。
「・・・狐。」
うるるさんは、いなりくんの手を握る。
「さんきゅ、な。」
フッと微笑むと、うるるさんは一瞬で球を変える。
そして、すごいスピードで吹雪と花びら、火球を避けて人形へ向かう。
・・・早い!
「うるる、最初っからやっとけ!!」
そう言いながらも安堵の表情を浮かべる先輩。
「・・・本気だよ、あれがうるるの。」
木の影へ移動するウルフさん。
「本気って・・・?」
私が言うと、
「動体視力、瞬発力。うるるの一番の強みはそこ。やりすぎると、数日は動けなくなる。」
ウルフさんがそう答える。
バン、バン
うるるさんはライフルで一体、二体、三体と人形の頭を打つ。
そして、無防備となったアチカーニャを狙うも、やっぱり避けられてしまう。
・・・なんで!?
あの速さのライフルを避けれるなんて。
あの距離だったら、音が聞こえた時にはもう・・・体に当たっているはず。
だとすると、音が聞こえるより早く弾の軌道を感知している。
・・・人間技じゃない!!
きっと、うるるさんの技は完全に学習している。
前回戦うより前に、うるるさんはきっと戦ったことがあったんだ!
うるるさんは続けてワタアメを狙う。
でも、その黒い覆面に弾かれてしまう。
そして、
「ホイ。」
ワタアメが、ボールを投げた。
それは、『サマー』のボール!!
ヒューーーー
不気味な音を立てて、うるるさんに迫るボール。
うるるさんは、避ける・・・けど、それよりも早くボールが同じ方向に避けた。
「!?」
ドカアアン
うるるさんは受け身を取るけど・・・・怪我を負っている。
・・・私、見てるだけだ。
「いなりくん!!」
「何!桜!」
「私にできること・・・教えて!」
すると、いなりくんは剣でウルフさんを指差す。
「こいつに聞いて!」
移動しながら、横目でアチカーニャを見ると、またオータムを展開させている。
体についた人形はまだまだたくさんある。
「ウルフさん!」
「できること。それは、あいつらを狙って撃つこと。それだけ。」
「・・・え?」
「あいつらが戦い方を学習できていないのは桜だけ。」
ウルフさんは火球を飛ばす人形を見る。
「うるるか蓮華。どっちかに人形を始末してもらえ。そしてら、すかさず攻撃。」
ウルフさんは、狙う角度などを指示して、勝ちを確信したかのような笑顔を見せる。
・・・でも、できるかな?
もし外したら。もし学習されてしまったら。
「せ、先輩!」
「何?」
「人形を・・・始末してください。」
先輩は結界を作りながら言った。
「できるかどうかはわからないが・・・。うるるに言ってやってもらう。」
そういうと、先輩はうるるさんの方へ向かう。
そして、こちらを振り向くと軽く頷いた。
OK
と言うことだと思う。
「お願いしますっ」
私は銃を構え直す。
「うるるっ!」
「あいよ!」
先輩は、これまでになく大きい結界を作る。
火球は一気に防がれる。
いなりくんは、相変わらずいろんな方向からワタアメを見ている。
・・・ワタアメといなりくん、絶対に何かある。
教えてくれればいいものだけど。
そして、結界が綻ぶ前にうるるさんが人形を破壊する。
火球が出なくなったら、掴んでアチカーニャに投げつけた。
・・・学習していない戦い方。
アチカーニャに人形があたり、アチカーニャは唸り声を上げる。
「桜!」
「はい!」
部活では比べ物にならないほどの緊張感、そしてプレッシャー。
・・・できる!きっと!
ウルフさんの言った通り、ちゃんと狙って・・・撃つ!
銃から、弾が飛び出る。
銃口からは薄く煙が出ている。
うるるさんと先輩も、ここぞとばかりにライフルを乱射したり、霊力弾を複数個弾いたりしている。
「キュウンっっ」
私の弾は、アチカーニャの目に直撃。
それに怯んだ隙に、霊力弾とライフル弾がアチカーニャに当たる。
「・・・アチカーニャ。」
ワタアメの表情が歪む。
アチカーニャはボールへと戻る。
・・・勝った?
でも。
うっすらとしかは見えなかったけどアチカーニャは怪我を負っただけで、倒せてはない。
・・・終わっていない。
「マツリ。正体を出しな?」
「狐!?いつの間に・・・。」
気づくと、いなりくんはワタアメの真横まで移動していた。
その剣は、モニターを真っ二つにした。
銃弾をも防いだ黒い布は、薄い紙のように粉々になった。
・・・いなりくんは、きっとこの時を待っていたんだ。
震えていたあの『手』を思い出す。
・・・怖かったのかな。
その布の下から現れたのは、少し変わった服を着た女の子。
チャイナ服?に似ている気がする。
「あら、バレちゃったのか。」
声の加工が外れ、普通の声になる。
『マツリ』と呼ばれた女の子は、いなりくんを突き飛ばすとゆっくりと後ろへ下がる。
戦っていた、裏世界の大通りから移動して暗い、路地裏へと入る。
「マツリ・・・・。そういえば、討伐依頼をしてきたやつ・・・。」
そうか。それで、アチカーニャはすでに戦い方を学習していたんだ。
うるるさんは悔しそうに、地団駄を踏む。
いなりくんは、怒っている。
いつも、しない顔をしている。
・・・怒っている。
「マツリ。どこでその力を?」
いつもよりも迫力の増した声で尋ねる。
マツリは怯える様子を見せない。
オッドアイの目に吸い込まれそうになる。
・・・人形に似ている。
「禍麟にもらったんだよ!お前のせいだ!」
そう言うと、路地裏へと駆け込んでいった。
「禍麟・・・。」
俯いて、ぼそりと言ういなりくん。
「狐、マツリとは何者だ?知り合いか?」
怪訝な目をする先輩。
ウルフさんは無言でスマホをいじっている。
「あたしに、昔依頼をしてきた。だから、ライフルを避けたんだ。」
うるるさんも、先輩の横へ立つ。
「何があったかは、古民家で聞く。戻ろう。」
いなりくんは、無言でコクリ、と先輩の言葉に頷いて剣を地面へ突き刺す。
いつもは、ヘラヘラとしているいなりくん。
なのに、今は・・・完全に怒っている。
毎日投稿17日目!!
読んでくれている人に感謝すぎます・・・!
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございます!!
面白い、続きが気になる!
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次話でこの章は終わりの予定です・・・!
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