冥神様は弟でした!?
時雨です!
いなりの“弟”が登場。しかも正体は・・・冥神。
そして、ワタアメとの再戦が始まる。
〜これは、うるると桜がお寿司もぐもぐたいむ中のことである〜
_____________________________________________________「うーーん、うーーん、どうしよう・・・。」
いなりは稲荷神社の縁側に座り、腕を組んで悩んでいた。
弟を呼ぼうか、呼ぶまいか・・・。
すると、蓮華がやってきた。
「狐っみつけたっ」
蓮華はいなりを指差す。
「蓮華〜。さっきぶりだね。」
「お前のことだから、変なとこ行ってるのかと思って山に行っていたが・・。灯台下暗しだな。」
「いや、俺も山いたよ?」
「入れ違いかよっ」
蓮華は悔しそうに言う。
「で?何を悩んでいたんだ?」
「あ、聞こえてた?」
「声だいぶデカかったぞ。」
いなりは耳をぴょこぴょこと動かす。
「いや、俺弟がいるんだけどさ・・・。」
「生きているのか?ジジイだな。」
「残念☆もうこっち側の人間でーす!」
いなりはそう言って、ベー!
とベロを出す。
「汚い。しまえ。」
「ひっど!!傷つくわーー。」
その割には傷ついていなさそうないなり。
「で?弟をわざわざ冥界から呼ぶつもりか。罪だぞ?罪。」
「これる人間なんですよ。あ、幽霊か。」
どうでもいいことを修正したな。
と、蓮華は思った。
「お前の弟は神か何かなのか?」
「そうですよっ」
冗談だ、と蓮華は思っていた。
「ワタアメのことだし・・・。よし、呼ぶことにした!」
いなりはすっくと立ち上がる。
「死を司る者よ、深淵より来たれ!冥神、この世界に降りたてよ!」
蓮華は唾を飲み込んだ。
地面に『霊』と、印が書き込まれて風が吹く。
威圧的で、偉大な雰囲気がその場を取り巻く。
「いなり・・・冥神だぞ!?軽々しく呼んでいいのか!?首飛ばされるぞ!」
ここで、蓮華は一つの可能性を思いつく。
それは、
『いなりの弟が冥神』
いや、そんなわけ・・・
「死を呼び、与えられし者。汝が霊と死の力を持つものか・・・・って、お兄ちゃん?!」
「いや本当なのかよ!?」
煙のような、黒い『空気』を纏って現れた、いなりにそっくりの男の子・・・『冥神』は、蓮華の方をゆっくりと振り向いた。
「失礼いたしました。死の世界を司る、あなた様がなぜこんなところに・・・。」
「蓮華、敬語気持ち悪い。これ、俺の弟だから気にしないでいいよ〜。」
「ってことは、いなりの弟なのか!?本当に!?」
「はい!弟です!こんちわ!」
稲荷より少し背の高いそのこは、笑顔で挨拶をした。
「本来なら、『冥神様』の方がいいけど・・・。時雨、俺だから『時雨』でもいいよね?」
「もちろん!お兄ちゃんの友達も言っていいよ!」
「・・・時雨?」
「僕の名前は、時雨です!敬語は苦手なんで使わなくていいですよ!」
いなりの雰囲気にちょっと似ている。
屈託のない笑顔。人懐っこいところ。
その代わりに、『神』の名に相応しい霊力が感じられる。
蓮華は思わず、数歩後退りをした。
「時雨・・・さま?」
「さまもつけなくていいの!時雨って言って!」
「・・・時雨。」
「おっけおっけ!」
いなりも笑顔になる。
「双子、なのか?」
「いや、普通に俺が年上。」
「・・・背の高さが違うくないか?だいぶ。」
時雨の方が、少し背が高い。
そして、雰囲気も『年上』だ。
「・・・俺の方が先に死んだからね。」
「・・・すまない。」
「いいのいいの!」
いなりは声が小さくなった・・・かと思ったらすぐに、声が大きくなった。
「僕もまあまあ、早死にでしたからね・・。」
「・・・何歳だ?」
「1・・・」
時雨が『じゅう』と言ったところで、いなりが口を塞いだ。
「・・・ぷはぁっどしたの?お兄ちゃん。」
「俺の過去は・・・知らせるな。」
時雨は、目をぱちくりとする。
そして、何かを察したかのように
「わかった。」
と言った。
「なんで時雨の享年ですら知らせない?」
「バレちゃうじゃん。俺の大体の年齢が。」
いなりの目が、秘密を背負っているという色になっていく。
「・・・わかった。」
蓮華はしぶしぶ折れ、年齢を探り出すのを諦めた。
「抜かりないな。」
「抜かりなんてありませーーん♪」
いなりは尻尾の先をいじる。
「ちょっなんでっ」
声の方を見ると、ウルフが居た。
「ウルフぅ。なんでそこに?」
「霊力を感じたからだ・・・。」
「引きこもりじゃなかったんだな。」
「人聞きの悪い。インドアと言ってくれ。」
「これも、お兄ちゃんの友達?」
「そう。ウルフって言ってね、ハッカーなんだ。」
いなりは軽く、ウルフについての説明をする。
蓮華はウルフにここに冥神がいる訳を説明する。
そして、どちらともの説明が終わった頃。
「え!?いなりくんが二人!?」
「兄弟いたのかやっぱお前・・・。」
と、うるる・桜が到着したのだった。
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うるるさんと神社へ戻ってくるとびっくり!
いなりくんが二人いるように見えた。
でも、すぐに気づいた。
いなりくんよりちょっと背が高い。
・・・お兄ちゃん!?
でも、その背の高い子はいなりくんに向かって
『お兄ちゃん』
って言ってるから弟??
・・・ややこしっ
隣でうるるさんが
『兄弟いたのかやっぱお前・・・。』
って言ってるし。
みんな理解できててずるいよーーーー!
そういえば、帰ってくる時うるるさんが
『いなりって兄弟いたっけ』
みたいなこと言ってた。
なんでそんなこと言ったんだろ?
預言者!?
で、話を聞いてみるといなりくんの弟らしい。
で、神様。
なんだ、神様ね〜。
・・・神様!?
しかも、冥界の全てを司る神様らしい。
・・・確かに。
近くに立っているだけで、骨が折れちゃいそう。
近くにいる先輩や、いなりくんは簡単に表して『化け物』。」
背の高さが違う理由は、いなりくんの方が先に死んじゃったから。
・・・なんで死んじゃったんだろう。
謎がほぐれていっているような、増えていっているような。
うるるさんは、もういなりくんに兄弟がいるから冷静にしていた・・・なんてことはなかった。
大いに騒いだ。
私に聞いた理由は、いなりくんに似た子を見たらしいから。
多分、ここにくる途中だったんだろうと思う。
「なんで、いなりくんの弟がここに・・・?」
「桜、時雨でいいよ!でさ。ワタアメとアチカーニャの行き先気にならない?」
気になる気になる、と頷く。
「そうか。そういうことか。」
「単純なことだな。蓮華。」
蓮華先輩とウルフさんは、いなりくんが説明する前に理解したみたいだ。
さっすが天才肌!
「で、アチカーニャが亜冥獣なら。霊力の跡がついているはず。」
「あーね!普通の冥獣だったら跡は残らないけど、改造された亜冥獣なら少しでも確実に残る!」
うるるさんが言う。
・・・やっと理解できた。
そして、いなりくんは時雨くんの方を見る。
「僕が追跡すればいいんだね。」
時雨くんは、服の端っこについた人魂の形をしたチャームを取る。
顔はまんまいなりくんの時雨くん。
でも、服装とかは全然違う。
耳も、尻尾もない。黒基調の服。
そして、彼を取り巻く霊力。
・・・神様って、恐ろしいいい!!
人魂型のチャームは、すぐに本物の人魂になった。
明るく光っている。
そして、人魂は少し移動して、登山道の入り口まできた。
「・・・山に登るのか?」
珍しく外へ出ているウルフさんがその上り坂を見上げた。
すると、人魂は地面スレスレまで移動した。
そこには、水色の『霊力の跡』がてんてんとついていた。
山を登る形で、ずっと、ずっと。
いなりくんと時雨くんは人魂を追いかけて山を登り始める。
私とうるるさんと先輩も登ろうとする。
すると、
「ねえ。俺も登らなきゃダメ?」
「いいと言う答えはないぞ。来い。」
「俺引きこもりだから!!登山とかキツイ!」
「インドアならいけるだろ。」
と、先輩はウルフさんのパーカーを引っ掴む。
「引っ張ってやるから来い。」
と、蓮華先輩が引っ張る形でウルフさんは登ることになった。
「・・・大袈裟だな。登れるはずなのに。」
と、うるるさん。
「まぁ、いいじゃないですか。たまには。」
先輩とウルフさん。こう見えて、二人は仲良しだ。
そしてしばらく登ると、先頭の二人が止まっているのが見えた。
急になんと、霊力の跡が消えていたのだ。
「消えてるなら追跡は終わりだよね!ね!?」
と、帰りたそうなウルフさんが悲痛な叫びをあげる。
「あれ、消えちゃったねぇ。」
いなりくんは瞬きをする。
「多分・・。」
時雨くんは、ネックレスについた鈴を鳴らした。
すると、一気に裏世界へとついた。
さすが冥神。
誰かさんみたいにわざわざ剣を突き刺さなくってもいいんだ〜。
「跡が、続いているみたいだな。」
蓮華先輩が淡々という。
その横で、絶望するウルフさん。
うるるさんはそれを見て笑いを必死に堪えようとしてしているけど・・・堪えられていない。
裏世界の山を下り、あっちこっちに曲がるとまた跡が消えた。
また、人間界へ戻ると跡が続いていた。
「ふぅん。ワタアメは予想済みだったんだ。俺たちが追跡すること。」
「だって、亜冥獣を作れるほど頭がキレるやつなんでしょ?予想していないわけがないよ。」
時雨くんはなんだか悔しそうだ。
そして、追跡しては移動。追跡しては移動。
を、何回繰り返したかわからなくなった頃。
私たちは裏世界にいた。
ウルフさんは限界を迎えて、先輩におぶわれている。
・・・これを先輩ファンクラブが見たら、大発狂だろうな。
「ねぇ・・・めんどくさい・・・。」
まだまだ体力の余っていそうないなりくんが言った。
いや、まだいけるでしょ・・・と思ったら。
「僕もめんどいし、螺旋呼んじゃうか。」
『螺旋』を呼ぶ、と時雨くん。
そして、鈴を三回今度は鳴らした。
すると、目の前に大きな渦が現れた。
その渦は、空気を歪ませて。
「ワタアメとアチカーニャ。」
時雨くんの声に、
『わかった』
と答えるかのように、その渦は消えていった。
と思うと、またすぐに戻ってきて何かを渦の中央から吐き出した。
・・・そうだ、ワタアメだ。
私は慌てて下がる。
先輩とうるるさんも下がり、先輩はウルフさんをそっと地面へ置く。
いなりくんは時雨くんの手を引いて、建物の影へ。
「アイタタタ・・・。ココハウラセカイ、デスカ?」
ワタアメはモニターの目をぱちぱち、と動かす。
「アラララ・・・。ミナサンイラッシャルノニ、アイテヲシテクレナイノデスカ?」
ワタアメはモニターの目で私たちを見つめる。
「戦うわけもないんじゃないか?冥神がいるんだし。」
と、へたっているウルフさん。
「いや、そういうわけじゃないと思う。」
蓮華先輩は、いなりくんと時雨くんの方を指差す。
すると、
「っヤダヤダやだ!?え!?あれこわっ!あんなのにお兄ちゃんやられたの!?え!?近づくだけでも無理無理」
と、ビビり散らかしている。
「冥神じゃないのかよ・・・。強者には致命的な弱いものがついてくるんだな。」
と、うるるさん。
・・・ビビってる。
「え〜〜。俺動けない・・・。」
と、ウルフさん。
建物の影からいなりくんがゆっくりと出てくる。
「タテモノノカゲニヒトリイマスネ。デモ、ツヨソウナノデデテコナクテセイカイデス。」
と、ワタアメ。
強さまでバレてる・・・・!
「アチカーニャ、アバレロ。」
ワタアメは、あのボールを取り出す。
・・・バトルが始まる!
できるだけ、怪我を負いたくないしさせたくない!
めちゃくちゃ無茶な祈りだ!
いなりくん、前回あんなに吹っ飛ばされちゃったのに・・・。
あの時の恐怖が再び襲ってくる。
すると、いなりくんが口を開く。
「マツリ。」
モニターはさっきまで微笑んんでいた。
なのに、口角が下がって目が笑わなくなる。
「マツリなんだろ?俺に恨みを持ってんだろ?」
「マツリ・・・なんだそれ。うるる、知ってるか?」
「知らないよ、蓮華。ウルフなら調べればわかるかもだけど、あれだからな・・・。」
と、うるるさんはウルフさんを横目でチラリ。
ワタアメは何も言わない。
まもなく、ボールが破裂しそうだ。
破裂音は苦手だけど、塞げばそこを・・・襲われるっ!
バン!!
「オオオオオ!!」
アチカーニャが現れて、咆哮をあげる。
・・・始まった。だけど今度こそは、
「・・・勝つ。」
小さく、私はそう呟いた。
いなりくんを傷つけて。罪ない動物を汚した、ワタアメを私は絶対に、許さない!!
毎日投稿15日目!
評価がつきました・・・泣
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ここまで呼んでくれてありがとうございます!




