ウルフさんの秘密。いなりくんの謎。
いなりって・・・弟いたっけ?
「ウルフの秘密について、話しちゃおっか。」
「・・・・はい。」
聞いていいのかわからないけれど・・・。
やっぱり知りたい。
みんな秘密ばっかりで、人の秘密を知らないのが自分だけって・・・なんか嫌だ!
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今から5年前。
高校に入学することになったんだよね。
でさ、高校が結構遠くて。電車とか飛行機使わないと行けないレベル。
だから、あたしは寮に泊まることになったんだよね。
今まで過ごした家を離れて。
「行ってきます!おじさん!おばさん!」
「朱音!気をつけろよ〜。勉強もしっかり、スマホも使いすぎんなよ。」
おじさんおばさん、すっごい厳しい人でね。
でも、やりたいことはなんでもさせてくれたなー。
ゲームとかじゃなくって、運動系。
ほぼ全部の競技できる。
野球でしょ、卓球サッカーバドミントンテニスバスケ・・・。
まぁ、苦手なのもあるけどね。
「わかったよ、おじさん!」
で、私は水色のスーツケースを引いて、リュック背負って。
ショルダーバッグにはスマホとか、財布とかが入ってる。
・・・なんだかんだドキドキするな。
結構緊張しててね。
そしたらさ、深くパーカーかぶって黒のスーツケース引いて歩いてる子がいたの。
同い年ぐらいで、
『もしかしたら同じ高校!?』
って思って話しかけたのね。
そしたら、
「俺のことが見えんの?」
って聞いてきたのね。
あ、もうわかった?それがウルフ。
でも、なんか目がキョロキョロ?っていうかなんか変な感じがしてね。
「見えるってどういうこと?高校入学怖いけどさ〜。まあ、緊張するなよ〜。」
って言ったのね。
そしたら、
「じゃなくってさぁ!」
って言われて。
「なになに。落ち着け落ち着け〜。」
って言ったらさ、そいつ幽霊だったの。
さっきから人がやけにジロジロみてくるな〜って思って。
で、人目につかないところに移動して詳しいことを聞いたの。
そしたら、
・・・記憶喪失、なんだって。
自分が得意なこと、とか好きなもの、とか地名とか。
そういうのは覚えているらしいけど過去とか人の名前とかは思い出せないらしい。
驚いた表情してるね〜。
あたしも超びっくりしてさ、とりあえず高校の寮まで一緒に新幹線乗って行ったの。
・・・ウルフは無賃乗車。幽霊から代金を取る駅なんて聞いたことないし。
まいっかな〜。なんて。
で、手伝おう!
と思ったんだけど正直幽霊の助け方なんて、義務教育になってないからさ。
そりゃそうだけど。
でも、義務教育ないのに仲良くできたんだ!
と思ってたら、なんか助けることだってできるような気がして。
「ねぇ。」
「・・・何?」
「名前は?」
「だから覚えてないって。」
「え〜〜。じゃあ、ペンネームとかは?」
「ペンネーム?」
「そそ!ゲームのユーザー名とか。」
「・・・それなら、ある。」
「何??」
「ウルフ。」
「いーじゃん!!」
「・・・お前は?」
「朱音。」
「朱音じゃなくってさ・・・。ペンネームは?」
「あ・・・。」
「ないのかよ。」
「いやあるんだけどさ、だいぶ変な名前で・・・。呼ばれるの恥ずいかなって、」
「俺幽霊だし。聞こえねーし。いいだろ別に。」
「なら・・・。うるるっていうんだけどさ。」
って言ったらさ、大爆笑し始めて。
叫びたくなったけど不審者になりそうだからさ。
「いやー悪い悪い。お前、うるるっていうんだな!」
「そうだよ?何が悪い?」
「どこからきたのかわかんねーから!」
「ウルフだってわかんないよ!」
って言ったら横に座っている人がこっち向いてさ。
・・・大きい声出しすぎた〜。ってね。
「じゃ、俺うるるって呼ぶ。」
「わかったよウルフ・・・。」
ウルフがいつも強気なのは、
『自分を失わない』
ため。
強気ぐらいになっていないと、すぐ弱気になるからあんな感じなの。
そんな感じで、電車の中はずっと話してたかな。
冥界のこととか、ハッカーのこととか。めっちゃ教えてもらえて。
そのあと、
寮に着いたけど、共同生活はなんかやだね・・・。
みたいになって、おばさんの昔住んでた家を貸してもらうことになったの。
そこが、汐見村のあそこってわけ。
なんで霊力があったのかはあたしにもわからない。
でも、その霊力もちっちゃすぎてね。
ウルフの物に触れたりすることができなかったの。
だから、霊と干渉できるようになる道具を持ってんの。
それはウルフが作ったんだけど、レシピがわかんないからハッキングして。
それでやっと、あたしはウルフがハッカーということを信じたんだよね。
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「・・・そうだったん、ですか。」
「驚いてる顔してるねー。あたしも出会った時はほんとびっくりした。」
うるるさんは昔を懐かしんでいるみたい。
・・・記憶喪失。
「うるるさんは、なんで殺し屋に?」
「ウルフにお勧めしてもらったんだっけ。当時は抵抗もあったけれど。でも、『罪のない人』をターゲットには絶対にしない。それは自分で決めている。ターゲットにする人のことは、ウルフに隅から隅まで調べてもらってる。もちろん、依頼者も。」
うるるさんは、
『殺し屋が言うのもなんだけどさぁ。」
と付け加える。
「じゃあ、悪い人を?」
「うん。一見いいひとでも、お年寄りを騙していたり。産地を偽装していたり。そのせいで、死んじゃったり鬱になる人もいる。」
・・・正義の味方なのか、悪い悪なのか。
『殺し屋』という概念がひっくり返りそうになる。
うるるさんみたいに、悪いことをした人 だけをターゲットにする殺し屋は絶対に少ないと思う。
だけど、
『いい殺し屋』
と思うのはなんだか引け目を感じる。
・・・人を傷つけているわけだしね。
「なんだかややこしいですね・・・。」
「な。寿司まだかな〜〜。」
確か、さっき89番だった気がする。
今は11時34分。
・・・12時ジャストを狙いたい!
「うるるさんって・・・ご両親は?」
今思い出した。
さっきの話の中には、
『おじさん』『おばさん』そして、『ウルフさん』しか出てきていない。
・・・予想はついている。
聞かなければよかった・・・。と、後悔する自分がいる。
「・・・雪崩に巻き込まれた。それだけ言っておく。」
うるるさんの目がうるうるしているように見える。
・・・本当に、聞かなければよかった。
最悪なことしちゃったな。
そう思ってしまう。
「・・・ごめん。」
「桜が謝ることなんてないよ。過去は変えられない。でも、『今すること』で未来は変えられる。」
うるるさんはゆっくりと顔をあげる。
「最悪な未来にならないように、努力をすれば『最悪』は避けられる。あたしはそう、信じている。」
そして、うるるさんが右手を動かした時、
しゃら
と音がした。
「・・・なんの音ですか?」
「これ。これが、あたしが霊と干渉できている理由。」
手首には、ブレスレットがついていた。
どこにでも売っていそうな、普通の。
貝殻のチャームが3つついている。
特徴、と言えばそれぐらいだ。
でも、うっすらと霊力がかかって見える。
・・・・そっか。それで、いなりくんとウルフさんと干渉し合えているんだ。
「ありがとう、ございます。」
「いいのいいの。いつか、知っておかなきゃダメな時が来るかもだし。」
「今、教えてくれたことで、未来が変わるんですかね・・・。」
ちょっぴり、複雑な気持ち。
ウルフさんのあたりが強い理由。
それは、
『自分を守るため』
だったんだ。
時計のはりは11時55分を回った。
そこで、
「98番でお待ちの2名さま〜。」
という、店員さんの声が聞こえてきた。
店員さんは、右側の席に向けて声をかけている。
・・・私たちは左側なんだけどね。
右側の席も空いてきたが、まだ何人か人がいる。
「寿司、食べようぜ!」
「ご馳走になります!」
・・・ちょっと、仲良くなれたかな。
今度二人きりになったら、私から話しかけよ。
そう思った。
それからは、食べて食べて食べて。
予算を時々確認しながら、
『まだいけるっ』
で二人で合わせて30皿食べた。
もう満腹だ。
でも、うるるさんは
『足りねーなー。』
と言って不満そう。
・・・胃袋が無限だこの人。
野球とか、バレーとか。
スポーツやってる人って、胃袋がすごい。
うるるさんはさっきなんか恐ろしいこと言ってたな・・・。
ほぼ全部の競技できる。
野球でしょ、卓球サッカーバドミントンテニスバスケ・・・。
だっけ・・・?
そりゃ足りないはずだわ!!
そして、うるるさんが会計を済ませて外に出てくる。
ちょっと路地裏にあるお店だから、大通りに出てくるまで5分くらいある。
「美味しかったですねー。食べちゃって、いいんですか?」
「いいのいいの。ペアチケだったし。こちとら食べ行く相手いねーの!って感じ。」
うるるさんはぴょんぴょん飛び跳ねる。
写真とは違う、長いツインテールがぴょこぴょこと飛び跳ねる。
「美咲さんは?」
「あいつ、弟がいるから。弟と行くだろーなって。」
・・・椿とは行ってやるもんか!
と、大学に入ってもいないのにそう感じた。
美味しかった、とか。
冥界、とか。
亜冥獣、とか。
いろんな話をしていたら、大通りまであと少しとなった。
ふとそこで、隣にうるるさんがいないのに気づく。
振り返ると、うるるさんは止まったまま右のすっごい路地裏に入っていく道を見ていた。
いや、道と言えるのか?
パイプが入り組み、ゴミだらけ。
そんな『道』というより、『通れそうな場所』をうるるさんは見ていた。
「・・・うるるさん?どうしましたか?」
「なぁ、桜。」
うるるさんはこっちへ小走りでかけてくる。
「いなりって・・・弟いたっけ?」
「知る限りはいませんよ?」
なんの変哲もない会話なのに、不気味、だと感じたのは私だけ・・?
冷たい風が路地裏から吹いた気がした。
毎日投稿14日目!
な、な、なんと、二週間!
これからも投稿頑張っていきます・・・!
この時間帯投稿は初めて・・・!
のびろーーーーーーーー
ここまで読んでくれてありがとうございます!
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また次話もお読みください!
感謝感謝!




