表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グレーなクローン  作者: 愚者B
第1章 「生まれた日」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/4

第2話 退院の日


 蒼一は分娩室を後にした。

 幸せオーラ全快で娘を抱っこした感覚を必死に思い出していた。


「取り合えず皆に連絡しないと……。」


 携帯を取り出し、お互いの両親のグループチャットに開いた。

 

「蒼一さん、おめでとうございます!ですが、携帯受付に出てからにしてもらってもいいですか……。」

 出産に立ち会ってもらった看護師さんに後ろから声を掛けられた。


 急に後ろから声を掛けられて、蒼一は思わず飛び跳ねた。

「わっ!」


 びっくりしすぎて携帯を放り投げてしまった。

 

「やべ……。」

 蒼一は携帯を見て固まった。


(画面が地面側だ……。流石に割れてたら縁起悪いぞ。)

「蒼一さん、どうぞ……。画面割れてなくてよかったです。」


 看護師さんが拾って渡してくれた。

 言ってくれた通り、画面が割れてなかった。


(よかったぁ。)

 蒼一は胸を撫でおろした。


「ちゃんと受付まで我慢して下さいね?」

 蒼一は頷いてそのまま受付へ向かった。


 受付に行き急いでグループチャットを開いた。

『無事生まれました!』


『受付で出生届忘れずにね!』

 母親からすぐ返事が来た。


(やべっ、忘れるところだった。)


「あの、先ほど生まれたばかりなんですけど、出生届ってすぐ作れますか?」


「30分ぐらいかかりますけどどうしますか?」


「待ちます。」


 メッセージを打とうとして開くと、お祝いのメッセージが何個も入っていた。

『皆さんありがとうございます。』

『出生届は、30分ぐらい待ったら今日もらえるみたいです!』


 そこからはあっという間だった。

 出生届を受け取り、家に帰った。


(今日早く寝て、明日出社して明後日から育休とるぞー!)


 翌日になり、元気よく出社した。

「部長おはようございます。昨日無事、子供生まれました!」


「親子共に大事ないですか?もう帰ります?」


 部長は女性と言うこともあり、育休は積極的に取れと言われていた。


「今日で引継ぎ資料まとめるので明日から1週間いただけますか?」


「分かったわ、引継ぎ終わったら早退してもいいから。あと、分からないことがあれば知識あるから連絡してきて!」


(部長が、ウインクしてくれた。珍しい!)


「ありがとうございます。」


 そしてその日はバタバタと引継ぎをした。

 引継ぎは部長に渡せば勝手に分配してくれるらしい。窓口が部長だけになり、どうしようもなければメールで確認してくれるらしい。


「すみません、少し早いですがお先に失礼します。」

 

(女性部長……最高!)

 早上がりし、ルンルンで帰り道商店街に寄った。


(へぇ、こんなところにペットショップあるんだ。いつも帰りには閉まっていたのか気付かなかったな。)

 夫婦2人共猫好きと言うこともあり、寄ってみた。

 

 ◆◇


「いらっしゃいませ。」


 手前の犬ゾーンを無視して猫のところで止まった。

(娘と一緒に成長出来るのいいな……、テレビとかで生まれた時から一緒でしたみたいな?)


「猫ちゃんですか?気になった子がいれば言って下さい。」

「あのっ、一番元気な子を!」


 まさかの即答に店員さんもびっくりしていた。そして猫のケースの前で少し悩み、1匹取り出した。

(黒色の子猫だ。)

 

「この子、少し珍しい目の色で……。」

(目の色は薄い茶色だ。なんか吸い込まれそうなくらい透き通った色だな。)

 

 うっとり黒猫を永遠に感じるくらい眺めていた。

「この子、買います!」


 蒼一の感じた時間は、店員からすればたったの数秒だった。

 そう。即決だ!


 店員さんは更に驚いたが、蒼一の目が真剣だったのでそのまま契約の話になった。


 そこから退院までバタバタとしていた。

 両親と子供用品の買い出しは住んでいたので迎え入れる準備だったり、役所に出生届やいろいろの申請。


 ベビーベッドの準備に苦労していた。

(やばい、スペースが足らない。模様替えだ……汗)


 と、予想外の展開になれない家事。ご飯はコンビニ弁当やカップ麺、チェーン店の持ち帰りや外食。


 面会時間は可能な限り行った。

(なんで1日30分なんだよ。)


 たまに息抜きでゲームをした。

(最後の自由時間だ!余った時間はゲームだ!)


 そして退院当日。

 

 徹夜でゲームをして病院には退院時間30分前に着いた。


「蒼一、遅い!どうせゲーム徹夜でしてたんでしょ?」


「図星です。てか、家出る瞬間にチャイルドシートを車に着けてないことを思い出して間一髪だったんだ!」


 と誤魔化しながら家へ帰った。


「さぁ、久しぶりの我が家へ。沙羅はようこそ。」


 玄関を開けた瞬間、「にゃあ」と声。

 

 紗奈里が固まった。視線の先には小さな黒猫。


 後ろで意味もなく自慢げにしている蒼一。

「サプラーイズ!」


 紗奈里は口を閉ざしたままだ。

 玄関に立ち止まったまま黒猫をじっくり観察する。


(目、前足、耳の形、呼吸のリズム。)

 まるで何かを”確認”するかのように……。

 

「びっくりしたぁ。いつ買ったの?」


「沙羅が生まれた次の日……。商店街のペットショップで気に入った。」


 紗理奈はふふっと笑いながら家の中へ入っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ