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【連載再開】ダンジョンで殺人が起こると発生する閉鎖空間に閉じ込められた俺が脱出するまで  作者: ミンミンこおろぎ
第三章 死霊術師を探せ〜女3人男1人のハーレムパーティーでダンジョンに向かうまで〜
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第19話 昼と夜の仲間

 俺達は、しゃくりあげるジルを連れて行けデリーメに戻った。


 ヤトスは俺を『女の子を泣かすひどい男』として認識した。

 泣ーかせたー、泣ーかせたー、という感じだろうか。

 すごく冷たい目で睨まれた。


 ヨンナ婆さんは肩をすくめ、アイラは泣いてるジルの手を引き、ヴィオラはニコニコ笑顔だった。


 カブ畑の農民からも、若干白い目で見られた。


 これは、俺のせいなのか。

 俺のせいだよな。




 デリーメに戻った数日後、俺とアイラとヴィオラの三人はオリーブさんに呼び出された。



「やぁやぁよく来たね!『昼組』と『夜組』の三人!」

 オリーブさんは、笑顔で押し強く言う。


「こんにちは、オリーブさん。

 昼とか夜とかなんのことですか?」

 アイラが尋ねる。


「はは、君達のことだよ!

 昼組は人間族のアイラとエドモン。夜組は吸血鬼《ヴァンパイア》のヴィオラだ。

 アタシの中でそう呼んでいるんだ」


 勝手にパーティー名を決められていた。



「パーティー名は自分達で決めます」

 アイラが宣言する。


「そうかい?分かりやすくて良い名前だと思ったんだけど」

 オリーブさんは、聞いちゃいない。


「うーん、確かに悪くないけど。

 ちょっと長いわ。舌を噛みそう」

 アイラは言った。


 そうだな。ちょっと長い。

 でも、雰囲気は良いよな。

 俺達らしさがある。



「アイラ、ヴィオラ、『昼と夜の仲間達』って言うのはどうだろう」

 俺。


「あっ、良いですね!

 エド様にさんせーい」

 ヴィオラ。


「だいぶ言いやすいわね。

 うん『昼と夜の仲間』。これならもっと言いやすいわ」

 アイラ。


「良いじゃないか。

 後でパーティー名の登録書類を、受付に出しておいて」


 この場で、オリーブさんが書類を仲介してくれたりしないのかな?


 くれないんだろうな。



「さてと。『昼と夜の仲間』、報酬の話だ。

 アタシが見込んだだけはある。想定以上の働きをしてくれたよ」


 褒め言葉も大事だけど、具体的にはどうなるんだろう。

 何しろドケチのオリーブさんだ。


「報酬を計算する。

 日当は1日オマケして6日分とする。1人小金貨3枚だ。

 早期解決分は、8日分の8割で、小金貨3枚と銀貨2枚。

 合わせて、1人あたり小金貨6枚と銀貨2枚。

 次にパーティー全体の報酬だ。

 仮面の死霊術師《ネクロマンサー》を連れて来てくれたから、小金貨30枚」


「死霊術師《ネクロマンサー》は2人連れてきたわよ?

 報酬は2人分にならないの?」

 アイラが口をはさんだ。


「婆さんと孫の2人とも、仮面の死霊術師《ネクロマンサー》やってたそうじゃないか!

 2人のセット値段で30枚だねぇ」


 俺達は溜息を付く。

 オリーブさんは、相変わらすドケチだった。



「でも、『あの男』が賞金首だった。こちらは金貨50枚だよ。

 パーティー報酬は、合わせて金貨80枚。

 まぁまぁ良い金額になっただろ?」

 オリーブさんはまとめた。


「うまく言いくるめられたような気がするわ」

 アイラが言う。


 アイラが諦めたってことは、これ以上交渉しても無駄なんだろうな。



「それからエドモンに特別報酬があるんだ」

 オリーブさんは、俺の方を見た。


「俺ですか?」


「ジルの件について、エルフ族から礼ががきてるよ。

 小金貨3枚だって」


「いやその、俺にはもらう権利はないような気がします」


 礼を言われるようなことはしていない。

 


「もらえるモノは貰っとけば良いのに。

 ところでオリーブさん、ジルはどうなったの?」

 アイラが脇から言った。


「ジルはエルフの里へ戻ったよ。

 あっと、ジルの魔力についてだ。

 検査をした。確かに精神操作属性の魔力が大きく伸びていた。

 エドモンが指摘した通りだった。


 精神操作属性は、めんどうな魔力だ。

 ジルは、エルフの里で力のコントロールを学ぶことになる」


 エルフ族には、優れた魔術師が多い。

 精神操作属性の魔術師もいるだろう。



「ジルが、故郷で大人しくしますかねェ?」

 ヴィオラが茶々を入れる。


「本人は、またデリーメに来たがってる風だったんだよね」


「えぇー?」


「力をコントロールできないうちは、里から出してもらえない。

 安心して」



「金貨3枚は口止め料ですか?」

 俺は尋ねた。


 もらう義理はないと思うんだ。


「まさか!

 純粋な礼だよ。

 ジルがずっと不安定だった原因が分かったからだ」

 オリーブさんが言う。


「やっぱりもらえないです」



「オリーブさん、どうもエドモンは、ジルに負い目を感じているみたいなのよ」

 アイラが言う。


「また、なんで?」


 まあその、泣かせた責任とか。

 それと。


「実は師匠に怒られました。

 軽率すぎると」


 師匠曰く。

 医術を学ぶ者として軽率すぎる言動だ。

 専門家に検査を依頼して、結果を待ち、その後ジルの保護者も交えて、慎重に話をすべきだった。


 俺は何も言い返せなかった。


 俺はジルに対して、含むところが全くなかったと言えるか?


 残念だが、言えない。



「そもそもジルと話し合えって言ったのは、リーダーの私よ?

 冒険者同士、ぶつかることもあるわよ。

 ジル本人も、もう良いって言ってたじゃない?」

 アイラ。


「わたしは、ようやくスッキリしましたね!

 ジルの泣き顔は傑作でしたよ!」

 ヴィオラ。

 


 はぁー。

 オリーブさんは大きく息を吐いた。


「あのさ。もしあんたの師匠の言うとおりやったとする」

 オリーブさんは俺を見上げて言う。

 圧を感じる。


「はい」


 師匠なら、理想的な治療なるだろう。

 俺みたいに泣かせないだろう。


「そうなったら、治療費を請求されるだろうね」

 

「そうですね」


「金貨3枚じゃ済まないだろ?

 エドモンの師匠は有名な医者だからね」


「そうかもしれません」


 まあ、師匠は金持ちからはちゃんと報酬を受け取る主義だし。

 ジルはエルフの有力氏族の出身みたいだし、そうなるだろう。

 


「金をかけずに済むならそっちが良いに決まっているだろう?」

 オリーブさんは断言した。


「そうなんでしょうか?」


 ケチのドワーフ的には、そうなるのか?


「そりゃ医者の立場ならお金が取れた方が良いだろう。

 金を取り損ねたエドモンの師匠が怒るのはわかるよ。

 分かる。分かるとも!」


 師匠が怒ったのはそういう意味ではないと思う。


「こっちの立場としては、安く済んだ方が良い」


 俺の悩みは、オリーブさんによってお金に換算されてしまった。

 

「ほら、小金貨3枚。受け取って」


 そう言うと、オリーブさんは俺に小金貨の入った袋を握らせた。


 受け取ってしまった。



「あとで請求が来たら困りますからね。

 早めに渡しておこうという考えじゃないですかねェ」

 ヴィオラが言う。


「おだまり、ヴィオラ。

 手間と金をかければ、物事が良くなるってモンじゃないんだよ。

 ジルも納得してるんだ。

 もういいだろ?」

 オリーブさんは凄んだ。


 ……。


 とりあえず、師匠の意見とオリーブさんの意見、両方覚えておこう。




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