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【連載再開】ダンジョンで殺人が起こると発生する閉鎖空間に閉じ込められた俺が脱出するまで  作者: ミンミンこおろぎ
第三章 死霊術師を探せ〜女3人男1人のハーレムパーティーでダンジョンに向かうまで〜
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第13話 赤毛の子供ヤトス

俺とジルは、赤毛の子供の案内で地下道を歩いていた。


 天井の高さは2メートルを超える。石造り通路だ。

 誰が何のために作ったのやら。

 

 俺の明かりの魔術が通路を照らした。



「僕は、もっと北の方で、お祖母ちゃんと一緒に暮らしていたんだ。

 僕はさ、死霊術師《ネクロマンサー》の才能があったからさ……。

 あ、お祖母ちゃんは凄い死霊術師《ネクロマンサー》なんだ」


 赤毛の子供は、歩きながら凄い早口でしゃべる。


 ずっと話せる相手がいなかったんだろう。



「お祖母ちゃんは『どんどん、死霊術師《ネクロマンサー》への締め付けが厳しくなってる』って怒ってた。

『今の偉いヒトは何も分かってない』んだってさ」


 死霊術は必ずしも歓迎される魔術ではない。

 気味悪がれることも多い。

 


「特に新しい領主サマは、死霊術が大キライでさ、俺達にどんどん嫌がらせをしてくるんだよ」


 北の方で、死霊術が制限されたり、死霊術師《ネクロマンサー》が迫害さているという噂は聞いたことがある。



「言っとくけどさ、死霊術は『死者を見送る大事な魔術』なんだよ!」


「知ってるよ」

 ジルが短く言った。



「それでさ、お祖母ちゃんは決めたんだ。

 故郷を捨てて、デリーメに移住するって。

 お祖母ちゃんは墓守をしてたから、本当は引っ越したくないって言っていた。

 でも、僕の将来を考えると『ここにはいられない』って」



「君はなんて名前なんだ? 

 あっと俺はエドモンで、こちらはジルだ」


「ヤトス。僕の名前はヤトスだよ」


 小走りに、地下道の角を左に曲がる。



「それで、デリーメに引っ越すことにしたんだけど、クソ領主が追いかけて来るんだよ。

 お望み通り出ていくって言ってるのに!

 墓守がいなくなると困るのかな?

 単なる嫌がらせかな?」


「両方じゃないかな」

 ジルが言う。



「追手のせいで、僕は、お祖母ちゃんはぐれちゃった。

 お祖母ちゃんは、僕に先にデリーメに向かえって言った。

 デリーメに着いたら、死霊街で幽霊《ゴースト》に挨拶して、大人しくしとけって。

 後で迎えに行くからって」


「でもさ、お金がなくなっちゃったんだ。

 デリーメの市場で買い物してたら、スリにお金を盗まれちゃった。

 でさ、お金が必要だから、死霊術を使って稼ごうとしたんだ」



「それで『あの男』に会ったと言うわけか」


「うん、お金をくれるって言うから」


「キミは、なんであの男の言うことを聞いてたんだ?」

 ジルが尋ねる。


「分からない」


「えっ?」



「『あの男』は、助けてくれって、いきなりやって来たんだ。

 デリーメの役人に追われてるって。

 死霊術で失敗したんだって。


 僕は故郷で役人にいじめられてたから、かわいそうに思えて。

 しばらく置いてやるだけのつもりだったんだ。

 でも、気がついたら、僕が『あの男』の言うことを聞くハメになっちゃってさ……」



 『あの男』は口が上手い悪党だ。

 子供のヤトスを、上手い具合に脅しつけたってことかな?

 


「キミが死霊術でやったことは、ゾンビを作っただけだよね?」

 ジルが話題を変えた。


「ほかに一度、口寄せをやった。

 なんか内容が気に食わなかったみたいで、お金はもらえなかったけど」


 それは、、、気の毒だ。



 目の前に扉が現れる。

 赤毛の少年は、鍵で扉を開けようとする。 


「冒険者組合に行ったら、正直に話すんだ。

 今の内容なら、司法取引で自由になれる。

 でも、真偽判定の魔術は使われるかもしれない」

 俺は言った。


「……分かった。ちゃんと話すよ」

 ヤトスは答えた。



「仮面の背の高い死霊術師《ネクロマンサー》の中身はヤトス、君だよね?」

 俺は質問する。


「うん。

 仮面の仕掛けは、元々お祖母ちゃんが使ってたんだ。

 顔も隠せるし、身体が大きいと舐められないって」


 やっぱりな。



「俺と同じぐらいの身長の死霊術師《ネクロマンサー》は、『あの男』だよな?」

 もう一度、俺は質問する。


「そうだよ」



「石牢は、誰が作ったの?」

 ジルが質問する。


「知らない。

 この地下通路は、ある幽霊《ゴースト》に教えてもらった。 

 隠れるのにちょうど良いって。

 落とし穴も、元々あったんだ。

 でも、土で埋もれかけてた。

 それを『あの男』が土魔術で掘りなおした」



 ほぼ答え合わせができた。

 そして、『あの男』は土魔術が使えると。



「あれれ、開かない」

 ヤトスは、さきほどから鍵を回そうとしているが、うまく回らない。

 

「……後から足音がする!」

 ジルが言う。


 げっ、もう『あの男』が来たのか。


「えっ?」

 ヤトスが泣きそうな声を出す。



「ちょっとだけ、貸して」

 俺はヤトスから鍵を受け取る。


 落ち着け。ゆっくりだ。

 鍵はちゃんと鍵穴に入った。


 少し回転が重かったが、なんとか回した。



「開いた! 行くぞ」

 俺は扉を押す。


 扉は古くて、蝶番が錆びついていた。

 でも、ちゃんと開いた。


 扉の向こうは、石造りの螺旋階段である。



「ここから出られる!」

 ヤトスが言った。


 ザッ、ザッ、ザッ。


 今は俺の耳にも、足音が聞こえる。



「急げ、登るぞ! 

 相手は土魔術使いだ。足元に注意しろ」

 

 ジルを先頭に、ヤトス、最後が俺だ。

 

 追いかけてくる足音を背に、俺達は階段を登った。




【オマケ企画】

 死霊術師《ネクロマンサー》を探せ


 2人目

 背の高い仮面死霊術師《ネクロマンサー》→ヤトス(中級)


 3人目

 背の低い仮面の死霊術師《ネクロマンサー》→ゾンビ殺人事件の主犯『あの男』(初級)



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