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【連載再開】ダンジョンで殺人が起こると発生する閉鎖空間に閉じ込められた俺が脱出するまで  作者: ミンミンこおろぎ
第三章 死霊術師を探せ〜女3人男1人のハーレムパーティーでダンジョンに向かうまで〜
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第9話 落とし穴と仮面の死霊術師

落とし穴に落ちたのは、理不尽ではない。




 必然だ。




 俺は、周りを見ずに突っ走って、罠にはまったのだ。




 俺は、見事に引っかかった。





 俺は反射で風の魔術を使う。


 が、しょせん気休めだ。




 落下の衝撃に備えて受け身を取ろうとすると、下からブワッと強い風が吹いてきた。




 落ちる速度がゆっくりになる。


 そして。


 


 ドスン、ドサッ。




 俺とジルは、落とし穴の底に落ちた。




 自分の身体を確認する。


 軽い打ち身があるが、問題ないだろう。




 途中で吹き上げた風は、ジルの魔術だろうか?





 上を見上げると、ぽっかりと青い空が見える。


 穴の縁まで5〜6メートルはあるだろうか。


 下手したら、落下の衝撃で死んでいたかもしれない。





「ジル、大丈夫か? 怪我してないか?」




「ちょっとだけ痛いけど、おおむね大丈夫だよ」


 ジルはまともに返事をした。


 落ちたショックのせいか?





 見たところ、ジルの怪我は大きめの擦り傷と打ち身だ。


 俺の打ち身と一緒に、治癒術で治してしまおう。


 治癒術ヒールは、早いほど良く効く。





「ありがとう。もう痛い所はない」




 ヨシッ。


 自慢じゃないが、俺の治癒術ヒールは良く効くのだ。





「ここは、どこだろうな」


 俺は辺りを見回した。




「落とし穴の底だよ」


 ジルは答えた。




 そりゃそうだけどさ。





 俺達がいるのは、天井に穴が空いた四角い部屋である。


 三方向は古い石組みの壁だ。


 最後の一方向は、……鉄格子だった。




 単純に言うなら、俺達は、数メートルを落下して、ストンと地下牢の中に落ちたのだ。




 落とし穴は、仮面の死霊術師ネクロマンサーが土魔術で掘ったのか、はるか昔からあった仕掛けなのか。


 赤毛の子供は、俺達を誘導して、見事に引っ掛けた。





 俺は上を見上げる。


 二人で肩車して、出られる高さではない。




 石組みは、途中から土の壁になっている。


 土の壁は滑らかで、取っ掛かりになりそうな物はない。


 これは、土魔術で掘ったんだろうな。





 ガタガタ。




 俺は鉄格子を揺すってみた。


 わずかに揺れるが、外れそうな気配はなかった。




 ガンガン。




 鉄格子には扉が付いてる。


 そして、予想通りというか、鍵がかかっている。


 いちおう扉を押したり引いたり蹴ったりしたが、開きそうになかった。





「ジル、鉄格子からなるべく離れてくれ。


 雷撃ライトニング!」




 ピシッバチバチ。




 扉の鍵の辺りに攻撃魔術を当てる。




 が、扉には何の変化も見えない。





「雷の魔術じゃ、鉄格子は壊せないよ。


 そんな事も分からないのかい?」


 ジルが言う。




 俺もそんな気はしたんだが、試したかったのだよ。




「ジルの攻撃魔術で壊せないか?」




「無理だよ。土属性は苦手なんだ」




 うーん。




「言っておくけど、ボクの風魔術で上に登るのも無理だから」




 ジルは、どうしてそんなに落ち着いていられるんだろう。




「君が慌ててると、落ち着くしかないだろ」




 俺は何も言えなかった。






 その時である。




「いやぁ、見事に引っかかってくれたな。


 最初に言っておくが、その鉄格子は上級の土魔術でも壊せないぞ」


 芝居がかった男の声が聞こえた。





 鉄格子の向こうの地下通路を、二人の人物が歩いて来るのが見えた。




 赤毛の子供と、黒いフード付きマントを着て仮面を被った男である。




 俺はついに、探していた仮面の死霊術師ネクロマンサーと遭遇した。


 


 罠にかけられて、鉄格子ごしに。


 不本意である。





「あっと、そちらから攻撃魔術を撃っても無駄だぞ。


 この鉄格子には、すばらしい防御魔術がかけられているんだ。


 昔の魔術師の仕事にバンザイだよ」




 仮面ごしに、少しくぐもった声が聞こえてきた。





「試してみるよ、雷撃ライトニング」


 俺は、鉄格子の隙間を狙って攻撃魔術を放つ。




 ピシッバチバチ。




 今度は魔術の軌跡まで、きっちり見た。


 術は、鉄格子を通ってすらいなかった。




「わざわざ実験ご苦労様だ。


 通らないだろう?」




 仮面ごしだが、目が合ったと感じた。


 黒フードの死霊術師ネクロマンサーは、俺と同じぐらいの身長だった。


 


 俺が、何を言い返すか考えていた時。




「ボクも見たよ、確かに通ってなかった」


 ジルが後から発言した。




 俺は沈黙した。





「悔しいけど、引っかかっちゃったよ。


 捕まっちゃったよ!


 仮面の死霊術師ネクロマンサーさん、ボク達をこれからどうするつもりなのさ?」


 ジルが会話の主導権を取った。




「はは、認めたな。


 今、考えている所なのだ」


 仮面の男がこたえる。





「言っておくけど、ボクを殺そうなんてのは愚策だよ。


 ボクが、怪我なく落とし穴に降りたことを感謝した方が良いよ」




「生意気なエルフ族だ。


 自分の立場をわきまえるべきだな」




「ボクは、エルフ族でも有力な氏族の血を引いている。


 ボクの一族は、行方不明になったボクを探しに来る。


 万が一ボクが殺されたら、相応の血の対価を要求するだろう。


 キミらができることは、ボクを人質にして、身代金と自由を得ることだけだよ。


 つまり、ボクは大事な人質なんだ。


 丁重に扱ってほしいな」




 ジルは、何と言うかサ、捕まった立場とは思えない態度だよな。





「……ふうむ。口が達者なお嬢さんだな」


 仮面の男は、少し考えてから返した。




「分かりやすく教えてあげているんだよ。


 いいかい、『エルフ族は同族の犠牲を我慢できない』。


 ちゃんとボク達のめんどうを見て返せば、ほしいモノが手に入るんだ。


 分かるよね?」





 仮面の死霊術師ネクロマンサーは何やら考え込んでいる。


 俺が仮面の男の立場なら、、、苛つくだろうな。





「えーと、ジルは、冒険者組合の偉いさんの血縁だそうです。


 冒険者のデニスとボボンという男に聞きました。


 あの、怪我させずに返すのが良いと思います。


 というか、お願いですから返してください」


 俺は下手に出ておく。




 名前を出してすまん、デニス、ボボン。





「……ふん。考えておこう」




「考えるだけじゃダメだよ。


 最低限は、食事と水と、……あとオマル二人分だからね」





 仮面の死霊術師ネクロマンサーは、答えなかった。




 そのまま踵きびすを返すと、赤毛の子供と一緒に鉄格子の前から去った。






【おまけ企画】


死霊術師ネクロマンサーを探せ




2人目、仮面の死霊術師ネクロマンサー(ランク不明)

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