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第7話 何故そこに死体があるのか

「オリーブさん、これは大きな事件です」

 今まで黙っていた俺も加勢する。



 オリーブさんは、ジロっと俺の方を見る。

 圧を感じるよ!


 青二才の俺なんか、オマケ程度だと思っているのかもしれない。



「犯人は、複数でしょう」



「そうだろうね」

 オリーブさんは言った。



「時系列順に整理します。

 まず彼らは、まず『特徴のない男の死体』を手に入れた。

 あるいは、殺して作ったかもしれません」



「まあ、殺して作ったんだろうね」



「次に、死霊術ネクロマンシーで、死体をゾンビにしました」



「……」



「その後、ゾンビになった被害者と容疑者Aは、二人組の冒険者としてダンジョンに入りました。


 容疑者Aは犯人の一人でしょう。

 でも、主犯ではないと思います」



「それで」 



「容疑者Aは、ゾンビの被害者と人目につくところで喧嘩します。

 ゾンビは話せないので、Aが一方的に罵ったように見えました。


 容疑者Aの役割はここで一旦終わりです。

 早々にダンジョンを出て、アリバイを作ります」



「続き」

 


「ゾンビを現場まで誘導した者がいるはずです。

 この人物を容疑者Bと呼びます。

 Bの方が重要人物だと思います。

 死霊術師ネクロマンサー本人かもしれません」



「そうかもしれないね」



「容疑者Bは、ゾンビを事件現場に連れて行きました。

 そして、目立つように胸にナイフを刺し、豚の血を撒いて、殺人事件に見えるように工作しました」



「そんなところだろう。

 アタシにも想像がつくよ」



「ではなぜ、こんなめんどうな事をしたかです。

 この事件は、人手も金もかかっています」



「なぜだと思うんだい?」



「マッドハウスの法則ルールを壊すためです」



「……」



「ダンジョン内で、ヒト族がヒト族によって殺されるとマッドハウスが発生します。

 逆に言えば、マッドハウスが発生すれば、殺人事件があったと言うことです。


 今回事件では、あたかもマッドハウスの法則ルールが壊れたように見えました」



「……」



「マッドハウスの法則ルールが壊れれば何が起こるでしょうか?


 ダンジョンで殺人が起きても、冒険者組合は観測できなくなります。

 事件に介入する力を失います。


 ダンジョン内で殺人が増えるでしょう。

 ダンジョンは、強者が弱者を支配する野蛮な場所になるでしょう」



「……」



「弱肉強食になったダンジョンで、稼ぐ最善の方法はなんでしょうか?


 魔物モンスターを狩ることではありません。


 ダンジョン深層の遠征から戻ってきたパーティーを、疲労困憊しているパーティーを、入り口の近くで待ち伏せし襲い、魔石を奪うことです。


 ダンジョンの出口は一つしかありません。

 ダンジョンは待ち伏せに向いた構造なんです。


 弱肉強食のダンジョンでは、『腐肉食スカベンジャー戦術』が最適解です。


 つまり。

 今回の犯人は、『待ち伏せ腐肉食(スカベンジャー)戦術』で荒稼ぎしようと考えている悪党達ではないでしょうか?」



「……」



「一応、別の可能性も考えてみます。


 ダンジョンが混乱すれば、強豪パーティーも、おちおち遠征できなくなります。

 魔石の産出は激減するでしょう。


 それをみこして、冒険者組合の力を弱めようとしているの連中かもしれません。


 ともかく、計画性があり金を持った悪党グループが犯人です」



「だからどうしたんだい?

 アンタが今言ったことを、冒険者組合の受付のアタシが分からないと思うのかい?

 

 マッドハウスの法則ルールが混乱するのは、危険なんだ」



「オリーブさんなら、当然わかるでしょう。

 でも、ダンジョン初心者の俺でも、事件の意味を理解できました。


 つまり、ヴィオラの出した情報は、それだけ価値があると言うことです。


 ですから事件解決として、金貨15枚払ってください!!」



「長々話して、結局、言いたいことそれか?」

 オリーブさんは呆れたように言った。



 何言ってるんですか。


 とても重要なことだぞ!



 はぁぁぁ。

 オリーブさんは溜息をついた。

 ちょっとだけ、圧が弱くなったよ。


 ふぅ。

 こっちも溜息だ。



「ほんとケチよねぇ」

 アイラが脇から言った。


 アイラとオリーブさんが、一瞬、目を合わせた。



 「アタシはお金が出ていくとイヤーな気分になるんだよ。

 ドワーフの血を引いているせいなんだ」

 オリーブさんは言った。



 何度も言うが、オリーブさんはハーフ・ドワーフ・エルフだ。


 『ドワーフは損失に耐えられない』と、言われている。



「今回はエルフの価値観でお願いするわ。

 今回、《《ダンジョン内では》》、殺人事件は起きてない。

 次もそうであるように」


 

 『エルフは仲間の犠牲が我慢できない』と、言われている。



「あーもー、分かったよ。

 金貨15枚払うよ」



 やったぞ、俺達!

 とりあえず、金貨15枚ゲット!!





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― 新着の感想 ―
オリーブさんはこの仕事に向かなそう… 報酬をケチると、正しい報告や問題解決を渋るようになるからね…
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