第6話 オリーブさん
「さて、殺人事件について報告あるんだってね。
何を見つけたんだい?」
俺達の前にいる名物受付嬢が言った。
冒険者組合の名物受付嬢、名をオリーブ。周りからは、オリーブさんと呼ばれている。
オリーブさんはどんなヒトだって?
えーと、うーと、、、そうだ!
ここはオリーブさんのファンであるらしいデニスの言葉を引用しよう。
「オリーブさんはさ、エルフとドワーフの混血のハーフエルフ・ドワーフなんだよ。
綺麗な緑の瞳で、髪は茶色で金色のメッシュが入ってるんだ。地毛らしいぞ。
で、その髪を複雑な編み込みにしている。
背はうんと小柄な人間ぐらいだが、横幅がさ、もうぜーんぜん違う。ドドン・ストン・ドドドッーン」
そこでデニスは手を大きく広げてみせた。
うん、まあ、意味は分かる。
「オリーブさんファンの中にはには、もう少し痩せれば良い派とかいるけど、あんなのオリーブファンじゃないね。
オリーブさんは今のままで完璧。パーフェクト!」
そんなパーフェクトなオリーブさんが、僕達の前に座っていた。
好みはあれど、美人といえる。
そして、かなり。
いや、《《とても存在感のある女性》》だと思う。
目の前にいると『圧』を感じる。
とにもかくにも、エルフとドワーフの血を引くオリーブさんは、冒険者組合の名物受付嬢なのである。
「じゃあ、ヴィオラ。 説明頼むわよ」
リーダーのアイラが言った。
「はいはーい。高貴な吸血鬼のヴィオラです。
えーとですね、まず現場の血は本人のものではありません。
家畜の血でーす。
たぶん豚ですね」
オリーブさんの緑の目が大きく見開かれ、身体を前に傾けてきた。
「それ、本当か?」
気持ちは分かる。俺も最初に聞いた時は驚いた。
「間違いないですねェ。
疑うなら、血を調べてくださァい。
吸血鬼を越える血の専門家がいらっしゃるのか、知りませんけどォ」
「分かった。血液について、魔術師組合に調査を依頼しよう。
報酬は、重要情報として小金5枚払う。
支払いは調査が終了してからだ」
そう言うと、オリーブさんは出ていこうとする。
ちょっと待った、オリーブさん!
ちょっと待った、冒険者組合!
「待って。事件の真相はこれからよ!
最後まで聞いてもらうし、15枚払ってもらうわよ!」
アイラが出ていこうとするオリーブさんの腕を掴み、ガッツリ止めた。
さすがアイラ!
そして、仕切り直しだ。
「続きいくわよ!
現場に家畜の血を撒いたのは、死体から血が出ないから。
被害者は別の場所で殺された。
そして現場に運ばれた。
目立つようにナイフを胸に刺し、血を撒いて、まるでその場で殺されたように見せかけた。
マッドハウスが発生しなかったのは、殺人現場がそこではないならよ」
アイラは一気にしゃべり、続ける。
「冒険者組合は安心して良いわ。
ダンジョンの法則に例外が発生したわけじゃない」
「それぐらい分かるよ。
血が豚の血なら、それしかないだろ?」
オリーブさんは言った。
オリーブさんは、真相解明の報酬の金貨15枚をケチる気だな。
オリーブさんも冒険者組合も、ケチ過ぎる。
「ヴィオラの発見には、それだけ価値があるってことよ」
アイラは断固主張した。
オリーブさんは、大きく息を吐いた。
「15枚分なら、さらに質問させてもらうよ。
殺人はどこで行われたと思う?」
オリーブさんは俺達に質問してきた。
俺達なりに予測はついてる。
「ダンジョンの外よ」
アイラが言い、さらに続ける。
「理由の一つめ。
さっきも言ったけど、マッドハウスが発生していないから。
理由の二つめ。
被害者のその日の行動からの推測できる。
被害者の行動を思い出して。
被害者は、容疑者Aと二人組でダンジョンに入った。
被害者は、広場でAに一方的に罵られた。
ダンジョンの入り口で、広場で、誰か被害者の『声』を聞いてる?
被害者はずっーと黙りこくってたんじゃない?」
「被害者が話をした記録は、ない、、、ね」
オリーブさんは資料のファイルを見直し、答えた。
「被害者は口をきかない。
いいえ、口をきけず、しゃべれない。
被害者はダンジョンに入った時点で、既に死んでいたと思う。
死霊術で、ゾンビにされて、動かされていた。
そして、まるで生きた冒険者のような顔をして、ダンジョンに入った」
「理屈は通っているよ。
でも、アイラ。証拠はあるのか?」
オリーブさんは、緑の目に力を込めてきた。
「証拠はありますよォ。
死体に死霊術の名残りがありました」
ヴィオラが発言した。
「現場の担当者が『死亡時刻に矛盾がある』って言ってたのも、ゾンビにされたせいじゃないかしら」
アイラが追い打ちで言う。
オリーブさんは、はぁぁと深い溜息をついた。
金貨15枚を惜しむ溜息にしか聞こえません。
次回は、ホワイダニットです!




