優勝を狙え
「お待たせしたね。昼食の献立は、汁物料理は兎肉のカレー。肉料理は、唐揚げ。付け合わせは、ナッセとデリカの中華風サラダと、ケリパの煮びたし。輪切りにしたフランスパンを添えて、菓子は、ミルクレープを準備したよ。さぁ、召し上がれ」
俺達は突き匙を取り上げて、一斉に食べ始めた。
付け合わせはうまく出来ている。
唐揚げはたまらない美味しさだ。
兎肉のカレーも、問題なく美味しい。
「カレーに唐揚げって、無敵の食べ物だよね。付け合わせもさっぱりしていて、美味しいよ」
「ぼ、僕はカレーが大好きです。香草の料理でこんなに美味しい料理は他に知りません」
「俺はカレーも唐揚げも好きだ。ところで、今日も新しい付け合わせだな。覚えるアイロスが苦渋するであろうが?」
プリム、ジュレ、リーズヘッグがそう言った。
「俺は構わんぞ。俺の料理帳が増えるだけだ」
「付け合わせは気まぐれに変えてるんだよね。アイロスには苦労をかけるけど、宜しく頼むよ」
「アイロスが納得しているなら俺は構わん。今日の付け合わせも美味いぞ」
アイロスとリーズヘッグがそう言った。
「そう言えば、カレーを取り扱う店が増えたそうだよ。《エリザベス》、《時計亭》、《天上の花》、《コキュートス》の4店舗だね」
「へー。《鯨空亭》、《ゲネローペ》、《弁天亭》、《ロッカミレイ》だけじゃなくなったんだね! お客はカレーが好きだから、教えてあげると喜ぶよ。ありがとうね!」
「ぼ、僕も覚えておきます」
「俺もお客さんから聞いたんだ。俺も今後の休日に、リリアと食べに行きたいところだね」
「リリアは絶対に喜ぶよ!」
プリムは、嬉しそうに、そう言ってくれた。
みんなの皿が空いた頃合いで、菓子を配膳した。
今日の菓子は、ミルクレープ。
新作のお披露目だ。
たくさんの層になった生地が、挟まれたクリームと相まって、楽しい調和を実現している。
「うわぁ、美味しいね!」
「お、美味しいです。こんな菓子があるんですね」
「うむ。美味い」
プリム、ジュレ、リーズヘッグが感想を言ってくれた。
「こんな風に生地とクリームを重ねると、こんな菓子になるのだな。美味いぞ」
「食べたことない菓子だね! すっごく美味しいよ!」
「俺も美味しいです。キョウスケは菓子のコンテストに出てみれば如何でしょうか?」
アイロス、ファナ、アディスの順にそう言った。
「コンテスト?」
「ええ。1年に数回、菓子のコンテストが開かれています。優勝者はお城に招待されて、領主様に菓子をお出しする栄誉を賜るのですよ。賞金も出ますし、応募してみては如何ですか?」
「へえ。それは面白そうだ。リーズヘッグ、挑戦してみても良いかい?」
「まあ、構わんぞ。では、取り纏めの商会長にそう伝えておく。開催は不定期だから、いつやるかは不明だ。あと、どこにも出したことのない菓子である事が条件だ。やるなら、優勝を狙え」
「うん。頑張るよ」
アディスの助言により、俺は菓子のコンテストに出ることになった。
優勝目指して、頑張るぞ!
食後は、料理の仕込みである。
俺とアイロスは、夜の仕込み。
ファナとアディスは、カルボナーラの仕込みだ。
俺達は順調に、料理を仕上げていった。
午後4時半、ファナとアディスが出発していった。
仕込みも大詰めである。
俺達は最後まで気を抜かずに、作業を進めた。
午後5時の鐘が鳴った。
開店の刻限である。
並んでいたお客が、怒濤のように押し寄せてくる。
プリムは順番に案内をして、注文を取っていった。
ジュレは、お茶の配膳である。
注文が雨のように降り注ぐ。
俺は唐揚げを揚げ始めた。
今日の汁物料理は兎肉のカレー。
肉料理は、唐揚げ。
付け合わせは、キュウリのごときナッセともやしのごときデリカの中華風サラダと、小松菜のごときケリパの煮びたしである。
付け合わせの盛り付けと、汁物料理の取り分けはアイロスの担当だ。
俺は付け合わせの盛られた木皿に唐揚げを盛り付けた。
「1番から6番、上がったよ!」
「は、はい!」
「1番テーブル、4つ、上がったよ!」
俺は鍋を2つ使い、唐揚げを揚げていく。
店内は大盛況で、陽気な声が聞こえてくる。
「7番から12番、上がったよ!」
「はーいっ!」
「2番テーブル、3つ、上がったよ!」
「は、はい!」
俺はどんどん唐揚げを揚げていく。
アイロスのサポートも万全だ。
そろそろ菓子の準備もしないといけない。
「3番テーブル、5つ、上がったよ!」
「は、はい!」
「4番テーブル、6つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
俺はミルクレープを木皿に盛り付け、カウンターに並べた。
「1番から6番の菓子が、上がったよ!」
「は、はい!」
「1番テーブルの菓子が、上がったよ!」
「はーいっ!」
店内は満員御礼、ものすごい熱気である。
俺は充足した気持ちで、仕事に励むのだった。




