会いたかった
食後は、料理の仕込みである。
俺とアイロスが夜の仕込み、ファナとアディスが、ナポリタンの仕込みだ。
俺達は作業に集中し、料理を仕上げていった。
午後4時半、ファナとアディスが、出発していった。
仕込みも大詰めである。
俺は白玉あんみつを取り分け、黒蜜をかけている。
アイロスは、汁物料理の仕上げだ。
俺達は賢明に、力を尽くすのであった。
午後5時の鐘が鳴った。
開店の刻限である。
並んでいたお客が、どんどんなだれ込んでくる。
プリムが順番に案内をして、注文を取っていく。
ジュレは、お茶の配膳だ。
注文が入り、俺は調理を開始する。
片手鍋にマオマオの油を入れて熱し、ピーマンのごときファン、タケノコのごときエッセンを入れて全体に油が回るまで中火でさっと炒め、取り出す。
マオマオの油を入れてニンニクのごときダッキ、ショウガのごときヘイロを入れて弱火で熱し、香りが立ったら兎肉を加え、色が変わるまで中火で炒める。
ピーマンのごときファン、タケノコのごときエッセンを戻し入れ、さっと中火で炒め合わせたら調味液を加え、1分程炒める。
ごま油のごときガシュの油をまわしかけて混ぜれば、完成である。
今日の汁物料理は、カブのごときダリヤと豆板醤のごときウルドゥを使った和風スープ。
肉料理がチンジャオロース。
付け合わせが、トマトのごときイノッサと卵の炒め物と、キュウリのごときナッセの梅干しのごとき干しワズル和えだ。
付け合わせの盛り付けと、汁物料理の取り分けは、アイロスに一任していた。
「1番から6番、上がったよ!」
「は、はい!」
俺は鉄鍋にピーマンのごときファン、タケノコのごときエッセンを投じる。
チンジャオロースが仕上がったら、木皿に盛り付ける。
「1番テーブルに2つ、2番テーブルに4つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
俺は鉄鍋に、ピーマンのごときファン、タケノコのごときエッセンを投入する。
チンジャオロースが仕上がったら、カウンターに並べていく。
「3番テーブルに6つ、上がったよ!」
「は、はい!」
「1番から6番の菓子が、上がったよ!」
「はーいっ!」
俺は鉄鍋に、ピーマンのごときファン、タケノコのごときエッセンを投入する。
俺は次々にチンジャオロースを仕上げていく。
「4番テーブルに4つ、5番テーブルに2つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
「1番テーブルと2番テーブルの菓子が、上がったよ!」
あともう一息だ。
俺は鉄鍋に、ピーマンのごときファン、タケノコのごときエッセンを投入し、炒めていく。
チンジャオロースが仕上がったら、木皿に盛り付ける。
「6番テーブルに6つ、上がったよ!」
「は、はい!」
「3番テーブルと4番テーブルの菓子が、上がったよ」
「はーいっ!」
店内は満員御礼、すごい熱気だ。
そこにひょこりと、まだ幼い少年がやってきた。
「サフア屋のカトリーヌ様からの伝言を伝えに参りました。店主リーズヘッグ様はおられますか?」
リーズヘッグはすぐに相対した。
「俺がリーズヘッグだ」
「では、伝言をお伝え致します。1月28日と2月7日は、空いているとのことでございます。菓子の食べ比べも、《六角亭》の料理も楽しみにしているとのことです。28日は午後3時にお伺いするとおっしゃっておられました。どうぞ宜しくお願い致します」
「わかった。伝言をありがとう。28日に会えるのを楽しみにしていると、伝えてくれ」
「かしこまりました。では、失礼致します」
少年は扉を開けて、帰っていった。
俺もリリアの都合が気になるが、返事を待つほかない。
俺は大人しく、菓子の準備を進めた。
「5番テーブルと6番テーブルの菓子が、上がったよ!」
「はーいっ!」
そろそろ歌の頃合いだ。
プリムは入ってきたお客の注文を取ってから、歌い出した。
美しい歌声が店内に響き渡る。
俺はチンジャオロースを作りながら、しばし聞き惚れるのだった。
時間が過ぎて、午後8時半。
ファナとアディスが、帰還した。
今日も全て売り切ったとのことである。
二人は速やかに皿洗いを手伝ってくれた。
そして、リリアとその仲間達が来店した。
俺は嬉しくて飛び上がりそうになりながら、チンジャオロースを作った。
菓子も出して、しばらく経った頃に、リーズヘッグに呼ばれた。
「リリアが来とるぞ。12月28日と2月7日は空いているそうだ。ほれ、挨拶に行ってやれ」
「うん。ありがとう、リーズヘッグ」
俺はリリア達の3番テーブルへ行き、挨拶をした。
「《竜の跳ね鳥亭》へ、ようこそ。やぁ、リリア。料理のお味は如何だったかな?」
「ん。会いたかった。料理はすっごく美味しかった。連絡が遅くなってごめんなさい。伝言屋じゃなくて、自分で伝えたかったの。1月28日の菓子の食べ比べも、2月7日の《六角亭》も、すっごく楽しみ!」
「リリアに喜んで貰えたら嬉しいよ。皆さんも、菓子の食べ比べに参加して貰えますか?」
「勿論よぉ……。あなたの菓子をたくさん食べられると聞いただけで、大騒ぎだったわぁ……」
「いつもお土産ありがとうね! 美味いからすごく嬉しいよ!」
「そのぉ……私達、菓子に目がないので……本当に夢のようです……」
仲間の皆さんも喜んで貰えたようで、ほっとする。
「良かった。俺は給仕をしなくちゃいけないから、リリアの隣に居られないけど、仲間の皆さんと楽しんでね」
「ん。すごく楽しみにしてる。キョウスケは仕事なんだね」
「うん。俺の菓子の料理帳を買いたいっていう人が現れてね。それで、買う料理帳を選びたいみたいだ」
「凄いね。料理帳は高価。おいそれと買えるものじゃない。なるほど、それで食べ比べをすることになったんだね」
「うん。せっかくだし、色んな人を誘っているよ」
「わかった。28日は仲間と楽しむ」
「じゃあ、また28日ね。ご来店もお待ちしてます。じゃあ、またね」
俺は一礼してから、調理場に舞い戻った。
積み重ねられた注文をこなすべく、俺は鉄鍋にピーマンのごときファン、タケノコのごときエッセンを投じる。
チンジャオロースを仕上げて、カウンターに並べていく。
「4番テーブルの4つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
閉店までもう少し。
店内の賑わいは、調理場にも届いていた。




