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《銀の匙》の店主

「菓子の食べ比べの件、リエルは了承したわよ。もう、すごい喜びようでびっくりしちゃったわ」


「俺の菓子が、リエルの口に合うといいね」


「大丈夫よ! すっごく美味しいもん!」


 ファナは元気いっぱいに断言する。

 28日までに俺は、作れるだけたくさんの菓子を考案しておくべきだろう。


 食事が終わり、料理の仕込みに入る。

 俺とアイロスが昼の仕込み、ファナとアディスが、ナポリタンの作成だ。

 俺達は料理に没頭し、料理を仕上げるのだった。


 午前10時半、ファナとアディスが、出発していった。

 俺とアイロスはもう一息だ。

 俺達は最後まで気を抜かずに料理を仕上げるのだった。


 午前11時の鐘が鳴り響く。

 開店の刻限だ。

 並んでいたお客がどんどんなだれ込んでくる。

 プリムが順番に案内をして、注文を取っていく。

 ジュレは、お茶の配膳だ。


「1番から6番まで、1つずつね!」


「あいよ!」


「1番テーブル、6つお願いします!」


「あいよ!」


 俺は鉄鍋を2つ使って、兎肉を焼き上げた。

 照り焼きソースを絡め、食べやすい大きさに切ったら、フランスパンに挟みこむ。

 今日の汁物料理は、肉団子のスープ。

 付け合わせは、マッシュ・ポテトのごときマッシュ・フォンディと、カボチャのごときエリマを練り込んだクッキーである。

 付け合わせの盛り付けと、汁物料理の取り分けは、アイロスが担当してくれる。


「1番から6番、上がったよ!」


「は、はい!」


「1番テーブルの6つ、上がったよ!」


「はーいっ!」


 注文は続々と入ってきている。

 俺は鉄鍋に、兎肉を投じた。

 焼きあがったら照り焼きソースに絡めて、食べやすい大きさに切る。

 サンドイッチに挟んで、木皿に盛り付ける。


「7番から12番、上がったよ!」


「は、はい!」


「2番テーブル、6つ、上がったよ!」


「は、はい!」


 店内は満員御礼、すごい熱気だ。

 俺は調理に集中し、料理を仕上げていくのだった。


 午後2時半、ファナとアディスが、帰還した。

 今日も全て売り切ったとの事である。

 二人は速やかに皿洗いを手伝ってくれた。


 午後3時の鐘が鳴る。

 閉店の刻限だ。

 お客がどんどんはけていき、最後の1人まで帰ったら、休憩時間である。

 プリムとジュレが、店内の清掃、リーズヘッグが金勘定、ファナとアディスが、皿洗いである。

 そこへ、からりと扉を開けて、ふくよかな女性が入ってきた。


「わたくし、《銀の匙》の店主、アネモネと申します。こちらに来れば店主の方とお話しできると伺って来たのですが……」


「俺が《竜の跳ね鳥亭》の店主のリーズヘッグだ。あんたの話は聞いている。まず、28日の休業日に複数の菓子の食べ比べを行うことにした。あんたは28日、空いてるかい?」


「ええ。空いておりますよ。《竜の跳ね鳥亭》の自慢の菓子を、たらふく食べれるなんて、夢のようですね。その食べ比べに、うちの料理番の3名も連れてきて良いでしょうかねぇ?」


「構わんぞ。では、料理帳の売買については、28日に話そう。安売りはしないが、金額次第で売ってやろう。28日は、午後3時から開始とする」


「ありがとうございます。では28日の午後3時にお伺い致します。20年貯めた貯金で、甘味屋を始めたいんでねぇ。どうか宜しくお願い致しますよ」


 アネモネはからりと扉を開けて、帰っていった。

 俺とアイロスは、昼食の仕込みを始めている。

 本日の献立は、汁物料理が、カブのごときダリヤと豆板醤のごときウルドゥを使った和風スープ。

 肉料理がチンジャオロース。

 付け合わせが、トマトのごときイノッサと卵の炒め物と、キュウリのごときナッセの梅干しのごとき干しワズル和え。

 菓子が、白玉あんみつである。


 俺とアイロスは、賢明に作業を進めていった。

 やがて料理が仕上がり、カウンターに並べていく。

 ジュレが配膳、プリムがお茶の準備をしてくれた。


「お待たせしたね。汁物料理が、ダリヤとウルドゥを使った和風スープ。肉料理がチンジャオロース。付け合わせが、イノッサと卵の炒め物と、ナッセの干しワズル和え。輪切りのフランスパンを添えて、菓子が、白玉あんみつを準備しているよ。さぁ、召し上がれ」


 俺達は突き匙を取り上げて、一斉に食べ始めた。

 チンジャオロースは、兎肉とピーマンのごときファンと、タケノコのごときエッセンを細切りにした料理だ。

 食べ応えもあるし、とても美味しい。

 リーズヘッグがタケノコのごときエッセンを見つけて来てくれたから、作れた料理である。


 ちなみに、中華風ガラスープの素は、自作している。

 リューカの肉をリーズヘッグに仕入れて貰い、やっと作ることが出来た。

 リューカの肉と、ネギのごときポーロ、タマネギのごときカペラ、ニンニクのごときダッキ、ショウガのごときヘイロをざっくりと切り、ミキサーで塩と酒を入れて粉砕する。

 片手鍋で水気がなくなるまで炒める。

 ポロポロになってきたら鉄板に広げて石釜で120°で30分ほど焼く。

 最後にミキサーにかけて、完成だ。


 ミキサーを作るのには銀貨が必要だった。

 リーズヘッグは必要経費だと笑ってくれたが、気は引ける。

 美味しい中華風の料理や、スープを作って、リーズヘッグをねぎらいたいと、そう思うのだった。


 みんなの皿が空いた頃合いで、菓子を配膳する。

 今日の菓子は白玉あんみつだ。

 果実はオレンジのごときパーリー、さくらんぼのごときポリネシア、桃のごときベッカを使用している。

 寒天と、あんこと、白玉と果実が合わさって、得も言われぬ美味しさだ。

 

「この菓子、美味しいねーっ! 他の店で似たような菓子を食べたことがあるけど、別物だ!」


「す、すごく美味しいです。透明の具材と黒蜜が果実と相性抜群です」


「うむ。美味い」


 プリム、ジュレ、リーズヘッグの順に感想を言ってくれた。


「俺は見たことのない菓子だ。とても美味い」


「すっごく、美味しいわ!」


「本当に美味しいですよ。キョウスケは、甘味屋も開けますね」


 アイロス、ファナ、アディスも、感想を言ってくれた。

 俺は満足して、白玉あんみつを堪能するのだった。

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