ダビとルルイエ
丁度良いので、調理場を抜け出し、リリアに挨拶に行く。
俺は6番テーブルへ向かい、リリアと仲間達に、挨拶をした。
「《竜の跳ね鳥亭》へようこそ。リリア、よく来てくれたね。料理の味はどうだったかな?」
「ん。肉料理が美味しかった。1月7日は、何時に来ればいい?」
「ああ、そうか。決めてなくてごめんね。朝8時に集合で、一緒に朝食を食べよう」
「うん、わかった。菓子のあんまん、美味しかった」
「そっか。口に合ったんなら、嬉しいよ。皆さんは、如何でしたか?」
「美味しかったわぁ……。汁物料理が、優しい飲み口で、好みだったわぁ……」
紺色の髪をした、長身の女性が、そう答えた。
「あたしは断然、肉料理だなー! 滅茶苦茶美味しかったじゃん!」
緑色の髪の短髪の少女が、そう言った。
「えっと……全て美味しかったです……。でも特に菓子が美味だったと、思います……」
茶色の髪を左右に三つ編みにしたそばかすの少女が、おどおどしながら、そう言った。
「そうですか。喜んで頂けたのなら、凄く嬉しいです。またどうぞお越し下さい」
「ええ……。また寄らせて頂くわぁ……」
「また美味い料理を期待してるぜー?」
「あのぅ……また来ますね」
「また来る。じゃあ、1月7日に。またね」
「うん。またね。気を付けて帰ってね」
俺は一礼してから、調理場に戻った。
リリアの笑顔が可愛かった。
それだけで、今以上に頑張れる気がする。
俺はたまっていた注文を片付ける為、鍋にハンバーグを投じる。
焼き上がったら、照り焼きソースを絡めて、盛り付ける。
「1番テーブルの4つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
「3番、6番、10番、上がったよ!」
「は、はい!」
次は菓子の準備だ。
俺はあんまんを木皿に盛っていく。
「3番テーブルと4番テーブルの菓子が上がったよ!」
「はーいっ!」
ふと見ると、リリア達が帰っていく。
俺は見送って、ハンバーグの焼き作業に戻るのだった。
それから少し経って、午後8時半。
ダビとルルイエが帰還した。
今日も全て売り切ったとのことである。
二人は速やかに、洗い物を手伝ってくれた。
全員赤い服を着た旅芸人、ナターシャ達がやってきた。
店内はざわついたが、すぐに落ち着きを取り戻していく。
プリムが飛んできて、注文をしていく。
「3番テーブル、5つね!」
「あいよ!」
俺は鉄鍋に、ハンバーグを投じた。
焼き上がったら、照り焼きソースを絡めて、木皿に盛り付ける。
「3番テーブルの5つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
「1番テーブルの菓子が上がったよ!」
「は、はい!」
注文を順番に片付けていく。
俺は次のハンバーグを焼き始める。
焼き上がったら照り焼きソースを絡め、盛り付ける。
「2番テーブルの4つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
「3番テーブルの菓子が上がったよ!」
「は、はい!」
そして、午後9時の鐘が鳴る。
俺は出してない菓子を出していく。
「2番テーブルの菓子が上がったよ!」
「はーいっ!」
お客がどんどんはけていき、最後の1人まで帰ったら、店に鍵をかける。
俺は晩餐の仕込みを始めた。
兎肉を一口大に切り、ピーマンのごときファンと、ナスのごときビトーと一緒にごま油のごときガッシュの油で炒める。
味付けは味噌のごときトーテムと醤油のごときユーカンを使う。
焼き上がったら木皿に盛り付けて、カウンターに並べていく。
ジュレが配膳、プリムがお茶の準備だ。
「お待たせしたね。晩餐の献立は、汁物料理はクリームシチュー。肉料理は、トーテムを使った炒め物、付け合わせは、甘く煮たメイリグと素揚げにしたフォンディに塩を振ったもの。菓子はあんまんを準備しているよ。さぁ、召し上がれ」
俺達は突き匙を取り上げ、一斉に食べ始めた。
クリームシチューは柔らかい飲み口である。
肉料理はピーマンのごときファンが良いアクセントになっている。
ナスのごときビトーと味噌のごときトーテムは相性抜群だ。
俺はフランスパンを千切って、口の中に放り入れた。
「今日まで、ご苦労だった。ダビとルルイエ、これが給料だ。黒銅貨200枚入っとる。受け取ってくれ」
「黒銅貨200枚!? すげえ金額じゃん」
「私達……食事もお世話になっていたのに……」
「お前さん達には感謝しとる。これでも食事代は引いとるんじゃ。ありがとう」
リーズヘッグはダビとルルイエに、頭を下げた。
「じゃあ遠慮なく貰うけど、俺達、この店に食べに来るからな!」
「私達を……忘れないでね……」
「俺からも感謝を伝えさせてね。露店だけじゃなく、とっても助かったよ、ありがとう。ダビとルルイエの幸運を祈っているよ」
ダビとルルイエは、笑ってくれた。
みんなの皿が空いた頃合いで、菓子を配膳する。
あんまんをみんなが気に入ってくれたようで、とても嬉しかった。
こうして祝福祭は終わりを告げた。
来月は予定が詰まっている。
楽しい1月になりますように。
俺は女神アウローシアに祈りを捧げた。




