二人のご対面
12月23日から12月27日まで、あっという間に過ぎ去った。
露店は毎日完売しており、来月からも露店を続行すると伝えたところ、大いに喜ばれたとのことだった。
そして今日は12月28日の休日である。
俺とアイロスは、午前6時から朝食を作っていた。
朝食の献立は、味噌のごときトーテムを使った汁物料理と、キノコのクリームパスタ、菓子はフレンチトーストである。
汁物料理をアイロスに任せ、俺はキノコと生クリーム、塩、黒胡椒でパスタソースを作成した。
菓子のフレンチトーストも焼き上げ、パスタを茹でていく。
そして午前8時の鐘が鳴った。
プリム、ジュレ、リーズヘッグに続いてダビとルルイエも集合する。
旅芸人のナターシャ達も、着席する。
そこにアディスがやってきた。
「お待たせしました。うわぁ、大きな人達がいますねぇ」
「あらあら、綺麗なお顔の兄さんだねぇ。あたしらは朝食を頂きに来てる《赤い爪》っていう旅芸人さぁ。皆さんのお邪魔はしませんよぉ」
「そうでしたか。いやあ、びっくりしました」
そこにファナが駆け込んでくる。
「お待たせーっ! えええ、すごくでかい男と綺麗な顔の男がいる!」
ファナはすごくびっくりしたようで、俺はフォローをすることにした。
「この大男達は、旅芸人の方達でね。故あって、一緒に朝食を取っているんだ。この顔の綺麗な男性は君の同僚になるアディスだよ。元教師で、露店では金勘定を担当して貰う予定だね」
「あなたが裁縫屋の娘さんですか。俺はアディス。宜しくお願いします」
「あたしはファナ。どうぞよろしくね!」
そんなわけで席に着いて頂き、朝食を配膳する。
「朝食の献立は、トーテムを使った汁物料理と、キノコのクリームパスタ、菓子はフレンチトーストだよ。さあ、召し上がれ」
テーブルは6人がけなので、俺とプリムとリーズヘッグ、ダビとルルイエとアイロスで6人だ。
よって、ファナとアディスは別テーブルである。
ファナはかちこちに固まっていたが、大丈夫だろうか。
新作のキノコのクリームパスタは、とても美味であった。
味噌汁も美味しいし、文句なしである。
みんなの満足そうな顔が俺の胸を満たしてくれる。
みんなの皿が空いた頃、菓子を配膳した。
フランスパンが余らないので、作る機会のない菓子だ。
卵と牛の乳と砂糖を混ぜた卵液にフランスパンを浸し、乳脂で焼き上げた。
仕上げに蜂蜜をたっぷりかけている。
お味の方は、甘くてとても美味しかった。
「フランスパンがこんな菓子に化けるとはな」
「美味しいよねっ! 甘くてじゅわっとして、不思議な菓子だね!」
アイロスと、プリムはそのように感想を述べ立てた。
みんな満足そうな面持ちで、菓子をぱくついている。
そんな光景が、俺の心を温かくしてくれた。
食後は、ナターシャ達は帰っていき、俺とアイロスは宴席の料理の試作で、ダビとルルイエが料理帳の伝授である。
「ファナ、アディス。ちょっといいかな。俺とアイロスは手が離せないんで、ダビとルルイエが講師役だ。料理帳は3種、伝授するからね。宜しく頼むよ」
「わかりました」
「まっかせといて!」
アディスとファナがそう答えて、調理場に移動する。
後はダビとルルイエにお任せだ。
俺はアイロスに向き直る。
「じゃあ、俺達も調理を開始しようか」
「ああ」
「まずは前菜からだ。兎肉のミンチを作る。包丁で丁寧に叩いてくれ」
「わかった」
そうして俺とアイロスは、宴席の料理の試作に取り掛かった。
前菜を作った後は、野菜料理、サフア料理、汁物料理、肉料理、菓子と作っていく。
お昼は12時に、ファナとアディスの作ったミートソースのパスタを、みんなで食べた。
午後3時には、料理帳の伝授も終了し、ファナとアディス、ダビとルルイエも帰っていった。
午後5時の鐘が鳴ったら、試食会の開始である。
6種の料理は、いずれも喜んで貰えた。
宴席の料理は、これで決定である。
あとは当日の役割分担をどうするか、アイロスと話し合った。
宴会は1月14日。
配膳の仕方も、みんなで話し合った。
とても充実した一日だった。
翌日、12月29日。
今日も午前6時から集まったダビとルルイエに、ペリルのパウンドケーキの料理帳を伝授した。
はじめに焼き上がった分で味見して貰い、好評を得ることが出来た。
俺はアイロスと一緒に、朝食の仕込みである。
朝食の献立は、醤油のごときユーカンを使った汁物料理と、豆板醤のごときウルドゥを使った煮汁を兎肉のソテーにまぶした、サンドイッチ。菓子は、紅茶のごときジュピターの茶葉を使った、紅茶のシフォンケーキである。
俺とプリムとアイロスと旅芸人の5人分はサンドイッチを辛口に作ってある。
午前8時の鐘が鳴り、朝食の刻限である。
従業員と、旅芸人の5人も集まった。
配膳はジュレ、お茶はプリムが準備してくれた。
「お待たせしたね。朝食の献立は、ユーカンを使った汁物料理と、ウルドゥを使った煮汁を兎肉のソテーにまぶした、サンドイッチ。菓子は、紅茶のシフォンケーキだよ。さぁ、召し上がれ」
俺達は木匙を取り上げ、一斉に食べ始めた。
汁物料理は、過不足のない味わいである。
サンドイッチは、はっきりと辛かった。
豊かな旨みと刺激的な味わいが相まって、とても美味しい。
さて、プリムとアイロスはどうかと見回してみると、次々に感想を述べてくれた。
「辛いサンドイッチって、刺激的だね! 辛くて美味しいよ!」
「俺も文句はない。辛くて美味だ」
俺は満足して、サンドイッチを頬張った。




