リリアが来る日の準備
アイロスにはドレッシング作りと、キャベツのごときノーマの千切りと、レィモンのくし切りを担当して貰った。
今日の菓子は手間がかかるけど、リリアとその仲間達に食べて欲しかったので、採用した。
竜田揚げを揚げて、昼食が完成した。
配膳はジュレ、茶の準備はプリムがやってくれた。
「お待たせしたね。汁物料理は兎肉のカレー、肉料理は兎肉の竜田揚げだよ。それと、菓子はミルフィーユを用意しているからね」
皆で突き匙を取り上げ、一斉に食べ始める。
うん、竜田揚げのサクッとした食感と溢れる肉汁が混じり合って、またとない調和を完成させている。
兎肉のカレーの味を見てみると、問題なく美味であった。
フランスパンを千切って口に放り入れる。
「竜田揚げは初御披露目だったけど、どうだろう? 唐揚げともまた違った食感だと思うよ」
「うん。すっごく美味しいよっ! サクサクしてて、じゅわっと溢れ出す肉汁がたまんないねっ!」
「ぼ、僕も美味しいです」
「うむ。美味い」
「俺も美味いぜっ!」
「わたしも……美味しいです……」
「美味い」
プリム、ジュレ、リーズヘッグ、ダビ、ルルイエ、アイロスの順に感想を述べてくれた。
「皆の口に合ったようで嬉しいよ」
「ふん。お前さんに不出来なものを食わせられた覚えはないな」
「それなら、いいんだけどね。新作はやっぱり、不安になっちゃってさ」
俺はカレーを食べながら、フランスパンを千切って口に放り入れた。
「アイロスが作ったカレーも美味しいよ。アイロスは、カレーは好きかい?」
「好きだ。香草をこんなに使う料理は、そうそうない。東の国でも、きっと随分な人気を呼ぶことだろう」
「辛さはどう?」
「俺はもう少し辛くて良い」
「そっか。アイロスが良ければ、辛口カレーの味見をして貰えないかな? プリムにも頼もうと思ってたんだけどね」
「俺は構わんぞ」
「あたしも食べたーいっ! 辛口カレーってもしかして、リリアの為?」
「うん。リリアに俺の辛口カレーを食べて欲しくてね。あ、今日リリア達が来るって言ってたよ」
「へー、そうなんだ! 味見も楽しみだけど、リリア達に会えるのも嬉しい!」
俺はアイロスの為に説明させて頂いた。
「アイロス、リリアっていうのは、俺の恋人で、婚約者なんだ。カレーが大好きで、辛い料理を好んでいるんだ」
「承知した。味見はいつでも承るぞ」
「ありがとう、宜しく頼むね」
皆の皿が空いたようなので、席を立つ。
菓子のミルフィーユを配膳していく。
「わあ、ガルが入っているんだね! ……うん、すっごく美味しいよっ!」
「何だかお洒落な菓子ですね。ガルの甘酸っぱさとサクサクした生地とこのクリームが実に楽しい調和を見せています」
「うむ。美味い」
「俺も美味いぜっ!」
「パイ生地は、こういう使い方もあるのね……。すごく美味しいわ……」
「美味い」
プリム、ジュレ、リーズヘッグ、ダビ、ルルイエ、アイロスの順に感想を述べてくれた。
俺もミルフィーユを突き匙で頂く。
うん、実に美味しい。
手間をかけただけあったな。
「あっ、キョウスケって、リリアの誕生日、知ってる?」
「いや、知らないね」
「リリアは3月10日生まれだよっ! しっかりお祝いしてあげてよねっ!」
「わかった。ありがとう、プリム」
そして食後は、俺とアイロスは夜の仕込み、ダビとルルイエはミートソースの仕込み、その他の皆は休憩時間だ。
俺は竜田揚げの兎肉を切り分け、調味料に漬けていく。
アイロスはカレーの野菜を切り分けている。
今日の料理を、リリアは気に入ってくれるだろうか。
俺は胸が沸き立つのを感じながら、仕込みを続けるのだった。
午後4時半、ダビとルルイエは出発していった。
仕込みももうすぐ終了だ。
俺はミルフィーユを組み立てて、切り分けていく。
そして午後5時の鐘が鳴る。
開店の刻限だ。
怒濤のようにお客が入ってきて、注文していく。
俺は竜田揚げを揚げ始めた。
アイロスも汁物料理を取り分けていく。
続々と注文が入り、それを仕上げていく。
プリムもジュレも店内を飛び回り、賢明に力を尽くしている。
「いらっしゃいませ! お酒は飲まれますか?」
「勿論さ! 日替わりは今日はなんだい?」
「汁物料理はカレーで、肉料理は竜田揚げっていう兎肉の揚げ物だよ。そんで、菓子がミルフィーユだね」
「カレーは俺も好きだ。他は新作かい。じゃあ、日替わり一つ頼むよ」
「かしこまりましたぁ!」
プリムが飛んできて、注文をする。
「8番、日替わり一つね!」
「あいよ!」
俺は2つの鉄鍋で竜田揚げを揚げていた。
そして日替わりが仕上がっていく。
「6番テーブル、6つ上がったよ!」
「は、はい!」
「お次3番テーブルの4つと、8番の一つ、上がったよ!」
「はーいっ!」
そして菓子も出していく。
「3番テーブルの4つ、菓子が上がったぞ!」
「は、はい!」
「1番から6番まで、菓子が上がったよ!」
「はーいっ!」
店内は満員御礼、ものすごい熱気だ。
俺は積み重なる注文をさばくため、鉄鍋に肉を投じるのだった。




